バタフライエフェクト
2019年3月24日。
小野楽行は中学からの帰り道を歩いていた。
音がしたので、振り向くと、誰かが本を捨てていた。
少し、歩いて、また振り向いた。
誰もいないことを確かめると、捨てられた本に近づいた。
捨てられた本を拾うのが好きだった。
自分が買わない本を読む機会ができる。
つまらない本でも、売ればお金になる。
「さて、さて、今日の本はどんな本だろう」
僕は、本の束を家に持ち帰った。
2019年3月25日。
「なぁー、ウッチ―。バタフライエフェクトって知ってるか?」
中学の帰り道、僕は本で得た知識を友人に教えていた。
「なに、それ」
「蝶がはばたくと、台風が起こるんだよ」
「なに、それ」
「だからさぁ、日常でおきた、ささいなことが大きなことに変わるんだよ。たとえばだよ。ここで、僕がジャンプをしたとする」
僕はジャンプをして、着地した。
「へぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇくしょん、たぁー」
近くのすれ違った男がくしゃみをした。
そのくしゃみがあまりにも大きかったのでびっくりした。
気を取り直して、ウッチ―に話しかける。
「ここで僕がジャンプしたことで何かが変わるかもしれないんだ」
「そんなことないよ」
「わかんないかなー、このロマンが!」
「その本、どこで買ったの?」
「拾ったんだよ」
「えっ」
大きな衝撃音がした。
「行こう!ウッチ―」
車がガードレールにぶつかっている。
先ほどのくしゃみの男が運転手を助けていた。
「カッコいい・・」
まもなく、救急車がやってきて、運転手を乗せて行った。
くしゃみの男は救急車を見送ると、どこかにいってしまった。




