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恋愛~ちょっとした恋物語たち~

君と図書館の思い出

掲載日:2021/04/29

君と図書館にやって来た。

名目は、課題の本を借りに。

でも……。

ドキドキして、

本の話をしてるのに上の空。

静かな空間に、

自分の鼓動の音がやけに聞こえる。

君は、どうなのだろう?

君の鼓動もドキドキしているのかな?

高い書架と書架の間に入った時、君がふと真剣な顔をした。

胸が高鳴った。

君は、何を考えているの……?

手を伸ばされて……。

思わず目を瞑った私。

「見つけた、この本」

君は笑顔で一冊の本を手にしていた。

なーんだ、本だったのか。

と私は思わずときめいた想像を追い払う。

だって、だって、少女漫画みたいにそのまま顔を近付けられてキスかなぁって!

思わずそう思っちゃったんだもん。

落胆して、不貞腐れていた私の耳に君の言葉が届く。

「この本、お前がよく読んでた本だよな」

「え?」

君が手にしていた本は、確かに私のお気に入りで、よく借りていた本だ。

「何でそれを知ってるの?」

不思議そうな顔をしていたのだろう。

そんな私を、君はまた真剣な顔をして真っ直ぐ見てくる。

その手にはもう乗らないぞ。

と私は思った。

またどーせ、君の事だから適当な理由を言うのだろう。

すると君は明後日の方向を向いた。

「……ずっと、見てたからだよ」

「え?」

その小さな声に、思わず聞き返す。

「見てたからだよ」

今度は、はっきり聞こえた。

「お前のこと、ずっと見てたからだよ!」

三度も言った君の顔は真っ赤だった。

しーっ!

と慌てて口元に手を持っていった私も、多分、顔は真っ赤だろう。

「…………悪りぃ、つい」

「中庭、行こ」

私は、窓から見える中庭を指さす。

図書館の中庭は、明るくてベンチが一つポツンと置いてあった。

そこに、君と二人自然と並んで座る。

今日は、いい天気だった。

風も穏やかに吹いている。

私の長い、結ってない髪も風に吹かれて揺れている。

君は、まだ赤い顔でそんな私をぽけーっと見ていた。

そしてハッとした様に顔の前で手を振る。

「ち、違う! 見惚れていたわけじゃないからな……」

「……さっきの続き」

私の心臓はもうバクバクして言うことを聞かなかった。

それだけを言うのが精一杯。

「お、おう。お前のことをずっと見ていたって、ゆーのは、そのあれだ。最初は、お前の読んでいた本の背表紙のイラストに興味をもってだな!」

君が語るには、こうだ。

学校の休み時間に、私はよく本を読んでいたのだ。

カバーを付けるのが苦手な私は、カバーもせずに本を読んでいた。

偶々、横を通った君が私の本の背表紙のイラストに目を留めた。

相当気になっていたそうだが、本屋に行って探してみても当てもなく見つからない。

当然だ、と私はここで思った。

その本は図書館にしかない、もう絶版物だった。

「……だから、話しかけてだなー。その、本について聞きたかっただけだったんだが」

「だが?」

私は聞く。

君はもう観念したように言った。

「その内に、お前の事の方が、すっごく気になっちまって」

「え」

「つまり、()()()()()()! ()()()()()()

大爆発。

もう私の心臓は持ちませんこれ以上はってくらい跳ねている。

「好き」

「は!?」

気付いたら、私の口から漏れたのもこの一言。

「私だって、今日すっごくドキドキしていたんだから!」

君の目が見開かれる。

そして、ぐだ~とベンチの背にもたれた。

「……やべー、隕石が落ちてきたってくらい衝撃で嬉しい」

「その例え、無茶苦茶なんですけど?」

私と君は、同時に吹き出した。

君とのきっかけになった本を借りて、今日は帰ろう。課題の本は勿論。

手を繋いで帰ろう。

君と私の図書館の思い出は、こんな物語である。


お読み下さり、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「隕石阻止企画」から拝読させていただきました。 本当にもう初々しくて、ほっこりしますね。 読ませていただき、ありがとうございます。
[良い点] 「隕石阻止企画」から参りました。 静かな空間で、ドキドキしている二人がいいですね。 本に興味を持っているうちに、読んでいる人に興味を持つというのが自然な流れで、素敵です。 この企画で、衝撃…
[良い点] 照れる(〃▽〃) うれしはずかし、初々しいラブストーリー! いやんばかんですぇ。もう。 ( ´艸`) [一言] 企画参加ありがとうございます!
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