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サクセン?なんすか、作戦って?

 魔族側につく。

 それは、人類を敵に回すことを意味する。


 おいらの発言を聞いたオリバーさんがすかさず言う。


「お前正気か?人間側の三国はシャゾーをもうすぐで滅亡させる勢いだ。それに魔族側についたら、もう人間の国には帰れないんだぞ。」

「まさかアンタ、攻められてる魔族が可哀想だって理由だけで提案してるんじゃないでしょうね?」


 否定するのも分かる。

 ただ、まずはおいらの話を聞いて欲しい。


「えと、まず、人間の国に帰れないって話なんですけど、人間側について魔王を倒しても、その後暗殺かなんかで僕達全員ぶっ殺されます。だって魔王を倒せる程のめちゃめちゃ強い奴が四人もいて、もしそいつらが自分に反抗してきたら王様困るじゃないですか。だから多分、一時的に利用して危険だからハイサヨナラだと思うんすよね。で、魔族は攻められっぱなしで、味方になりますっていう僕達を疑って殺しても戦況は良くならないわけですよ。だから多分魔族側にいた方が殺されません。魔王がよっぽど無能とかでなければの話ですけど。」


 あとはおいら達が仲間になって、戦況がどのくらい変わるかだ。

 サマーナさんの話を聞く限り、おいら達は何やら強そうなので、結構戦況を変えられたりするかも。


 ただやっぱりおいら達だけでは、一時的な対策にしかなり得ないだろう。

 魔族と一緒に四人がずっと戦わなきゃいけない状態が、今の考えだとどちらかが全滅するまで続けなきゃいけない。

  だとしたら、時間が経つにつれて数の暴力で押し切られてしまう可能性が高い。


 しかも、おいら様が死ぬまで戦うとかマジ無理なんで。



 そうすると、魔族別に殺したくないですーって人々を魔族国家に連れてくのはどうだろう。

 街に出た時聞いてみたら結構皆そういう感じだったから、全員集めたら凄い数いそう。

  まぁ勿論、魔族ぶち殺すおじさんとか魔族ぶち殺すおばさんしかいないクラーワ共和国の方々は置いといて。


  この作戦だと、ワンチャン人間側の進軍を止められるかも。

  カツマル教の教えに、魔族殺しなさいーはあっても人間殺しなさいーはないので。

  同じ人間を殺す理由はどこにもないから、殺しちゃダメだよねってなる可能性はある。


  あとはおいら達に賛成してくれる人々をどうシャゾー周辺地域に移動させるか。

  普通にぞろぞろ連れて歩いてたら、いやいやなんでお前ら沢山人集めて歩いてんの?おかしくね?ってなる。


 バレないように地下道的なの作ってそこから移動出来たりとかしないのかなあ。



 あ、魔法で出来るか。


 こういう時優秀っすね、魔法。



 結構考え込んでたら、三人がポカンとした顔でこちらを見ている。

  おいらの顔に何か付いてるのだろうか。


 おいらが見ているのに気づいて、ハッと顔を元に戻す。


「いや、すまん。ただ、ひろゆくって頭いいんだなと思っただけだ。」


  はあ。

 このぐらいは、ちゃんと考えれば誰でも思いつくことなんすけどね。


「私は魔族側につく案に賛成。」


 ルナさんが言う。


「仮にじゃあ魔族サイドに行くとして、どうやって味方になるの?前線に行って魔族に味方ですって言ったって、聞き入れて貰えないわよ。」


 ソフィアさんの言うことはもっともだ。

 最前線の者に何を言っても、上の指示が無い限り勝手に従うわけにはいかない。

 だから、最初にトップと話をつければいい。


「直接魔王の所に行けば良くないすか?魔王城って一番奥にあるじゃないですか。で、この国の北西で魔族国家の西に森ありますよね。その森突っ切っちゃえば魔王城すぐなんで。」

「あのねぇ。それじゃあなんで人間側の国は直接魔王城に行かないと思う?その森に入れない理由があるからよ。」


 理由ってなんすか?って聞こうとしたその時、


「ペルーダ」


 そうルナさんが呟くと、オリバーさんが続けた。


「森には川が流れていてな。その川沿いに、ペルーダって名前の怪物が住んでいるんだよ。実際に見たことはないが、噂によるとソイツは緑色のデカい蛇で、猛毒の針と口から火を噴くらしい。森に入るとペルーダに襲われるから、誰も入らない。まぁ、森の守り神みたいなもんだな。だから、そのルートはちょっと厳しいんじゃないか。」


 へえー。

 でも障害はそれしかないならいけるんじゃない?

 そいつを何とかすれば。


 もし戦って勝つ希望があるんだったら行った方が良いし、欲を言うと仲間にできたら三カ国にペルーダとやらをアピール出来て嬉しいのよね。


 まぁここは焚きつければなんとかなるかな?


「あ、じゃあペルーダにはもうはなから勝てないってことですか?国で一番の戦士と、魔法使いと、僧侶がいても、やっぱり勝てないと。そういうことですよね?」


 顔をあからさまにニヤニヤさせながらおいらが言う。


「まぁ、そういうことに…」

「いいわ!そこまで言うならやってやるわよ。私は一言も負けるなんて言ってないしね。」


  ほーら、食いついた。

 ソフィアさんはそういうタイプだから、御しやすいんすよね。


「味方につけられたらもっと良いんすけどね。流石にそこまでは期待しませんけど。」

「アンタ……見てなさい。ペルーダに首輪してアンタの前散歩してあげるから。」

「あー是非お願いしますー。」


  これでルートは決まった。

 最悪逃げ切れば良いからそんなに気にしなくていいと思う。


「というか、さっきから私達三人を煽ってるようだけど、勇者のアンタも行くの分かってる?」

「いや、僕は行かないっす。」

「はぁ!?」


  全員からどーゆーことだという目つきで睨まれる。

 これから作戦話すのに、おいら様可哀想ー。


「いやあの僕その時やることあるんですよ。結局僕達四人だけじゃどうなるか分からないので、僕が魔族嫌いじゃない人々を集めて、バレないように森に移動させます。それでそこも魔族領にしちゃえば、移動して来た若い人とかで戦ってくれる人も現れるし、向こうも無闇に人間殺せないよねーってなると思うんですよ。だから皆さんが戦ってる間、僕は人を集めて地下通路的なのを作らなければなりません、ということです。」

「それ、あなたがやる必要はあるの?」

「そうよ!人を集めるなら誰でもいいじゃない。大方ペルーダと戦うのが怖いとかでしょ?」


 どちらかというと、地球に存在しなかった生物を見ることが出来るからそっちの方が興味有るんだけどね。


「いや、別にそーじゃなくて、僕スキルに嘘を見抜くスキルがあるんすよね。で、魔族反対派のスパイが来た時に分かるので、僕が適任かなーと思ったんですけれども。如何でしょうか。」


  この国がどういう広さか全然分からないけど、ロシアみたいな広さじゃないことを祈る。


「俺はひろゆくの作戦で行こうと思う。正直ペルーダと戦うのはキツいが、ひろゆくは俺らよりずっと賢そうだから、この作戦が一番いいモノなんだろう。」


 オリバーは見た目よりも冷静なんだよね。

 松岡〇造タイプじゃなかったのでちょっと安心。


「今回はそれでいいわ。だけど、もしアンタが失敗したら、ペルーダの餌にするから。」

「食べられたくないので頑張りますー。」


 おいらにしてみれば、そちらがペルーダどうするのか問題の方が大事なんだけどね。

 こっちは決められた仕事をして終わりだから失敗する要素がそんなないけど、御三方は戦闘だからなあ。

  まあもう頑張れとしか言いようがない。


「私は元から賛成。」


  ルナさんはもうよく分かんないんだよね。

 まぁ別に良いんだけどさ。


「あと、僕の到着する前に怪物倒しちゃったら先に魔王城行ってもらっていいんで。」



  少しの沈黙の後、オリバーさんが口を開いた。


「なぁひろゆく。今更だけどさ、この作戦、お前が裏切ってるシナリオもなくはないんじゃないか?」


 あー、確かに。

 おいら一人だけ安全圏だしね。


 ルナさんもそれに続く。


「魔族側の私達をペルーダに殺させて自分は人間側って可能性もある。」


 そう考えると確かにそうっすね。

 どうしたものか。


「じゃあこうしましょう。私達が出発して一ヶ月以内にアンタが森に来なかったら、裏切ったと見なしてアンタと敵対するわ。この国から森へは大体一日で着くから、早すぎるってわけでもないんじゃない?あと、ペルーダに関しては殺されるなんて有り得ないから安心して。」


  あ、それはそれは安心ですー。

 それに、一ヶ月あれば大丈夫だろう。


「その条件で大丈夫ですー。」


 これで一旦OKというところか。

 地下に穴を掘るのはやったことないけど、多分いけるだろう。おいら様凄いし。


 すると、オリバーが話しかけてくる。


「ひろゆく。俺らはパーティなんだから、敬語は無くていい。それと、次からはヒロって呼ばせてくれ。」

「あ、はーい。了解でーす。」


  基本おいらは誰に対しても敬語を使う主義なのだが。

 まぁパーティは友達感覚なんだろう。

 敬語は使わないように心がけまーす。



「誰か来たぞ。」


 流石の察知能力でオリバーが気づく。


 その数秒後、部屋のドアがノックされ、開かれた。

  そこにはサマーナさんの姿があった。


「皆様方、国王がお呼びです。」



  多分、兵士と共に前線へ行けとか言われるのだろう。

 勿論おいらは行かないけど。



 そんなことを思いながら、おいらは国王の元へと向かった。



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