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僕だけがわかる悲しみがある、僕は出て行くよ


どうけⅣ(真実)


《目に見える

涙があの目に光ったから

わがまま思っちゃダメだと思った》




僕にだけは、

優しさに隠された悲しみを


長い時間をかけて

癒そうとしているのがわかる。


それは憔悴ではなく、

ひとりぼっちの夜に甘んじる強さ。


僕の心を貴女は、なぜそんなに賢明なのに

ずーっと、気づかないのかと


不思議だったっけ、

でも、そんな訳はなくて、貴女は


死ぬまえにようやく野獣となのれたあの王を

その妻たるものの定めとして


いつまでも、それは亡くなったあともふつうに

本当に愛しつづけていただけだったんだ。


告白を、したいこともあったのです。

この秘めたこころを、せめて、一度でも。


でも、それをすれば僕の

道化としての愛さえ貫けなくなる、


それが、わかるから。

ただ、でも、心に押し寄せる恋情、もはや抑えがたく


ただ、夜空を見上げその輝く星々に

あの、今は亡き野獣の王の在りし日の姿が


貴女の瞳には、まるでそこに生きているかのように

夜空に輝く星々の中、照り返しの海のように


映っているのでしょう?

白い円環が、もっとも清らかな吐息を


寂しげに吹きかけて来るのでしょう?

だから、僕は、貴女を愛するがゆえに


あの王の真似をしつづけてきたけれど

どれほど尊敬していてさえ


僕は、ほんとうは、他人の真似をするなんて

大嫌いな奴なのですよ。


あゝ、ダメだ、ちゃんと落ち着いて、

僕が貴女のもとを離れる理由を話そうとしたけど


やっぱりそんなこと、できる訳なかったよ、

エレオノールさま。


最後の最後だから告白してしまいますと

じつはぼくはあの王のことなんか

ちっともなんとも 思っていなかったのかも

しれません

初めっから 貴女のことが 好きで

だから ただ 貴女のために

生きていたかったのかも しれません

まるで あの みずからを《野獣》と模した

貴女に対する愛情だけで

世界そのものと戦ってみせた あの 王のように

僕も貴女に対する愛情だけで

世界と戦ってみせる それは 真似じゃなく

この ちゃんと ここにある

貴女を想いつづける 意志として

ずーっと それは ここに持ちつづける

ずっと ずっと ずっと だ

ずっと それは 貴女のもとを 離れても

いつまでだって 持ちつづけるよ



あゝ やっぱりダメだ 貴女のことになると

理性がリセット(道化のシャレだよ?)されてしまう

僕は最後は ちゃんと 貴女に お別れを

告げたかっただけだったのだけれど






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