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第6話 SSランクの石使い 【挿絵あり】

※挿絵があります。

 グラフハウンドのボスが二人の召喚士に襲いかかった。


「魔力増幅!」

「浄化の加護!」


 魔道士の少年と剣士の少女が使い魔と自身を強化する。子分たちに危なげなく勝利した技をさらに確かなものにするために。

 ところが、相手がボスに変わったとたん、あっという間に劣勢に転じた。


「くそー! ジャッジメント・ファイア・ドラゴンの〈炎の風〉が全く効かない!」

「ユニコーン下がって! 浄化に専念してください!」


 かっこいい愛称で呼ばれたカラスのような使い魔、ファイアクロウは敵の体毛一本焼くことはできず、ユニコーンの浄化能力ではボスの強酸を浄化しきれない。

 巨大な猟犬による体当たり、食らいつきからの投げ、酸による武器防具の劣化。

 わずか数ターンの攻防で二組のコンビはぼろぼろだ。

 

 二人は大ダメージを受けたそれぞれのパートナーを戦線離脱させる。この召喚士としての姿勢は尊敬に値する。それに、この数分でアンナさんにやるべきことの説明ができた。感謝だ。

 

「アンナさん、いけるかい?」

「はい!」


 いい返事だ。

 

「あああー! 二人ともやられちまうー!」

「Fランクのヤツらをかばいながら戦ったからだ!」


 あとは鉱員のみなさんに黙ってもらおう。集中力が乱れるからな。

 大きく息を吸い込んで、せーのっ――!

 

「俺は二度の救援要請を居留守でやりすごした!!」


「!!!???」


 戦闘エリアの空気が凍った。

 俺の突然の人でなし発言に、その場にいる全員があっけにとられた。モンスターも一瞬ぎょっとした顔をした気がする。


「本当に申し訳なかった。今からその償いをするから許してほしい……。いや、俺のことはいい、俺のパートナーを悪く言わないでくれ」

「歩さま……」

「戦闘開始だ。〈マジックボウ〉起動」


 特殊武器の腕輪に魔力を込めると、ピストルクロスボウのような姿に変わる。弦は魔力の糸だ。


「マジックアイテム装填! 連続射出!」


 武器と連動している腰のバッグから、魔力のこもった鉱石を五つ引き出す。異なった色の石が矢じりのような形を取り、俺の前に横並びに浮遊した。

 クロスボウの引き金を引くと五つ全てが光の尾を引いて飛んでいく。そして腐食した防具をまとって倒れている剣士と魔道士に命中した瞬間、砕けてアイテムの効果が解放された。


 ヒール二回、浄化、防御力アップ、回避率アップ。


 アンナさんがモンスターに襲われていた場合を考え、回復系のアイテムをバッグにあれこれぶち込んできたのが役に立った。

 回復した召喚士二人が目を丸くしてこちらを見ている。


「え、今のなんなんですか?」

「マジックアイテム五連続使用なんて聞いたことないぞ!」

「そう……ですよね。アイテムとは言っても魔力を行使するのですから、ひとつ使うごとに一呼吸置く必要が……」


 要らないんだよな。


〈石使い〉のスキルその1。

 アイテムの再使用タイム短縮。SSランクで0に。

 ※ただし石関係の素材で生成されたものに限る。


 新たに参戦してきた俺にグラフハウンドは警戒の色を見せた。そのままこっちに突っ込んできてくれればよかったが、姿勢を低くしたまま動かない。

 使い魔を帰還させ、戦力を失った剣士と魔道士は格好のエサだ。俺にかまっている隙に逃がしたくはないだろう。


「アンナさん、ファイヤーボール!」

「は、はいぃっ!」


 十メートルほど後ろに下がってもらったアンナさんに指示を出す。彼女の両手のひらの上に、サッカーボールほどの火の玉がポン、と出現する。その小ささに鉱員たちからため息が漏れた。


「魔力吸収、高速生成!」


 俺は次に、アイテムに加工する前の鉱石素材〈蛍石〉取り出す。小さな緑色のかけらに火の玉を吸収させると、石が発光し始めた。

 すると、先ほどまで攻撃対象を決めかねていたグラフハウンドの様子が変わった。体は完全に俺の方へ向き、低いうなり声を上げながら石の光に見入っている。離れて待機していた子分たちも一様にこちらに注意を向けている。


〈蛍石〉+〈火属性魔法〉=〈標的マーカー〉


 使用者が敵に狙われやすくなるアイテムの出来上がりだ。

 少年と少女のポカンとした顔が視界のはしに映った。


〈石使い〉のスキルその2。

 戦闘中のアイテム生成が可能。高ランクになるほど所要時間は短い。

 ※ただし石関係に限る。


「アンナさん、もう一度!」


〈標的マーカー〉を頭上に放ち、すぐさま新しい鉱石素材を呼び出す。


「いきます! ファイヤーボール!」


 すかさず炎を鉱石に取り込む。

 俺の前で美しく輝く〈炎の矢〉に変化した鉱石は、〈ダイヤモンド〉。バルタルークにおける最高レア素材のひとつだ。しかし、吸収した魔法が最弱のFランクなので、出来上がった矢は短く華奢で頼りない。


「あわわわ! 石使いくんやめたまえー! 〈炎の風〉が効かなかったの見てただろー!」


 モンスターの向こう側で少年魔道士が慌てだした。

 彼の相棒の〈炎の風〉は確かランクB。攻略サイトの情報ではグラフハウンドのボスは〈火耐性〉ランクA。

 そして俺たちの〈炎の矢〉はF。


 SS  S  【A】  【B】  C  D  E  【F】


 これだけの差だ。さぞかし無謀に見えるだろう。ただし、マジックアイテムには魔法だけでなく、素材自体の『特性』も反映されるのだ。

〈ダイヤモンド〉の特性のひとつが『火属性の威力アップ +2ランク』


 SS  S  【A】  【B】  C  【D】 ← E ← F


 二段階レベルアップ。敵の火耐性はまだまだ破れない。


 頭上に浮かした〈標的マーカー〉が砕けて完全に起動する。巨大な猟犬がものすごい勢いで襲いかかってきた。では、スキルその3のお披露目といこう!


「特性強化!!」


 一瞬でDランクの〈炎の矢〉は一メートルを超える程に長く、太くなった。さらに込められたファイヤーボールの威力が膨れ上がり、周囲にすさまじい炎の渦を発生させる。


「くらえ!!」


 強く地面を蹴って飛び上がったグラフハウンドはもう止まれない。

 猟犬ののど元にクロスボウの照準を合わせ、燃えさかる炎の塊を撃ち込んだ。



挿絵(By みてみん)

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