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猫耳フードと旅する少女 ~巡りまわる不思議な世界~  作者: 灰猫 無色
大草原と石壁世界
3/13

大草原と石壁世界 #3

 レコに涼みたいとお願いしたら、普段みたいな魔法の風じゃなく、ゴウゴウと音を立てて涼しい風を送ってくれるクーラーという箱を動かし始めました。

 レコは、『こういう魔法に頼らない道具を作るって凄いな』なんて言っていましたが、アーシェは涼しいなら何でもいいかなぁ、とゴロゴロしていました。

 その時、甲高い音が部屋の中にあった箱から鳴り響きます。


「ふやぁ!? な、なにぃ?」

『びっくりした……えっと、これは電話? って言うらしいよ。とりあえずその受話器って言う物を取って、上の穴を耳に当てる? らしい』

「そ、そうなんだぁ」


 ビクビクしながらも、けれど意を決して音がなる電話からアーシェが受話器を取ると、もしもし、と声が聞こえてきました。


『お客様、本日は当ホテルに宿泊いただき、誠にありが「うわああああ!? 何これ喋ったぁ!?」ます……当ホテルのような環境は初めて見られましたか?』

「うんうん! アーシェ、あのお風呂? とかベッド? とか、電話とかも全部見たことない! すっごーい!!」

『それはそれは、楽しんでいただけて何よりでございます』


 無邪気に喜んでいるアーシェに、電話から聞こえる声は心の底から嬉しそうに答えました。


『よろしければ、今晩のお食事も当ホテルでお取りになられますか?』

「え、ご飯も出るの!?」

『お出しいたしますよ。お客様は何かアレルギーで食べられないものはありますか?』

「あれるぎー?」

『あー、アーシェにアレルギーはないよ。辛すぎたり甘すぎたりって過剰な味じゃなければなんでも大丈夫のはずだ。ちなみにボクの分はいらないよ』

『ありがとうございます、承知いたしました。それでは少々お待ちください。すぐにお持ちいたします』

「はーい! ありがとうございまーす!!」


 元気に返事を返したアーシェは、しばらく受話器を耳に当てたままじっとしています。

 それを見たレコがクスクスと笑って『アーシェ、声が聞こえなくなったら受話器を置いていいんだよ』と言うと、アーシェはそうなんだ! とがちゃんと受話器を戻しました。


「それにしてもすごいねぇ。この箱生きてたんだぁ」

『生きてるんじゃなくて、ただの装置だよ。その箱と同じ箱からの声が聞こえるんだ。念話とか伝達魔法みたいなものだよ』

「えぇ、人が喋ってたのぉ!? すごいすごい! あれだけ喋ってたら、近場でも結構な魔力量だよねぇ!」

『魔力じゃなくて電気を使っている機械、ってやつみたいだね。多分だけど本人は全く何も消費していないんじゃないかな』

「ほぇー、そんな場所もあるんだぁ。想像もできなかったよぉ」

『そりゃあ、ねぇ』


 その時、コンコンとドアがノックされて「失礼しますニャ!」と声がしました。

 はーい、とアーシェが返事をすると、ドアを開けて外から白くて丸っぽくて、ツルっとした金属が、可愛らしくデフォルメされた猫の顔を見せながら入ってきました。


「今晩のお食事をお持ちしましたニャ!」

「え? あ、え?」

『コレは……』


 驚いて固まっている一人と一個を置いて、猫のようなそれはにょきりと手を伸ばしてテーブルの上に料理を載せていきました。

 湯気が出てとても美味しそうなそれらが並べられていく度に、アーシェは目をキラキラと、そしてそわそわとし始めました。

 そんな彼女をレコはそっとロップイヤーで抑えました。


「お待たせしましたニャ! こちらはキノコと山菜のソースハンバーグ。鉄板は熱いから気を付けるニャ。ナイフとフォークはこちらにあるニャ。もし落としたらそのまま拾わず、新しいのを取るニャ」

「え、いいの? 床が汚れちゃうよ?」

「床に落ちた食器は消えるから問題ないニャ! 次はコレ、ふんわり白パンニャ。そのまま食べても美味しいけど、ハンバーグのソースを付けても美味しいニャ! たまにコックさんがちょっぴり拝借してるので、組み合わせの良さは保証するニャ」

「わぁ! それ絶対美味しいよ! 後で試してみるねぇ」

『コックさん何やってるの』

「それからお水とリンゴジュースニャ。おかわりはこのピッチャーから注ぐと良いニャ。中身は無限にあるから好きなだけ飲むといいニャ。最後にバニラアイスニャ! 蓋を開けると溶け始めるから、食べる直前に開けることをお勧めするニャ!! 以上ですニャ!」

「ネコちゃんありがとう!!」


 エッヘン、と胸を張るような仕草をした猫みたいな金属に、アーシェは偉い偉いと撫でました。

 嬉しそうな表情をしてから、金属の猫は「追加の料理が欲しかったり、何かあれば気楽にそこのベルを鳴らして呼んでニャ!」と言って部屋を出ていきました。

 レコはその後ろ姿を見て、ロップイヤーを組みます。


『……ボクもキャラを作った方がいいのかな』

「レコ! これ、これすっごく美味しいよ!!!!!!」

『あー、うん、良かったネ……』

「ふわぁあああああ!!!!!!」

『ぐぬぬぬぬ……機械の猫の癖にやるじゃないか……!!』


 そのあと、アーシェが美味しそうにハンバーグを頬張ったり、パンをソースに浸して食べている横で、レコはずっと何かを考えている様子でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

ブックマークや評価等いただけますと大変嬉しいです!

モチベアップにも繋がりますので、どうぞよろしくお願いします!!

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