呼び出しの内容
なんか呼び出しって怖いよね。
いやね、別に何もしてないけどさ。呼び出されたら何も悪いことしてないけど「あれ、俺何かやらかしちゃいました?」ってなるよね。だって人間だもの。
……え、ならないって?
じゃあそれはあれだ、君は人間じゃない何かだ。異論は認める。
そんな感じでとうとう指定された応接室まで来てしまった。
嫌だなー。怖いなー。入りたくないなー……
そんなことを思っても来てしまった以上、入らない訳にもいかない。
大丈夫だ。俺は何もしていない。何も知らない。だから説教とかマジ勘弁。
そんなまだ見ぬ不安に怯えながらドアをノックし、入室。
「し、失礼しまーす……」
ドアを開けるとドアから一番遠いソファーに座っているおっさん達……もとい校長と教頭がこちらを向いた。
「お、おぉ……!」
「来てくれたか……!」
ドアを開けた俺を見て2人は心做しか嬉しそうな表情をして――
いや待て。なんでそんな嬉しそうなんだよ。なんでそんなキラキラした目でこっち見るんだよ。おっさん2人にそんな目で見られても嬉しくねぇんだよ。普通に嫌。おぉ……鳥肌が……
「遅い」
「あん?」
そんなおっさん達は一旦置いておき、手前のソファーには
「げ」
春乃がいた。
「なんで姉貴がいるんだよ……」
「あんた弁当忘れたでしょ。お母さんに届けてきてって頼まれたの。感謝しな」
「は、はあ……それはどーも」
春乃の側まで行って弁当を受け取る。
どうやら呼び出しの理由は届け物だったようだ。
説教じゃなくて良かったー、なんて思いながら自分の教室へ戻ろうとしたところ、後ろから春乃に呼び止められた。
「待ちな」
「へ?」
「ちょっとツラ貸しな」
「いやツラて」
ソファーから立ち上がりながらヤンキーみたいなことを言う春乃はそのまま冬夜の方へ歩いてきて
「いいから来な」
「へ、へい……」
と、今度は強めの口調で命令された。
ふぇぇ……怖いよお姉様……
そして冬夜は春乃に引っ張られながら応接室をあとにした。
「ちょ、姉貴、首。首締まってるから。いやマジで苦しい。あと自分で歩くから」
「ん」
「あー、しんど。やっと解放された」
「ああしとかないと逃げるでしょ。あんた」
「いや逃げねぇよ。……場合によるけど」
「ほらね」
「ってか姉貴。どこ向かってるんだ?」
冬夜はどんどん先に行く春乃に聞く。なぜなら春乃は先程から人気のない校舎の北側に向かって歩いているからだ。
我が学校は新校舎と旧校舎と別れており、新校舎は漢字の「口」のような形になっており、なんとも珍しい形の校舎である。
一方旧校舎は、現在はほとんど使われておらず、もはや学校の備品などを置く物置のようになっている。噂ではもうじき取り壊すんじゃないかとの噂もあるとかないとか……。
そして現在、冬夜と春乃は新校舎の1階西廊下をきたに向かって進行中。どこに向かってるのやら。
「行ったらわかる」
と言われてもなぁ……と冬夜は思う。
心の中で愚痴を零していると春乃が進路を変えて階段を登っていく。
まぁそうだよね。1階の北側なんて会議室ぐらいしかないもんね。
春乃に続いて冬夜も階段を登る。
最近階段もしんどくなってきて早くも身体の衰えを感じてきた。
……近いうちに夜走ろうかなぁ……
もっと上の階に行くかと思いきや、春乃は2階でストップ。
どこ行くのかしら……2階の西側なんて生徒会室ぐらいしかないぞ。
なんて思っていたら着いた場所はなんと生徒会室。
マジかよ……
そして春乃は冬夜がいるのを確認して、躊躇なくドアを思い切り開けた。
いや、もうちょっと優しく開けようよ……
「む、扉はもう少し優しく――」
ほら、生徒会の人達もちょっと怒ってるじゃん。何してんだよ姉――
「姉さん!」
え、アネサン……?
冬夜が思わぬ事態にフリーズしていると、生徒会室にいる4人全員が春乃の前まで急いで走ってきて片膝を着いて忠誠のポーズ。
そして――
「「「「お久しぶりです!姉さん!!!」」」」
「ん」
いやいや、どういう状況よ。
どうでもいい情報ですが、
校長は頭の上ら辺が光る恰幅のいい中年男性。
教頭は眼鏡をかけた細長い男性。




