目を開けたら望んだ世界で
惰性的な毎日。怠惰な生活。何も起きない日常。つまらない人生。醜悪な自分。
高校生になってかれこれ2年。もうすぐ17歳になる。そんな人生の絶頂期であろう歳にも関わらず、俺は変わらずつまらない日常を過ごしていた。友達もいない。成績も悪い。親からも期待されていない。
そんなクソみたいな人生を歩んでいる俺は、死んだ目をしながら学校の帰路についている。これまでの人生、面白いと思えたことが一度もない。
いつか漫画の世界みたいに、この世界に人類の天敵となる敵とかが侵略しにこないかなー。そしてそんな敵を、物語の主人公みたいにバッタバッタと俺はなぎ倒す。
そんな中学生みたいな痛い妄想を膨らませながら、トボトボと家に帰る。俺の真横を、青春真っ只中みたいな学生たちが走り去っていくのを見て、心がざわつく。
もしかしたら俺もああなっていたのか。どこかで道を変えていたら、今頃は青春を謳歌できていたのか。
……考えるだけ無駄か。たらればのことなんて、いくら考えたところで虚しくなるだけ。今の現状を否定したって、さらに惨めになるだけだ。
それに、友達なんか別にいらない。俺は一人が好きだし。それに家族から奇異の目で見られても、別に……。
そんな言い訳のような強がりを心の中で言っている。現状をつまらないと嘆きつつ、別に変えようと努力もしない。俺は俺が嫌いだ。
そこだけは自信を持って言える。「嫌いな人間はいますか?」 と問われれば、俺は真っ先に「須田和敏」と答えるだろう。
それぐらい自分が嫌いだ。でもそんな自分を変えようとも思わない。行動するのは苦手だ。疲れるのも、考えるのも。だから周りが勝手に変わってくれることを願う。
それかもしくは、無理やり俺を変えさせてくれるような環境に置かれるとか。そんな考えを抱きつつ、俺は歩みを進めていくと、突如目の前が真っ白に光輝き……。
「……………え?」
素っ頓狂な声を出し、固まる。目の前の見慣れない草原に、そびえ立つ城壁に、声を奪われる。
「??? ナニコレ?」
状況が把握できず、混乱する。これは俺がいつも抱いていた妄想が現実になったということだろうか?
なんてことを思いながら、俺は期待に満ち溢れた眼差しで空を眺めた。