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テスト返却

そんなこんなで女子二人のデートから約一週間後の六月の頭に一学期中間テストが行われた。

テストは四日間あり、冬夜達一年生は一日二教科の計八教科のテストだった。ちなみに教科は、

国語、数学I、数学A、社会、化学、生物、英語表現、コミュニケーション英語の八科目。

何故数学と英語が二教科ずつあるのかは知らん。学校に聞いてくれ。オラもうんざりなんだぁ……


ちなみに期末テストは十教科以上あり、二年に進級してからなんかは最初から十教科ある。

 そう聞くだけで禿げそうだ。


教育委員会に訴えたらどうにかならないかしら……

あ、ならないっすかそうっすか。


進級したくないなぁ、と思いながら、かと言って留年は絶対したくないので結局は頑張らないといけない。


別にテストが嫌いな訳では無いのだ。だって一日二教科やるだけで昼には家に帰れるのだから。

ただ、テスト勉強が嫌いなのだ。


分かる? この気持ち。暗記パン欲しい……


何ともネガティブな気持ちで無事(?)テストを終え、今日はテスト返しの日である。


とは言ってもテスト返しも終盤。すでに六教科返されていて残りは英語二教科のみとなっていた。


なんで個人的に苦手な科目を最後に返すかなぁと、冬夜は内心ため息をついていた。


こう、上げて上げて最後に落とすのほんとやめて欲しい。


お気持ちジェットコースター気分である。遊園地とかの絶叫系はバッチ来い! って感じだが、こういう絶叫系はマジで要らん。


こんな感じでヘイトがだんだん蓄積している冬夜の元へ涼介がなんだか嬉しそうな表情をしながら近づいてきた。


「なー冬夜。今どんな感じ? 俺は今のところ全部八十点以上だぜ!」


どうやら自慢しに来たらしい。

とは言っても別に嫌な気持ちになる訳でもなく、ただ『ああ、いつも通りだな』という感想しか出ない。自分も涼介も別に頭が悪いわけではないのでそういった心配はない。一部例外はあるが。


「残念だったな。俺もだ」


「ちぇー。今回こそは全教科で勝てると思ったのに。これまた英語しか勝てないやつじゃん」


「まだわからんだろ。もしかしたら今回は英語の点数高いかもしれないじゃねぇか!」


「いやー、冬夜には無理だって~」


「なんだと!? 言ったな?もし俺が英語両方とも七十……いや、六十点以上だったら今度なんか奢れよ!」


「いいぜ。その代わりそれ以下だったら今日の帰り昼飯奢りな」


「うぐっ……や、やっぱこの賭け無しで……」


「えー、昼飯代浮くと思ったのにー」


「お前容赦ねぇからな……負け戦にそんな賭けねぇよ」


「すでに自分で負け認めちゃってるじゃん」


そう、この会話からわかる通りこの俺、星成冬夜は――英語が苦手なのである。


中学生の頃から、いや、なんなら小学生の頃から英語が苦手だった。中学の頃のテストには赤点制度なんてものはなかったが、他の科目に比べて非常に低い点しか取れなかった。それこそ他科目の半分程、もっと酷い時は三分の一程度しか取れなかった。


もうね、英語何言ってるか分からない。アイキャントイングリッシュ? で合ってる?


「まぁ、今回は高いといいな」


そう言って涼介は自分の席に戻っていく。なんだかんだ言って俺の幼馴染は良い奴なんだ。


「それじゃあ、英語系返していくぞー」


そう言ってクラスの担任の先生が出席番号順に英語の答案用紙を返していく。


あぁ、地獄が始まってしまった……


そんな冬夜の想いが心の中でこだました。






「二人ともー! テストどうだったー?」


全ての教科のテスト返しが終わり、短時間のショートホームルームが行われ、それもついさっき終わって暫くすると元気な女の子の声が冬夜達のクラスに響いた。


「おー、寧々花。俺はいつも通りだったよ。そっちは?」


「私はねー、……じゃじゃーん!」


涼介に聞かれてよほど嬉しい点数を取った教科があるのか、鞄からその答案を取り出して涼介に見せる。


「んー、おぉ! すげーじゃん! 寧々花にしては高いじゃん!」


「おっとー? りょーくん、その発言はどーゆう意味かなー?」


寧々花が見せたのは英語表現の答案用紙。点数は六十八点。

そこそこ高くね? と冬夜は思った。


寧々花の学力はぶっちゃけて言うとそこまで高くない。中学の時、酷い時なんて全教科冬夜の英語並み、それ以下の点数しか取れてない時もあったりした。そんな寧々花がよくこんな倍率が引くほど高い進学校に合格したものだと思ったものだ。

まぁそれ相応の努力をしていたのも事実だが。


さて、そんな冬夜の英語の点数なのだが……


「それで、トーヤは……その感じを見るにいつも通りみたいだね」


「そうだな、ちょっとの間そっとしておいてやろうな……」


「そだね。ところでトーヤ、その落ち込みゲンドウポーズみたいな体勢しんどくない?」


何その例え、とツッコミたい気持ちになったがちょっとそれどころじゃない。

点は低いだろうなとは思っていたが、やはり実際取るとやはりメンタルにくるものがある。


ちなみに点数は

英語表現……五十六点。

コミュニケーション英語……四十点。


英語表現は文法問題メイン。コミュニケーション英語は長文読解である。


もうね、マジ無理。長文何書いてるかマジわからん。あんなん象形文字読めと言ってるようなもんじゃねぇか。


ちなみに赤点はどの教科でも四十点未満固定である。それに変わりはないらしい。


そしてどうやら今、寧々花が涼介から英語の点数を聞いたようで、


「うわ、赤点ギリギリじゃん」


と言われてちょっと引かれた。


いや、お前に言われたくないからな?


「にしてもトーヤって昔から英語だけは出来ないよね~」


「なー。何がそんなに難しいわけ?」


二人が聞いてくる。メンタルがやられている冬夜にとっては煽りにしか聞こえない。


もういっそ開き直ってやろうかな、なんて思ってきた。


「あんなん意味わかんねぇよ……象形文字じゃん。ってか英語なんて日本にいたら使わねぇじゃん!」


「うわ、屁理屈言い出したよ……」


「いや、使わねぇって言ったって中学の頃三人で遊びに行った時、ちょっと目を離した隙に外国人観光客に英語で道聞かれてたじゃん」


「うぐっ」


「あ、そーいえばそんなこともあったねー! トーヤずっと小声で『アイドンノー、アイドンノー』って言ってたっけ」


「うわぁぁぁあああ、聞きたくない聞きたくない!」


俺のちょっとした黒歴史を掘り起こされて慌てて耳を塞ぐ。


あれは……もう思い出したくない……


「ふぅ、まぁそんな事は置いといてこれからどっか行く?」


「そーだな、お腹空いたし食べに行こーぜ」


「あれ? りょーくん今日部活は?」


「明日からなんだってさ」


「お前らそんなんでいいのかよ……」


別に食べに行くのはいいけどバスケ部ちょっと緩すぎない?


「まぁいいんじゃねぇの? 別に中学の時みたいに強豪校って訳でも全国狙ってる訳でもないし。」


「そーゆうもんかね」


「まー、こういう感じの方が気楽でいいさ」


「……まぁ、お前がそれでいいならいいけど」


「あ、けど一つ訂正」


「あん?」


「俺は全国狙ってるぜ。……約束もあるしな」


そう言って涼介は笑った。

何ともイケメンな奴だ。


「……そうかよ」


そう言って俺は二人の隣まで行って三人一緒に歩き出した。


たとえ形が歪になろうと、途中で切れていようと、


俺達は繋がっているから。


余談なのですが、

出席番号順の時と通常時の席は結構違っています。

それは何故かと言いますと、冬夜くん曰く、

入学してまもない頃に担任が、

「それじゃあ、みんな知らない人が多いと思うし、少しでも早くみんなが仲良くなれるよう、席替えをしまーす」と言ったそうです。

冬夜くん的には

(席替えしようがしまいが結局はみんな知らないからする必要なくね?)

と思ったそうです。


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