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第60話 避難所にまいりました (エミリア視点)

 エドワード神官様に優しい言葉をかけていただきました。わたくしはそれだけで天にも昇れそうな気持ちになり、感情(なみだ)がどんどんあふれてきたのですが。さすがに今はこのような状況ですので、わたくしは涙を拭くと、二人でギルドへ向かいました。


 マリーがお持ちになっていたあの白い剣は、今は神官様の手の中にあり、次々と幽霊(ゴースト)をなぎはらっております。剣を振るたびにもれ出る白い光はキラキラとしていて、わたくしはなんだか神聖な気持ちになりました。


 わたくしもお役に立てればと、神聖魔法で攻撃いたします。マリーの見せてくださった聖典に載っておりました「聖なる光」(サント・ラッジョ)がよく効くようですので、それを使うことにしました。いずれ神官様のように立派な聖職者になりたいものです。


「エドワード! エミリア! 来てくれたのかい!?」


「マルタさん!」


 避難所を守っていらっしゃったマルタさんたちと合流しました。三人とも避難所の外の広場で戦っていらっしゃいました。ここはいつもなら、ギルドの冒険者さんたちが訓練なさっているところです。


「避難所のみんなは無事さ! 早いとこ片付けてしまうかね!」


「「はい!!」」


 総勢五名となったわたくしたちは、みんなで協力し合い、幽霊(ゴースト)を倒していきました。わたくしは戦闘においてまだまだですので、足を引っ張っていないか心配です。


 そうこうしているうちに、幽霊(ゴースト)の数が残り少なくなりました。もう片手で数えられるほどです。と、次の瞬間、前にある避難所が一瞬ぐにゃりとゆがんで見えました。


「え、ちょ、結界が!!?」


 マルタさんたちには何が起こったのか分かったのでしょう。全員青ざめてしまわれました。そしてみなさん、避難所の入り口に向かって走り出しました。わたくしも遅れまいと続きます。


 避難所の中に入ると最初に目に入ったのは、テオ兄様とシーナさんが幽霊ゴーストにしがみついている姿でした。幽霊(ゴースト)はそんな兄様たちを振り落とそうというのでしょう、床すれすれからわたくしの頭の高さくらいまでを飛び回っておりました。


 すでに結界は張り直されたらしく、頭の上に幽霊(ゴースト)が何匹かいるものの、結界をすり抜けてはこられないようです。


「みんな大丈夫かい!?」


 結界内に入り込んだ幽霊(ゴースト)たちは、すぐに倒されました。兄様たちの捕まえていたものも。結界の外の幽霊(ゴースト)たちは、アイリーンさんが神聖魔法で倒してくださいました。ああ、さすがはアイリーンさんですね。わたくしの知らない魔法をご存じです。


「ふう、いったい何があったんだい?」


 マルタさんは、お部屋の中央にいらしたアンソニーさんに尋ねました。お顔が真っ青です。結界を張るのは大変ですものね。


「まぁ、とにかくみなさん無事のようで……」


 神官様が声をかけました。アンソニーさんは何かおっしゃりたいようですが、上手に言葉にできないのでしょう、お口をぱくぱくとされています。ああ、よっぽどお疲れなのでしょうか?


「無事じゃないんだ!!」


 テオ兄様が大きな声を出しました。そしてそのままわんわんと泣き出しました。


「ど、どうしたんだい、テオ? ああ、ごめんよ。怖い思いをさせて……」


 マルタさんが心配そうに声をおかけになりましたが、兄様は泣くのをおやめになりません。


「マルタ……、マリーがさらわれちまった!」


 シーナさんが絞り出すような声でそうおっしゃいました。え? 何ですって? マリーが?? わたくしの頭は真っ白になり、思わず叫んでしまいました。


「マリー!!!」

エミリア視点です。彼女の言葉遣いが丁寧なのは、今は亡き母親の影響です。エミリアが生まれる前くらいから、彼女の言葉遣いがこのようになりました。そのため、エミリアの父親はコートランドの偉い人?……というように周りから思われています。

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