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俺は女神様の観察玩具  作者: 如月ユキハル
12/12

録画No,12 『僕はキール。ただのメガネ男さ…』

登場人物紹介


レル・ヴァンテ・ハウンド

…魔法や魔術に興味はあれど面倒事には巻き込まれたくない主人公。前話の妖精グライアが脳内に残っているのが悩み。


リース・ヴァンテ・ハウンド

…「レルと一日一緒じゃないだけで死亡する人」と自称するレルの姉。実は生徒会長という……大丈夫なのだろうか…byレル


クルル・サナート・ウェンダ

…いつも明るいポジティブ思考の少女。ただのアホか、それとも周りを考えての行動か不明である。


ミーリー・アルト・ドライム

…何かとクルルを守ろうとする、前髪で目が見えない少女。それ故に表情が読みとりにくいのが難点だが、クルルは判別できるらしい。


フォン・ミヴ・ラティス

…前回の主犯(ルアード学園の禁術大好き教師)グライアの弟子になってから禁術の研究がはかどっているそうだ。

僕はキール。

キール・ロスプ・ラクロスト。

特に目立つことを語れないただのメガネ男さ…

僕にあるものとすれば、僕は3組のクルルさんが好きだ。友達としてでは無く…異性として。つまり…こ、ここ、恋…ということだね……

ただ、クルルさんには大規模な親衛隊がいる。本人に気づかれないようにクルルさんを見守る親衛隊だ。告白などもちろんのことクルルさんの平穏を乱すような事からクルルさんを守るあたり、王を守る騎士団みたいなものだろう。

そしてなにやら最近、隣の3組に編入生が来たそうだ。イケメンだったらどうしようと思ったけど、編入生は女の子らしい。正直に言って安心している。



「おーい」



だが、その編入生の女の子はクルルとよく一緒にいるらしく、それを良くないと思っている者も少なからずいるとのこと…

もう1人、ミーリーさんというお付の人がいるがみんなは気にしてはいないようだ。

数少ない「能力」持ちのクルルさんは、編入生も「能力」持ちだから気が合うのだろうか…

もしかして編入生の能力は「魅了」とかだったり……畜生…僕も能力があれば……



「おーい、キールー置いてくぞー」



やはり、女の子と言えどその編入生は僕の障害になり得るか…

いや、一番の障害はクルルさんの親衛隊だな。

となると、まずはどうするか……



「おい、キール!次の授業に遅れちまうぞ!」


「っ!…ラフ…って、時間ヤバいじゃん!」


「だからさっきからそう言ってるだろ!早く行くぞ!あの先生、時間にうるさいんだから…」



キールは急いで次の授業の必要物を机から取りだし、教室の出入口でクラウチングスタート状態のラフの所へ走り2人で次の授業の指定教室に向かって行った。





僕はキール。

キール・ロスp……



「おーい、キール。何やってんだ?日課のストーカーか?」


「違う!」



1-3の教室の出入口付近で身を潜め、中の様子…クルルの様子を伺っているキールに見透かしたように声をかけるラフ。

ストーカーと指摘されるが、本人は違うと否定する。



「これは、敵情視察だ!」


「お、おう…ってか、敵?恋敵になるようなやつって…いるにはいるが、今更誰が敵だって?」


「例の編入生だよ。」



キラリと眼鏡を光らせ今度はラフと一緒に教室の中を覗き見る。



「いや、女が恋敵とか……キールお前…脳みそやられちまったのか?」



目に映ったのは、ミーリーに授業で写しきれなかった所を写させてもらっているレルと、そのレルにかまって欲しいと言わんばかりに突っついたり抱きついたりするクルルの姿だった。

ラフからすると女子特有のじゃれ付き合いに見えるが、キールはそうでも無いらしい。

キールは編入生に羨ましさと憎しみを持っているのだろうか。



「だーもう!クルル!」


「ひゃー!レルちゃんが怒ったー!」


「あぁ……」


「…レル様、お察しします。」


「ミーリーさん、レルでいいよ。」


「いえ、呼び捨てなど……」




「ぐぬぬぬ……」


「これが、いわゆる三角関係ってやつか……」



憎しみか、羨ましさか、扉を非力な力で握るキール。

ラフはふと、周りの幾人かの視線に気づき、キールを無理やりその場から離れさせる。



「ちょ、何をするんだよ!」


「しー…お前、クルルさんに夢中で気づいてなかったけど、何人かお前のこと見てたんだぞ?あれ、お前が前から言ってる親衛隊のメンバーなんじゃないのか?」



キールは引きずられながら、ラフに言われて初めて周りの視線に気づいた。怪しむ目、不思議なものを見る目、確かな殺気も混ざっている。

ヤバい殺されると悟り、キールは急に大人しくなった。





「…クチュン!」


「…?クルルさ…クルル、もしかして風邪か?」


「…ううん。違うと思うよ。私こんなに元気だし!……それより、早く一緒に帰ろうよー!」



書き写すところがあとほんの少しという所でレルのノートの上にクルルが上半身だけ飛び乗る。「これで書けまい!」とでも言いたげなドヤ顔のクルルにレルはとうとう諦めて筆記用具を片付け始めた。



「…わかったよクルル……ミーリーさん、このノート借りてもいい?家でささっと残りを書き写したいから。」


「ミーちゃんだよ。」


「私のノートならどうぞ。」


「よし!そうと決まれば早く帰ろ!」



片付け終わったレルの両手を握り引っ張るクルル。レルは自分の荷物を気にして後ろを振り向くが、心配は要らずクルル、レル、そして自分の荷物を背負ったミーリーがそこにいた。

「ごめん」と謝るが「これも私の役目ですから」と返されるのであった。





中央に、手のひらサイズの綺麗な石。それを囲むように生徒机が並べられた薄暗い部屋。儀式でも行うかのような黒いフード付きロングマントを着た生徒達がその部屋いっぱいに立っている。並べられた机に座っている生徒はフードとマントに装飾品が多数付けられており、身なりからして位が上なのだろう。



「長様が参られました。」



1人の黒フード生徒が出入口より声を上げる。すると直ぐにその場にいる全員が出入口の方へ目を向けた。



「クルル様親衛隊が長、レスク・ウォル・ライヤー、ここに。皆、待たせたな。」



一番上の位であろうとひと目でわかる程の装飾品を付けた黒いフードを脱ぎ、日に当てられた草原にも似た緑髪をなびかせる。その男は空席であった席のもとに立ち両手を机の上に勢いよく叩きつけた。



「これより緊急クルル様会議を始める。議題は皆が知っての通り、例の編入生についてだ。」


「おぉ…レスク様…」「やっと、ですか…」「粛清すべきです…!」「クルル様ぺろぺろ」



再びその髪をなびかせキメ顔をとるレスク。

黒フード生徒が中央の石に、手に持っていた資料をかざすと、その資料の内容が皆に見えるように大きく石の頭上に表示された。

編入生レルに関する資料、クルルとレルが仲良くしているような写真などが並べられる。

しばらく黒フード生徒達が資料を見ていると、またもや髪をなびかせ大声をあげた。



「我らはクルル様の愛の祝福を受けし、クルル様の盾。クルル様の平穏を乱す輩がいれば我々は剣となりその者に裁きを下す……しかし、奴らはクルル様と編入生を見守ると言い出した…」


「…裏切りです。」「我らの裁きを…」

「粛清…!!」「クルル様ぺろぺろ」


「編入生はクルル様の愛を独占しようとしている…それは、許されざる罪…正されるべき悪…我々が動かなくてどうする…何のための我らだ…裏切り者どもに屈するな!我々が正義だ!」


「レスク様ぁ!」「その通りだ!!」

「粛清粛清粛清ぃ!!」「クルル様ぺろぺろ」


「緊急会議をこれにて終了とする。何か意見のあるものは…………いないな。解散だ。」



レスクはその場から立ち去る。もちろん、自慢するように髪をなびかせて。






「レスクさん率いるクルル様親衛隊(笑)には困りましたね……」



一見おっとりしている菫色の長髪の巨乳女性が、小さな部屋にある赤い高級そうな椅子に一人、困り顔で座っていた。そばにある小さな丸い机のグラスを口に運び、中に入っているジュースを飲む。



「しかし……ふふっ」



様々な写真が載せられたアルバムを手に取りそれを開く。



「いい……いいです……いいですねぇ……」



しばらくして左手で頬を支え、赤い液体が一筋、鼻から流れる。

その写真はクルルとレルが仲良くしている写真やクルルが一方的にレルに絡んでいる写真が並んでいた。



「ふぅ……こんなにも美しい関係を崩そうだなんて……おいたが過ぎますね…この私、フィムムを出し抜けると思わないことですね……」



鼻血をハンカチで綺麗に拭き取りながら、細い目を開き不敵な笑みを浮かべる。


更新が遅い中、お読み下さりありがとうございます。キャラ紹介が上手くなりたいユキハルです。

またもや、バトル展開から離れていきそうな予感が収まらずにストーリーが頭の中で爆発しています。

何卒、見捨てないでください……

次話もよろしくお願いします!

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