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ちょっとした会議

5時間目と6時間目の間の休み時間、教室の隅っこで冬夜と涼介が話をしていた。


「お前には愛想が無い。人見知りで仕方がないとはいえ、もう少し人に馴れような」


「陰キャでぼっちな俺には難しい話だな」


「……自分でそれ言う?」


冬夜の開き直った態度に涼介がはぁ、と溜め息をつく。


「お前は顔……というより目が怖いんだからせめて愛想良くしろよな。そんなんじゃ彼女どころか友達すらできないぞ」


冬夜は昔から顔が怖いと言われることが多い。しかし付き合いの長い涼介や寧々花曰く、『顔が怖いというより、目が鋭いっていうのかな。そのせいでそう思われるんだと思う』とのことらしい。冬夜自身、周りの人の反応をあまり気にしないようにしているのだが、実際、結構傷ついている。

冬夜は案外メンタルが脆いのである。


「余計なお世話だ。そもそも彼女欲しいなんて言ってないし、要らん。彼女に使う金があるなら自分の趣味のために使いたい」


姉貴とかにも使わざる得ないしなと、心の中で付け加え冬夜は漢字のワークを眺めながら興味なさげに言う。


ブレないなぁと、涼介はさっきより深い溜め息をついた。だがすぐに「まあいいや」と言って話の話題を先程の昼休みのことに切り替える。


「それより放課後に一ノ瀬さんに謝りに行けよ? 今はネネが冬夜のフォローしてるから」


昼休み、一ノ瀬さんが去った後すぐに五時間目の予鈴が鳴ってしまい、すぐには追いかけることも出来そうになかったので涼介は一ノ瀬さんと同じクラスである寧々花に冬夜のフォローを任せた。


「それは有難いけど、フォロー出来るのか?」


「ネネだし大丈夫だろ。一ノ瀬さんも優しいから怒ってはいないだろうし」


「それなら、いいんだけど」


そう言って冬夜は頷いた。冬夜とて人に嫌われるのは嫌なのである。しかも相手は一ノ瀬さんである。後々関わることが無いにせよ、一ノ瀬さんを敵に回してしまうと今後の学校生活に支障が出まくるので、できるだけシコリは取り除いておきたい。


そんなことを考えていると六時間目の予鈴が鳴り始めた。次の時間割の現代文では漢字の小テストがある。なので冬夜は漢字の勉強に戻る。


「ま、放課後はすぐに3組に行くぞ。逃げんなよ」


涼介はそう言いながら席を立つ。どうやら自分の席に戻るようだ。

冬夜は涼介の言葉に対して「あぁ」と頷く。ついでに視線を涼介に向け、先程から気になっていたことを聞いてみる。


「それより涼介、小テストの勉強はしなくていいのか? 結構量が多いが……」


それに対し、涼介は、


「ふっ……漢字なんて日頃から勉強していれば余裕だろ」


そう言って自分の席に歩いて戻っていく。さながら歴戦の猛者のように。しかしそれも絵になる。


なんだよこいつ。これだからイケメンは。


そう思いながら冬夜は再び視線をワークに戻す。一方、席に戻った涼介は――


必死に周りの人に小テストの範囲を聞いていた。




小テストの結果⋯⋯

十点満点中、


冬夜⋯⋯⋯⋯10点


涼介⋯⋯⋯⋯8点

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