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愛しい魔女よ



道化Ⅲ(素顔)


僕の心をふみにじった?

いや ふみにじってさえ くれなかった?

ひとの世の中って いきてゆくのに

勇気がいるよね そして 決意も

僕の勇気は カレでした

僕の決意は 貴女そのもの

もう 死んでもいいけど 生きていた

理由はほかには なにもない

ただ 貴女の ことを みていたいから

ほんとうに それだけなんです

カレが 死んだでしょ 貴女のために

貴女はそれを 心の傷にしているみたいだけど

あんなの 貴女を知ってるすべての人が

やっちゃう 愛情表現だと思うよ

もちろん そんなこというと カレのこと

愛してる貴女に嫌われるから

ぜったい いわないけど

でも 僕だって 死ねるし

僕の知ってるだけで

僕の知ってる人たちはみんな へっちゃらっていう

きっと 貴女のためなら 死ぬことなんて

《聖女》よ

みんなからそう思われている 人よ

貴女が 知らない

貴女の 崇拝者が

蟻みたいにいるよ いっそ 踏みつぶしたいくらい

僕は 知っている

僕の愛が とくべつではないこと

僕は 知っている

貴女がほかのだれも好きにならないこと

でも ダメなんですよ

だって 考えてみてください

この命 捧げることができる人が

目のまえの ほんとうに 手が触れられる場所にいる

けどね その人は

ぜったい僕を 好きになることはないって

その 残酷さ

それに たまに なんか僕の勘違いなんだろうけど

必要以上にやさしい瞳で

みつめられてる気がして

まぁ そんな視線を無意識に送れるから

貴女は みんなに 好かれてるんだろうけどね

僕は すぐお側にお仕えしてるから

なおさら つらいのですよ

いや 違いますよ

だから みないでくださいと

いってるわけでは ないのです

ただ なんだか ささやかな 期待を

してしまいそうなじぶんが 嫌なんです


ここまで心をかき乱すなんて

まるで 魔女に 魅入られたみたいだ

と思ってしまって なんてこと思うんだと

あらためてじぶんを責めることになる

でも 好きで好きで大好きなんだけど

この感情はあきらかに 貴女にいただいたものなんだ

なら もう 魔女でもいいよ

魔女でも 聖女でも 対極だけどどちらでも

あーあれでしょ

みる人 みる時 によって

見方が変わる最高の悪女

あ ちがった 最高の美女

僕はもう すでに ですよ

命だって捧げてるんですから

あとは 貴女のために

いつそれを使うか だけですから


あーあ 駄目だ

こんなこと思ってたら

貴女に嫌われそう

いったいぜんたいなんだっていうんですか

貴女は


みているだけて 愛でていられる

花というわけでは けっしてないですね


あゝ あゝ あゝ それにしても

いとおしすぎる 貴女

やっぱり貴女は僕の心を惑わす

世界一の美しい魔女だと

思っておくことに します


なんだか それでようやく

心を落ち着けて いきていられそうなんです

美しい人よ





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