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俺は女神様の観察玩具  作者: 如月ユキハル
7/12

録画No,7 『いいえ、拙者はOTAKUです!』

登場人物紹介


ツェルララ・マクロット

…お久しぶりですニートです。(女神です)

現在進行形で転生先の世界「転生世界」の娯楽遊びに堕落中。鈴斗の転生担当である。


ツェルカカ・マクロット

…お久しぶりです女神です。(超女神様です)

堕落中の姉の仕事も引き受けて毎日必死に働いている。姉を注意するのがもはや日課になりつつある。


レル・ヴァンテ・ハウンド

…気晴らしに散歩でもしようかと外へ出ると謎の赤い魔法陣に巻き込まれていまう。オーマイガーせっかくの息抜きがあああぁぁぁ!


クルル・サナート・ウェンダ

…日の光に輝く銀の髪の子[レル]が気になり、あとを追いかけるとレル同様さらわれ以後気絶したまま。


グライア

…レルとクルルをさらった張本人(張本龍)

レル曰く、ツェルララと同じ雰囲気がするとか



「転生者である拙者のボディに見惚れたでござるか?ござるか?」


「…え、転生?」



レルはグライアが口にした「転生」と言う言葉を驚きのあまり自分も口にした。

いきなり連れてこられたこと、それが龍だったこと、龍が人になったこと、更にはその人が「転生者」と言ったこと。ツェルララのおかげさまで驚きには慣れていたと思っていたがそうではなかったようだ。



「…あんたも転生者…なの、か?」


「うむ。拙者は転生者でござるが『も』とは貴女もでござるか?」


「あ、あぁ。そうだ。」



グライアも鳩が豆鉄砲食らったような顔をする。どうやらグライアもレルと同じように転生者ということに驚いているようだ。



「そうであったか。なら、話は早いでござる。あれは…そう、前世での拙者が会社で働いていた時……」


「えぇ……」

(なんか急に語りだしたぞこいつ)



グライアは腕を組み別に聞いてないと言いたげな顔をするレルを無視し、1人語り出す。



「拙者はその会社で上層部での揉め事に巻き込まれたのでござる。原因は分からなかったが、拙者のせいでは無いことは確かでござった。しかし、結局は拙者のしわざとされ会社をやめざるを得ない状況になってしまったのでごさる。それからが拙者のオタク人生のスタートであった。」


「は、はぁ。」



聞かなければあとから面倒なことになりそうで仕方なく聞くことにする。


それからグライアの前世話は続き、軽く1時間は過ぎたと思う。

まとめるとこのオッサンは前世で『無職フリーター独身41歳。身よりもないが溜まりに溜まった親の保険金やへそくりなどで毎日を暮らしていたオタク』ということらしい。ツェルララより酷かった。



「そういや、なんで龍なんだ?」


「ふむ、いいことを聞いてくれたでござる。龍の姿になっていたのはとあ…」


「ちょっと待て。簡潔に、簡潔に言ってくれ。」



自分で聞いといて断るのはどうかと思いせめて短く説明は出来ないものかと話してみる。グライアは少し首をかしげて「長かったでござるか」と一言呟き「了解したでござる」と言ってくれた。

正直、その語尾も気になるところだ。



「龍になっていたのは禁術でござるよ。擬態魔法や強化魔法、物質変換魔法など、色々な魔法を使ったでござる。ほとんど禁術ではござるが。」


「禁術……」



アルマさんから聞いたことがある。禁術とは太古から今にかけ、危険すぎるため封印されてきた魔法のことを言うらしい。中にはくだらなさすぎて使えない魔法も含まれているとも言っていた。



「この世界では禁術は文字通り恐ろしくて物好きな一部の人しか研究をしていないらしいでござるが、拙者は『禁術』なんて言うそそる言葉オタクである身としては放っておくほうが罪ってものでござる。」


「そんな罪って……でもまぁ、『禁術』がかっこよくないとは言わないけどさ」



レルは少し照れながら前髪をいじる。そんなことに構わずグライアは話を続ける。



「しかし、禁術となるだけあってとても危険でござった。現に拙者の寿命は残り数日と言ったところ。そして、拙者は研究し鍛錬し強くなりすぎたが故、死を迎えると拙者の中にある膨大な魔力が行き場をなくしこの地に巨大な穴を開けるやもしれぬ。」


「無茶苦茶迷惑な話じゃねーか!…で?俺を呼んだ理由は、それとなんか関係あんの?」


「1歩間違えれば暴走するかもしれないがこの力を貴女に後継してほしいのでござる」



…おかしいな。今、とてつもないことを言われた気がするぞ?1歩間違えれば暴走する危険性がある力を押し付けられる気がするぞ?

グライアは急にピシリとかたまったレルを聞こえていないのだと判断しもう一度先ほどより大きく言う。



「後継してほしいのでござるが!」


「いや、聞こえてるよ!思いっきり!」



聞き間違いではなかった。なんだろうツェルララみたいなオタクってみんな人に迷惑をかけるのが好きなのだろうか。

誰であろうがツェルララ1人で迷惑は事足りてるんだこれ以上自分に負担をかけたくない。

レルは目を瞑りグライアに指を指す。



「超断る!」



閉じた目を開け強く叫んだ。心の底からの叫びである。



「えーいいのでござるかーこの力があれば無双し放題でござる〜俺TUEEEEになれるでござる〜」


「うぐ……」



心の底からの叫びはどこへ行ったのやら、グライアの一言にレルの決心が揺らぐ。

後継するのは明らかにデメリットの方が大きい選択だ。しかし、そのデメリットを考えても『禁術』や『無双』という言葉に心がひかれる。レルの中では小さな鈴斗が後継する派と後継しない派の二つに分かれ戦争が行われていた。その結果は後継する派の代表鈴斗の一言により終戦となる。



「お前ってその力を制御出来るんだよな。」


「で、出来るでござるよ。」



レルの目が先程までとは違いキラキラと輝いている。グライアはその瞳に少し不安を覚えた。



「じゃあ、後継してもいいぜ。その力。」


「う、うむ。まぁ、いいでござる。」



グライアは龍の姿に戻り右手を自身の胸に当てる。直後、手の触れている部分から光が放たれた。グライアはその光を握りしめレルの目の前で手を開き光の正体を露わにする。



「…クリス、タル?」


「これは拙者の力そのもの。名を『叡智の秘水晶』と言うでござる。」


「叡智……」



その光の正体は透明度の高いクリスタルの中にある白く細い雷であった。

感電などしないかと考え、恐る恐る叡智の秘水晶に手を伸ばす。叡智の秘水晶に触れた瞬間、全体にヒビが入り破裂した。



「え?どういうことだ?」


「…拙者の腕は落ちていなかったでござるか。」



破裂した叡智の秘水晶の欠片は徐々にレルの胸の前に集まって修復していった。中にはちゃんと白く細い雷もある。

その光景はとても美しく神秘的で、レルはまたもや言葉を失う。しかし、レルの顔は嬉しそうでもあった。



「これで、後継は完了でござる……」



グライアは龍の身体のまま、首と尻尾を曲げ組んだ腕に頭をのせ大きな瞳の瞼を閉じかけようとした……その時。



「いいや、まだだぜ。」


「…!」



グライアの額にレルが手を乗せた。レルの一言にグライアは動揺するがもうすぐ亡くなる身。もう、どうされようと構わないと考えて上げかけた頭の力を抜く。



「拙者をどうするつもりでござるか?帰るならあの赤い魔法陣に手をかざすと帰れるでござるよ?」


「まぁ、見てろって。お前は力を見せてくれた。なら、俺も見せないとな。」



レルはそのまま目を閉じる。片手には先程受け継いだ叡智の秘水晶が輝いていた。


『転移:意識転置』


レルがそう口にするとグライアの身体と叡智の秘水晶が共鳴するように互いに輝きをましていく。



「う…ぐぅ……」



やがて互いの光が混ざりひとつになる。




「ど、どうなったでござる…」


「お!おはようさん。さすが元龍なだけあるなお目覚めが早い。」


「こ、これは……」


視界がガラス越しのようになっていて手足が思うように動かない。と、言うより手足の感覚が全くない。



「俺の力…俺の能力は『転移』っつってあるものをある所へ移動させることが出来る力だ。」


「……つまり拙者は今、叡智の秘水晶の中にいると?」


「そーゆー事だな。俺としては叡智の秘水晶のサポーター兼案内役が欲しかったんで。お前も物となった以上寿命の概念が消える。お互いハッピーだとはおもうけど。気に入らなかったか?」



レルからするとただ叡智の秘水晶からグライアの声が聞こえるだけだ。グライアが黙り込むと姿が確認できないため落ち込んでいるかと思ってしまう。



「いえ、喜んでいるのでござるよ。美少女の力になれるなんて拙者は幸せものでござる。」



声が少し震えている。嬉し涙を堪えているのだろうか。そう考えるとレル自身も嬉しく思えてきた。



「そうか、ならやってよかった。」


「こちらこそ礼を言わねば。」


「そういや自己紹介がまだだったな。俺は鈴斗、犬山鈴斗。今はレル・ヴァンテ・ハウンドだ。これからよろしくな。」


「ござる。」


姿は見えないがグライアが礼をしているような気がしてレルは笑顔で返した。



「話は変わるがあの子は誰。」


「拙者も知らぬでござる。」



色々なことがあったのによく気絶したままでいられたものだと2人は感心を覚るほどだった。

レルは叡智の秘水晶をグライアに言われた通り胸に押し込むと光となってレルの中に入っていく。空いた両手で気絶したままの見知らぬ少女を背中に乗せる。自分の体が弱いせいかとても重く感じた。



「さっそく禁術を使ってみるでござるか?姫。」


「使わないよ。俺までくたばったらせっかく生き延びたのが無駄になっちまうだろ?てか姫はやめろ。」


「いいではないでござるか、姫。元はどうであれ今は少女なのでござるから。」


「助けてやったのは誰だと思って……」


レルはブツブツ言いながらも見知らぬ少女を赤い魔法陣まで運び魔法陣の中心に手をかざす。すると、見覚えのある光に飲み込まれる。





「……ふにゃ…ミーちゃん?」


「ミーちゃん?じゃないですよクルル様。どこに行っていたんですか。」


「銀髪の子を追いかけて…それで……赤い、魔法陣……」


「何を言ってるんですか、まったく。」



あたりを見てみると可愛い装飾の施された豪華な部屋。自分の部屋だ。確かに王城から抜け出したはずなのに。

クルルは自分の記憶と現状の違いに理解が追いつかない。


でも、微かに覚えているあの髪の感触。


一体誰なのかと考え窓の外に見える夜空を眺める。隣で怒るミーリーを無視して。


2019年初の投稿です!

本年もどうぞよろしくお願いします!

それと次は少し遅れるかもです。今回はその代わりにと急いで仕上げました。誤字脱字があるかもしれませんがご了承ください。指摘してくださると嬉しいです。

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