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金はあるに越したことはない

学校からの帰り、4人は駅の近くにあるハンバーガーショップに来ていた。

全員注文を済ませ、予め取っておいた席に座り楽しく談笑――といきたいところだが、冬夜には一つ確認しなければならないことがあった。


「……ほんとにそれ全部食べるのか」


「え、当たり前じゃん。何言ってんの?」


運んできたトレーの上には注文した商品がそれぞれ全員の前に置かれている。

涼介の前にはテリヤキバーガー、ポテト、コーラ。

一ノ瀬さんの前にはチョコパイ、バニラシェイク。

そして寧々花の前にはチョコパイ(2種)、フルーリー(期間限定を含む2種)、バニラシェイク、手にはソフトクリームを持っている。

1人だけ量が明らかにおかしいのである。


「君は遠慮という言葉を知らないのか?」


「わたし、にほんごワカラナイ。他人のお金で食べるご飯はオイシイ」


「クズだな、あんた」


もちろん寧々花だけでなく他の2人のお会計も全て冬夜持ちである。そのおかげで冬夜の懐はかなり寒くなってしまった。


せめてバニラシェイクは飲みたかった……


「俺水だよ? 無料だよ? おかしくない? もうちょっと俺の事考えよ? これ見てどう思うよ」


「「どんまい」」


「よし、二人とも、そのポテトとフルーリー寄越せ。俺が食ってやる!」


「私だけ重くない!?」


「あ、俺の塩分が……」


そんな感じで揉めだした幼なじみ3人を見ていた一ノ瀬さんが口を開く。


「やっぱり私の分は自分で払います」


「あ、いーのいーの一ノ瀬さんは。もともとトーヤが悪いんだし。素直に奢られてあげて! ね、トーヤ」


「え? あ、うん。でも俺だけが悪いって訳じゃ――」


「お黙り! 今一ノ瀬さんと話してるから!」


「えー……」


おかしい。向こうから話を振ってきたのに。マジ理不尽。


「しかし、私も逃げてしまいましたし……」


「あー、まあいつもの事だし……トーヤも慣れてると思うし大丈夫だよ。ね、トーヤ」


「いや、全然慣れてないです。結構キツイっす」


「ちょ、トーヤ!? え、あ、一ノ瀬さん!? 大丈夫だから! えーと、と、とりあえずりょーくん! トーヤは任せた!」


「任されたー」


冬夜の返しにかなりショックを受けた一ノ瀬さんにフォローを早急にする為、寧々花は冬夜へのお話し合いを涼介に任せて一ノ瀬さんを励まし始めた。

一方こちらは、


「なー冬夜さんや、君はもう少しデリカシーというものを覚えなければならないね」


「いや、実際事実だし。あれ結構傷つくんだよ。確かに耐性は着いてきたけどやっぱキツいわ」


「だけどさー……」


そこまで話していると不意にポケットに入っているスマホが震えた。 どうやらメッセージが来たらしい。

画面を見てみると姉の春乃からのメッセージのようで、『ミ〇ドの新作ドーナツ買ってきて』という趣旨のメッセージだった。

ちなみにミス〇のドーナツは最近の星成家のブームである。


『とりあえずポ〇デ・リングよろ。3つね。』


『なんで3つなん?』


『私とお母さんと夏華の分』


『俺と父さんの分は?』


『知らん』


知らんて……相変わらず酷い姉だと思う。しかし困ったことにさっきお金を使ってしまったせいでドーナツを買える程のお金が手元に無い。


『とりあえず言ったからね』


『無理』


『は? なんで』


『金がない』


『いくら』


いくらお金があるかと聞かれたので財布の中を確認してみると27円しか入っていなかった。


『27円』


『死ね』


うん。この姉やっぱりひでーわ。死ねって。最近なんかみんな俺に冷たくない? 気のせい?


『なんでそんな無いの』


『奢らされた』


『いじめられてんの?』


『ちげーよ! 普通に飯食ってるだけだよ』


まぁ俺水なんだけど。


心の中で補足しながら水を飲んでいると春乃からこんな質問をされた。


『何、誰と、女?』


割と的を射ている質問に思わず水を吹き出しそうになってしまった。


「なに!? どーした!?」


横で一連の流れを見ていた涼介が心配してくる。


「ケホッ、ケホッ、いや、大丈夫。気にしないでくれ」


「めっちゃ気になるんだけど」


「いやほんと大丈夫。()せただけだから」


「それはそれで大丈夫じゃない気がするけど……」


(姉貴は変なところで勘がいいな……)


涼介を流しながら心の中で春乃に文句を言う。思えば昔から変なところで勘が鋭い人だった。これが女の勘と言うやつだろうか。


『違ぇよ、普通にネネと涼介だよ』


一応嘘は言っていない。あくまでいつもと同じように幼なじみ2人と来ているという感じにして一ノ瀬さんの存在を隠す。ここで一ノ瀬さんの存在がバレてしまうと余計な勘ぐりをされて面倒なことになりそうなのでそれは避けたかった。

だがそんなに甘くはなかった。


『……今変な間があったんだけど。』


鋭い指摘にガタン! と机を揺らす。

思わず身体がビクッとなってしまった。


「ほんとにどうした!? 大丈夫か!?」


またも一連の動作を見ていた涼介が心配してきた。


「いや、大丈夫だ。ちょっと足がつっただけだから」


「今日ほんとにどうした!?」


冬夜はより姉が怖くなった。




気が赴くままに書きます。不定期です。

ごめんなさいね。

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