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29歳ニート、高校生に謝りに遠くまで行く!

作者: 戸塚

私は29歳CO大学文学部卒で職業YouTube rのフランス人ジーダン。収入はまだない。何故仕事をしていないかというと私は自分の出身大学に強い誇りを抱いており、周りの人間のレベルが低すぎて働く気が起きないからだ。現在宇都宮線の電車に揺られている。ここに至った経緯を話すと長くなるのだが、簡潔に言い表すのなら私の不祥事でネット上で交流のある高校生に謝りに私の住んでいる東京都世田谷区成城から栃木県の宇都宮まで向かっているのだ。ちなみに私は成城に住んでいる事を非常に誇りに思っていてそれでネットのクソガキ共にマウントを取るのが趣味だ。


少し長くなってしまうが何故このような事をする事になったのか説明しよう。

まず私は『ミスターCO大学ジーダン』としてYoutuberとしてネット上で活動している。ちなみに私のチャンネルのテーマソングは『JIDANマシーン』という曲なので興味がある人は是非聴いてほしい。

話は脱線してしまったが、その中で先ほどあげた高校生に対してこのような動画を出した。『カステラつまらなすぎwwwwwwww』というタイトルの動画である。

その高校生はスペイン人で名はカステラというのだが、私は彼が出している動画に対してつまらない、見ていて苦痛、Youtuberやめろだの酷く罵ったのである。カステラとは一度新宿歌舞伎町で会った事もあり、流石にカステラも傷付いてしまったのであろうかしばらくしてこのようなタイトルの動画を出したのである。

『ミスターCO大学ジーダンさんに喧嘩を売られました。』というタイトルの動画である。この動画の中で私は彼に、「これまでネットの活動や直接会ったりして仲良くしていただけに悲しい。それに貴方は無職で借金まで抱えているんだからネット活動なんてやめて早くアルバイトでもいいから仕事を見つけた方がいい」と。これを聞いた私は(自分がこれまで彼にしてきた行為を全て棚に上げて)激怒した。しかも、昔世界帝国だからといって現在オワコンでしかないスペイン風情がフランス様に上から目線で物申すなど生意気にも程があるのだ。

そしてカステラに対してアンサー動画を出した。


『カステラ謝罪動画出せ』


それが彼がカステラに対して出した動画のタイトルであった。いい年した大人が自分から何も悪い事をしていない高校生に喧嘩を売った挙句、正論を言われたら謝罪動画を出させるなどはっきり言って傍若無人にも程がある振る舞いなのだが、彼は自分の言動を全て棚に上げてカステラを非難する動画を出したのだ。動画の中身はこのようなものだった。


『俺はお前のYouTuberとしてのやり方が気に食わないと言っただけでお前の人間性は否定していない』


『俺は無職である事を気にしているのに、それを口にするのは無神経にも程がある。』


『お前の高校にお前がYouTube活動をやっている事をバラす』


『そして合法的にお前の人生を潰してやる』


『だがもしお前が謝罪動画を出すのならこの心優しいジーダン様が示談で済ませてやる』



以上が動画内で話されていた内容である。ちなみに動画のbgmは情動カタルシスという曲であった。フリー素材でありながら凄くいい曲なので興味がある人は是非聴いてほしい。




『カステラつまらなくなったなwwwwwwww』という彼が出した動画では散々彼の人間性を否定するような発言を繰り返し、無職である事を気にしていながら就職活動やそれに類する活動は一切していない、何より本来なら社会人として働いているべき年齢であろう大人がアルバイトすらもせず、10歳以上歳下の高校生に対して脅迫紛いの行為を行ったのである。あまりにもみっともない行為なので、読者の諸君はこのような恥ずかしい大人にならない事を心より祈っている。



そしてこれに対してもまたカステラから返信動画が出された。『示談したい?だったらお前が宇都宮に来いよwwww』というタイトルの動画である。


この動画の内容は、『自分は何も法に触れるような発言はしていないのだから謝る気はない。もしお前が俺の地元の宇都宮に来るなら示談も検討する』という内容であった。


これに対して自称・ミスターCO大学ジーダンはどういった反応を取ったのだろうか…?


「なん、だと…」

ジーダンは驚愕している。カステラからの返信動画に対してもだが、それ以上に自分が出した『カステラつまらなすぎwwwwwwww』と『カステラ謝罪動画出せ』の2本の動画が低評価の嵐だったからである。



残念ながら彼は自分を高IQだと思っている低IQなので、なぜ自分がここまで炎上してしまったのかも分かっておらず、自分の動画をいつも見ている主な層の陰キャラ視聴者が馬鹿で嫉妬しているからと思っていた。確かにこの動画は視聴回数は稼げたがこれだとファンが離れ、意味がない。そして何より今までの経緯を見れば誰でも分かるだろうが、彼は非常にプライドが高い。自分は平気で他人を非難するくせにカステラの自分に対する苦言は全て自分という人格を否定するアンチ行為だと決め付けた行為が全て物語っている。


「このままでは俺の収益化の夢が閉ざされてしまう…どうすれば視聴者からの信頼を回復できるだろうか…?」

自分で喧嘩を売っておきながら何様だこいつと大半の人は思ったであろう。そんな中彼は一つの名(迷)案を思い浮かんだ。


「そうだ!カステラとの騒動は最初から全てヤラセだったという事にしておこう!そうすれば馬鹿な陰キャラ視聴者は完全に騙されて実はジーダンさんは悪い人じゃなかったと思うに違いない。よし、カステラに相談しよう!」


盗人猛々しいとはまさにこのような人物を指し示すのであろうが、彼は非常に自分に酔っているので自分以外の大半の人間を見下しており、カステラみたいな高校生なら、自分が考えたこの素晴らしい提案に当然応じるであろうと舐め切っていた。

そして彼はカステラに以下のようなメッセージを送った。


『今までカステラをバカにしていたのは本心からではなく、演技だった。ああすれば馬鹿な陰キャラ視聴者は寄ってくると思った上での行動だったので今回の事はヤラセという事にして欲しい。というよりしろ』


謝罪の一言もなく、呆れて物も言えないような内容のメッセージだが、カステラはこれに対して以下のような返事をした。


『ふざけるな。自分から一方的に攻撃をしておいて、自分が不利になったらヤラセという事にしろだと。だったら以下の事をしろ


① ジーダンがカステラへの謝罪動画を出す。

② ジーダンがカステラの住んでいる宇都宮に来て直接あって謝罪をする。

③ そして動画の中で宇都宮に行く旨を伝える。

④(後述)』



これを見たプライドの高いジーダンはどういう反応を取ったのだろうか…?


「これどうすればいいんだ…?」


ジーダンはカステラから来た和解の条件4つに唖然とした。プライドの高い彼は高校生に謝罪など到底受け入れられない。しかし、このままでは視聴者離れが進んでしまう。現に『カステラ謝罪動画出せ』の後に出した料理動画とカフェ動画はどちらも低評価とアンチコメの嵐だった。無職で収入がなく何としても収益化を達成しなければいけないと思った彼はファンを取り戻すために自分のマイナスイメージを払拭しなければならない。金ないんだったら仕事探せよ!というツッコミが読者の皆様から聞こえた気もするが聞かなかった事にしよう。


止むを得ず彼はカステラの要求を呑むことにした。場所は宇都宮駅、日時は1/20(水)宇都宮駅15時になった。

まともな人間であれば仕事をしているだろ!というツッコミが聞こえた気もするが(ry


こうしてジーダンは不本意ながらもカステラの住んでいる宇都宮まで往復4000円、4時間程かけて行く事になったのだ。その時間をもっと有意義な事に使うべきだったのは言うまでもないことである。はっきり言って家でお◯にーでもしていた方がまだマシである。



そして当日、運の悪い事に関東では大雪が降っていた。家から出る事が少ないジーダンはめんどくさいと思いつつも自宅を出発した。


ちなみに、無職で暇という事もあって日時の変更を打診したが、「お前にそんな権利はない!」と断られてしまった。「雪の日なのだから同じく基本暇なカステラ側としても別の日時にした方が都合が良いはずなのだがなぜ変更を嫌がったのだろうか…?」とジーダンは疑問に思いつつ自宅の最寄駅である成城学園前駅から小田急線で新宿に向かった。周囲にマウントを取るためだけに借金をしてまで家賃の高い成城という高級住宅街に住むんじゃねえというツッコミは無視する。


雪の中、自宅がある東京都世田谷区成城学園前駅を出たジーダン。新宿駅で湘南新宿ライン宇都宮行きに乗り換え、宇都宮に向かうのだった。


プライドの高い彼は非常に不愉快な気分になっている。なんで自分みたいな高学歴高IQエリート(無職)が低IQ高校生に謝罪しなければならないのか今考えても腸が煮えくり変える気分である。だがしかし、YouTubeでの収益化を実現するためには視聴者から失った信頼を取り戻さなければならない。そう思って彼は宇都宮に向かった。本当に向かうべきところは就職支援施設やハローワークであるという事はすっかり忘れて。




そして宇都宮駅に着いた。改札を出るとカステラが待っていた。宇都宮でも雪が降っていた。しかも決して少ない量ではなかった。


宇都宮駅に着いたジーダンはまずカステラに謝罪した。自分から煽るような動画を撮ってしまった事、さらに自分から煽っておきながら謝罪を要求するという不届き千万な事をしてしまった事、などを謝った。


だがしかし、カステラはそれだけでは許さなかった。

俺に慰謝料10000円払え、と言った。これが前回の4つ目の条件である。

ジーダンは借金の身であり、それだけは勘弁してほしいと言ったがカステラは聞く耳を持たなかった。それだけでなく、もし払わなかったらお前がヤラセという事にしてもらうために宇都宮に来た事をバラすぞと脅された。彼は泣く泣く10000円を払った。往復の交通費だけで4000円かかっているのに何をやっているんだこいつは…


そしてさらに条件を追加してきた。


『パンツ一丁になって駅前のペデストリアンデッキ広場で土下座をして俺に許しを乞うパフォーマンスをしろ(大雪)』



これが高校生カステラがジーダンに対して賠償金10000円とは別に突き付けた条件であった。こんな無理難題、まともな神経をしていれば絶対に断るだろう。そもそも、この日は平日でいい歳をした大人が10歳以上年下の高校生に謝罪に往復4000円と4時間かけて行くこと自体が馬鹿げているが…


ただ、やはり人間というのは誰かとの繋がりがなければ生きていけない。彼ジーダンは現実世界でもインターネット上でも多くのトラブルを起こして嫌われまくっていたので、カステラ以外の友人がおらず、これを失ったら全ての人間関係がなくなってしまう。まるで一本の糸に縋る蜘蛛のようである。なおここだけの話、カステラは彼の事をおバカな金ヅルだと思っている。


カステラ本人もまさか本当にやるとは思っていなかったので、やると言い出してペデストリアンデッキの広場で上の服と下の服を脱いだ時は流石にドン引きしていた。そして彼は真冬の雪が降る中、カステラに向かって「お許しください、カステラ様」とひたすら連呼していたのであった。しかも何故だか分からないが、この様子を自分で動画に収めたのであった。この時はまだそこまで知名度がなかったのだが、後にこの動画をきっかけに大きな知名度を得てカルト的な人気を得ていく事を誰も知る由はなかった。まるで某大物YouTuberのオフ会0人動画のようである。


いくら金ヅル兼玩具としか思っていなかったとは言え、中年にしか見えないおっさんがガキ相手にパンツ一丁で土下座している事への通行人の視線などを感じると流石に不憫に思えたか、もういいとジーダンに伝えた。ジーダンはカステラからの許しが得られて泣いて喜んでいた。カステラはもうこれまでの事は水に流してこれからは仲良くやっていこうといい、彼の事を許した。なお、賠償金は1円も返していない。


そしてカステラはジーダンにコラボ動画の作成を持ちかけた。「ジーダンさん、仲直りの印にカラオケでコラボ動画撮影しませんか?場所は近くのあそびば宇都宮でどうでしょう?」 カステラ以外友達(金ヅル)のいないジーダンはそれを喜んで受け入れた。そして2人でカラオケに向かったのである。



これ以降、カ…カステラ、ジ…ジーダンだと思って読み進めてください。



場所はカラオケボックス



カ「えー、今日は今現在インターネット上で大人気(大嘘)動画配信者のジーダンさんに東京からわざわざ宇都宮までお越しいただいております。では、自己紹介をどうぞお願いします。」


ジ「ミスター無職のジーダンです、やーす!」


カ「早速ですが、ご年齢とお住まいとご職業を言っていただけないでしょうか?」


ジ「現在29歳で住んでいるのは東京都世田谷区成城、職業はYouTuberです。成城に住んでる、ここ重要。」


カ「おー、成城とはなかなかご立派な場所にお住まいのようですね。ちなみにこれまでどれくらいの金額を稼いでおいでなのでしょうか?」


ジ「(プライドの高さ故に小声で)まだ1円も稼いでない…」


カ「おー、なるほど、月40万円ですか〜。まあ実際は、6桁目を四捨五入しているんですけれどもね。」


ジ「(歯痒い顔)」


カ「まあ、でもまだ始めて1年半ですし、今後も伸び代はありますよ!ちなみに登録者は何人ですか?」


ジ「さ、さんびゃく…(半分は購入によるもの)」


カ「な、なるほど300人ですか…ちなみに僕は現段階で1000人で収益化も達成しています。」


ジ「(しれっと自慢するな、クソガキ…)」


カ「ちなみにYouTubeを始めたきっかけをお教えいただければと思います。」


ジ「周囲の人間は馬鹿なので誰も高IQの自分を理解せず、中高大とどこに行っても干されており、YouTuberとして大成してそういった低脳で俺に嫉妬しているアンチを見返してやりたいと思ったからです。」


カ「お、立派なお志をお持ちなんですね!流石ポリシーをお持ちの方は違いますね!視聴者のお前らもジーダンさんを見習ってポリシーを持て!」


ジ「まあ、アンチは低脳で俺の賢さに嫉妬してるだけだから俺の寛大さに免じて許してやろうw」


カ「なるほど、ちなみにそれを裏付けるようなエピソードはあるんですか…?」



気まずい沈黙…


カ「な、なるほど…俺は存在自体が高尚なので、そんな事一々説明するのも面倒だ、てめえで勝手に想像しろ、とおっしゃりたいんですね!」


ジ「まあ、そういう事。」



こう言ったやりとりがしばらく続いた後、



カ「今回はご視聴いただきありがとうございました。最後にジーダンさんの歌で締めくくりたいと思います。ジーダンさん、選曲は何にしますか?」


ジ「(選曲中)」


カ「お、うっせぇわですか。いい曲選っすね。では、ジーダンさん、どうぞ!」



高IQとは エリートとは

それが何か見せつけてやる!


ちっちゃな頃は優等生(自称)

気付いたらニートになっていた

働くという思考回路

持ち合わせる訳もなく…



歌唱終了後…


カ「ジーダンさん。本日はありがとうございました。またコラボできる事を楽しみにしています!その時はお小遣い程度に2万円とか頂ければ幸いです!」

ジ「ありがとうカステラ、また寂しくなったら宇都宮まで来るよ。」


こうしてジーダンの(日本一無意味で金と時間の無駄だと思われていた)宇都宮遠征は終わりを迎えた。

しかし、この時撮った動画の数々が後のジーダンブームの幕開けになる事をこの当時の人は誰も知らなかった。



後日カステラのボコボコ生配信一人語りで…


カステラ「ジーダン暗い。基本ジーダン暗いんだよ。」「あんなので職業YouTuber(敢えてrは小文字)名乗れるなら、世界中からニート撲滅されてますわ。」



おしまい。


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