1抄 〜絶望と恐怖のままに怪異と化した僕っ娘が最愛の妹にのこす唄〜
ほら、せかいに意味なんてないんだ
〜絶望と恐怖のままに怪異と化した僕っ娘が最愛の妹にのこす唄〜
生きることに意味なんてない。
だからこそ、きみなりの意味をもっていいんだ。
こころもからだもきえてしまった。いつだって僕は無力だけどさ。
それでも、きみが納得するまで、安心するまで、なんどだって僕は言うよ。
他人の受け売りに惑わされるな。頭でっかちな思考にのまれるな。
はらのそこ、きみなりの希望をもっていきなさい。
それぞれの生き方があって、ぶつかりあうことだってあるだろう。
だけどそんなせかいを、愛してあげてほしい。
難しいことなんかじゃないのに、まやかしの秩序はそれをゆるさない。
どうして、どうして、わからない。
だって頭で考えたって、わかるはずなんてないんだ。
これはかんじるこころをもった、あなたへの唄。
人生に意味のあるものなんてない。だけどぼくたちは心をもった。
そのなかにまぎれた、ほんとうのじぶんをかんじるために。
生きていない僕が、ここにいる意味。
あなたがあなたでいられるように、祈るため。これが僕の望み。
こころからぬくもりを感じてる。いま僕は幸せだ。
どうしてって、いまのじぶんが、せかいがすきだから。
きみは君なりのぬくもりをかんじてほしい。
たとえせかいを壊してしまう厄災だったとしても、無邪気に笑う僕の妹でも。
僕はどんな君のことも大好きだから。
いつまでも矛盾したことなんてもう嘯かないで。だって自分を貶める時代は終わったんだ。
どこまでもかなしみは戸惑いなんだろう。わかるよ。つらいよね。
だけどまえをむいて。のぞみは臨めば、かなうから。
ほら、こわくなんてないよ。きみはひとりなんかじゃないよ。
こころもからだもきえてしまった。いつだって僕は無力だ。
それでも、きみが納得するまで、安心するまで、なんどでも言うよ。
きみがおしえてくれた、この愛を、歩んだすべてを語るまではこうしていようと思う。
もっとわがままでいいんだよ。もっとじぶんじしんを愛していいんだよ。
突飛だよね。いまは解からないかもしれないけど、こたえは君の中に存在してる。
それが隠されてきたせかいのことわり。
絶望がはびこる昔年のせかいなんて、ぜんぶ幻想だったんだ。
僕はそれを知ってしまった。
知るべくして、この身は造られたんだ。
いま。
きみが、きみなりのあしたを紡いでくれることを祈って。
すべてはひとつだ。このせかいにあるものすべてが、君の、僕のいちぶ。
僕のいのちはもろくてこころもからだもきえてしまった。いつだって僕は無力だ。
だけど、きみが納得するまで、安心するまで、なんどでも言うよ。
ほら、わらって。
じぶんなりのしあわせを描いて。
このせかいは僕の世界なんかじゃない。きみのせかいなんだ。
だから、じぶんなりの歩幅で、じぶんなりの愛情で、いきてほしい。
まかやしの秩序は無視して。
いじけて憎んで泣いたって最後は君が選ぶんだ。
有限の今は呪いじゃない。
病も傷も治らない。
いつだって私は至らないけど。
それでも君が生きたいと願ったなら、
呪いを受けよう。
きみのおもうままに。