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俺は女神様の観察玩具  作者: 如月ユキハル
8/12

録画No,8 『不安な学園、試験前日』

登場人物紹介


レル・ヴァンテ・ハウンド

…グライアの力を後継し、俺TUEEEE気分となった本作主人公。実際TUEEEEかは分からない。


グライア

…元無職フリーター独身41歳オッサン。今は禁術を極めた結晶の龍をやっている。


クルル・サナート・ウェンダ

…昨日の朝から夕方にかけての記憶が全くない。


ジャー


水の流れる音と共にレルがトイレから姿を現す。レルはため息をつきながら顔を下に向け、変わってしまった自分の体を視界に映した。


『慣れ』とは恐ろしいものだ。


初めの頃はトイレを見ただけで恥じらいの感情が混み上がってきたのに、最近ではもう無心になれる。他の人に不審がられないという点ではとても良いことなのだろう。

だが、俺は体がどうなろうと心は男だ。決して、決して女の子には染まらないぞ!



『いゃ〜やはり異世界はいいものでござるな。美少女のトイレ姿まで見れるとは。拙者は男としての階段を登ったでござるよ。』


「そういう男じゃねぇ!」



グライアの弾む声にレルは少し寒気を覚える。もう自室に戻ろうと長い廊下を歩き始めた。



「レル様、リース様がお呼びです。」



後ろからヴィストが軽くお辞儀をする。それは唐突なもので、レルは目を丸くするがヴィストの姿を目に映すと胸をなでおろした。

レルはトイレには慣れても他に慣れないことが多い。その内の一つがヴィストだ。ヴィストは気配を消して近づいてくるため、毎回驚かされる。心臓が何回飛び出そうになったことやら。


見慣れつつある廊下をヴィストの後ろから歩く。改めて考えてみると、ここは豪華な家だ。

今、平然と歩いている廊下には赤色をベースとした花柄の絨毯に、張られているのを疑うほど透き通った硝子。さらに二階建て。あげるとキリがないが、元一般人として恨めしい環境である。

そんなことを考えているうちに、リースが待っている部屋にたどり着く。良質な木材を使った一際大きい扉なので、一目で判断できる。



「…ふうぅ」



レルは扉の取手を手にし一息つく。

しっかりと握り閉めた金色の取っ手を前に押し、大きな扉をゆっくりと進める。



「レ〜ル〜!」


「……っ!」



金色の何かが目にも止まらぬ速さでレルに向かって飛びつく。不意に受けたその衝撃に耐えられずレルは赤い絨毯に尻をついた。



「姉さん、少しは自重してよ…」


「私は妹エネルギーを補給しないと死んでしまうの〜」



予想はできた。リース姉さんだ。

この体に転生してから随分と世話になってきたが、過剰なスキンシップのせいで素直に感謝が出来ない。

俺の体が元気になって行くにつれて、姉さんのスキンシップのレベルが上がっていくのはそれだけ今までが寂しかったということだろう。そんなことを考えているからハッキリ「やめて」と言えず、徐々にエスカレートしていくことをわかってはいる。



「それで?姉さんお…私になんの用?」


「はっ!そうだった!」



レルの腹部に、幸せそうに顔をスリスリと擦り寄せていたリースは本題を思い出し、部屋の奥にある執務用机の椅子に腰掛けた。するとリースは先程までの頬が緩み切った顔とは一変、真剣な眼差しをレルに向ける。

その眼に不安を覚えながらもレルは歩みを進めた。レルがある程度、扉から離れたことを確認したヴィストは開かれたままの扉を閉める。その音で、閉め忘れたことを思い出したレルは心の中でヴィストに礼を言う。



「よし、レル。今日呼び出した理由はこれだよ。」



リースは引き出しから少し大きな封筒を取り出した。その封筒には『ルアード学園 編入案内書』と記されている。

ルアード学園は東区ガドマスと南区エルアスの境目に位置するとても大きな学園である。偏差値が高く難関学校とまで言われ、多くの貴族が通う。その中に王族までいると噂されている。

リースやアルマが通っている学園だ。



「ここからならこの学園が1番近いし、レルにはもう基礎は教えてるからね。」



レルは封筒から無駄に綺麗なパンフレットを取り出す。

大きな見出し、学園の風景、科目の種類、部活動の活動記録、パンツ一丁の校長像………っ?!

その衝撃的で公然猥褻罪な像を目に入れた瞬間、開けていたパンフレットを勢いよく閉じて封筒に戻す。



「姉さん…他の学校ない?」



爽やかな笑顔でリースに問う。その声には別の学園がいいという強い意思があった。



「…どうしたの?レル……ってそれ、去年のパンフレットじゃない!待ってて、今新しい方出すから……えーっと…あったこれだ。」



レルの興が削がれる前にと、慌てて修正されたパンフレットをレルに渡す。

今度は校長の気持ち悪い像は描かれていなかった。

まぁ、もうあれを見てしまった時点でその学園への興は削がれているのだけれど。リース姉さんが期待の眼差しをしていることで、俺の選択肢は「YES」一択に限られているようなものだ。

自分で言うのもなんだけど、この人のシスコン度は尋常ではないからどれだ時間がかかろうと自分と同じ学園に入るよう頼んでくるだろう。

あぁ…考えるだけでも憂鬱になりそうだ。



「分かったよ、姉さん。私はここに入るから。」


「やったぁ!じゃあ、早速手配してくるから待ってて」



嬉しさと共にリースは跳ね上がり、急いで部屋を後にする。さも雷が通ったかのような轟音を残して。



「レル、戻ったよ!許可は貰ったからあとは試験を受けるだけだよ」


「早っ!」



数秒も経たないうちにまたもや轟音と共に部屋に現れる。その出来事にレルは呆気を取られた。

姉さんはいろんな意味で尋常じゃないな。





ー 夜 レルの部屋 ー



前世の記憶と異なる光を放つ夜空の星々に興味をひかれ、窓を開き、今日のことを考えながら綺麗な星を眺めていた。



「学校、か……」



ため息混じりに口にする。別に嫌という訳では無い。不安があるだけだ。



『どうしたのでござるか?』



いきなり頭に声が響く。姉にバレると面倒だなと思い明かりを消していたため、余計に驚いた。



「てか、グライア何してたの?」



思い出した今日の中にグライアと話したのはほんの数回。話せない訳でもないのに喋らないことに疑問を持つ。



『拙者は姫の力を抑えておったでござるよ。その間に起こった出来事は分からぬでござる。』


「ん?力を抑える?どういうこと?」


『拙者の力を受け継いだはいいでござるが慣れていない故、感情で力が左右されるのでござる。』


「平然としている時しか喋れない、と?」


『そういうことでござるな。』



自分の不甲斐なさを感じつつ、睡魔に負けそうな瞼を手の甲で擦る。おそらく午後11時位だろうかと部屋の時計に視線を移すと針は12時を示していた。



「もうこんな時間か……」



窓を閉じ、眠気に耐えながらベッドへ足を動かす中、キラリと姿見が月明かりを反射する。その光に誘われ、顔を姿見に向けるとそこにはどこか見覚えのある美しく可憐な少女の姿があった。



「……っ!」



眠気が一気に吹き飛ぶほどの何かを感じる。

記憶にある。これは恋というものだろう。



「…って、何を考えてるんだ俺は。自分に恋をするとか、どんな変態ナルシストだよ…ふわぁ…」



柔らかいベッドに身を投げると、レルは睡魔との戦に敗れた。



ー 天界 ー



「ふわぁあ…あいつも寝たし、あたしも寝るとするかな。」



ツェルララは大きく口を開きあくびをするとゴロンと横になり毛布を被った。

すぐ側にあるテーブルに寝返りで頭を打つと「転生世界図書館へ行ってきます」と書かれた置き手紙が床にヒラリと落ちる。だが、ツェルララは既に眠った後だった。





「えーっと、鈴斗さんの転生世界は……」



ずらりと並べられた厚い本を人差し指でタイトルをなぞりながら、持っているメモに書かれたタイトルと対比していく。



「あ、ありました!」



他の本より目立って厚い本を手に取るとパラパラとページをめくり、ある程度開いたところで紙を止める。



「レフォールド王国……ラドニック・デルバ………鈴斗さん……」


だいぶ遅くなりました。すみません。

これからは非常事態以外、通常運転に戻しますのでよろしくお願いします!

※壊滅的な文章力を少しでも立て直すために友人に教えを乞うたり、様々な小説を読んで見るので、これから

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