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俺は女神様の観察玩具  作者: 如月ユキハル
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10/12

録画No,10 『学園であっても、ドタバタ騒ぎ』

登場人物紹介


グライア

…毎回出番が少ない元ニートのオッサン。本人も活躍が少ないことに頭を抱えている。


レル・ヴァンテ・ハウンド

…何とか試験には合格した主人公。スカートには慣れたものの制服とシンプルな服以外はまだ無理なよう。


ヴィスト・アルサルト

…レルが試験に受かることを願いながら今日も今日とて家事をこなして行くヴァンテ家の執事。


アルマ・ティルベ・バート

…レルの試験に集まってきた野次馬生徒の1人だったリースの親友。自分が教えた魔法を使う時を今か今かと待った挙句、教えたのより遥かにえげつない魔法を駆使したことにいまだに驚愕している。


デウィン・ロー・グロント

…教師歴8年の元凄腕冒険家。大剣を振り回し重い攻撃を得意とする。中等部実技教科全般担当。


イヨン・ミヴ・ラティス

…教師歴8年のスレンダーな女性。光魔法の研究をしている。高等部魔法科の担当代理。


フォン・ミヴ・ラティス

…教師歴6年のイヨンの妹。生徒からの人気は高い方で、婚約についていつも弄られる。中等部魔法科担当。



ー ルアード学園会議室 ー


「…そして、例の落雷事故は昨夜に修理は済ませておきました。」



円卓を囲み教師達は、昨日のレルの編入試験中に起きた落雷について会議を行っている。

実際はレルが禁術の発動に失敗しただけなのだが、教師達は不慮な事故として捉えたのだ。



「急な悪天候とは…そろそろ、笑えない冗談になってきましたよ?雨男のデウィン先生。」


「おいはそんな二つ名持った覚えはねぇぞ?」


「お二人とも、静かにしてください。校長の部屋に閉じ込めますよ?」


「わしの部屋、牢屋扱い!?」



だんだんと話がズレていく会議。落雷事故の話はどこへ行ったのやら、脱線が止まらない。



(あの試験で起きた落雷…いえ、あれは……)


「皆さん、お静かに。これにて会議は終わりとします。」



司会を務めていた女教師が解散を宣言し、会議の幕を閉ざした。




ー 中等部 1年 Bクラス ー


シンプルな内装の教室にHR始まりの鐘が鳴る。



「皆さんおはよぉございます。そして今から重大な話をするのです!心して聞くのですよ!」


「え!何々?離婚?」


「…結婚もまだです………」



元気よく教卓の前で喋るフォン先生は生徒の「離婚」の一言でテンションをマイナスまで奪われた。



「…いや、私もね?若いころはすぐ結婚出来るとか思っていたのよ?でもね?気づけば適齢期も過ぎててまだ彼氏すらいないのよ?彼氏なんて直ぐにできるとか思ってたあの頃の私を殴りたいわ…姉さんはもう結婚してるし、あの裏切り者め……あのばb…姉さんが結婚できるのに私は彼氏すらまだなのよ?世の中ってほんとに不思議よね…あの若かりし日に戻って青春をもう一度…はぁ、そんな夢物語あるわけ………っ!あるじゃない。そうだよ、私。そのための………ふふふっ…ふふふふふふ………」


「…そ、それより先生。重大な話ってなんですか?」


「……編入生です………」



フォン先生は額と机を合わせたまま気力のない指先を扉へ向ける。



「…どうぞ…」


「はっ!はひっ!」



姿なくしても、可愛らしい子なのだろうと想像が湧き上がる声が教室の皆を騒がせる。特に男子共。


出入口となる豪勢な木造りの扉が開くと、声の主が姿を現す。緊張を体で表現するかのようなぎこちない動きで歩き、フォン先生の横に立つ。



「お…わ、ワタシはレル・ヴァンテ・ハウンド、です。」


「…あ!」



朱色の髪の女の子が1人その場に立ち上がり、丸くした橙色の目と火傷のあとが残る手の人差し指をレルにまっすぐ向ける。

ん?どこかで見たような……

そんな時、貼り付けていた額を起こしムクリと姿勢を正したフォン先生は教卓を大きく叩いた。



「皆さん!朝のHRはこれにて終了です。レルさんと仲良くするのですよ!私はこれから大事な実k…用があるので、それでは!」



クラスの皆が慣れた様子で先生を見送る中、レルはその日常に取り残されていた。



とは言え大変なのはこれから。俺が想像する通りであれば次に起こるのは……



「ねぇねぇ、レルさん。編入って今まで何してたの?」

「レルさん、この前の試験大丈夫だった?」

「レルさんはどこに住んでるの?」

「髪綺麗だね、レルさん。」


レルさん、レルさん、レルさん、レルさん、レル、レル、レル、レル、レル………


(あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)



そう、質問攻めである。

人の興味というのは時に人を困惑の渦に落とし込む。 作 レル・ヴァンテ・ハウンド

なんて考えてる場合じゃない!


…かくなる上は、


「私、ちょっとトイレに…」



自分の前に立ち塞がる人の柵から逃れようとトイレを理由に上手く抜け出す。



「あ、なら私もー」

「私も行きます!」

「うちも行こうかな。」


なんという連鎖だ。もう逃げるしかあるまい。

その小さな体で教室から駆け出した。当然のようにクラスメイトはレルを追いかける。だがレルは素早く、角を上手く使い次々と撒いていく

…はずだった。


息を切らしながらも、誰もいないであろう照明がついていない教室へ身を潜める。

しばらくして騒がしい足音は、レルが隠れた教室を横切る。



「…っ、はぁ…はぁ…なんとか…撒け……」


「レルちゃん」


「ひゃわん!」



胸を撫で下ろした次の瞬間、不意に背後より耳元で囁かれる。ビクリと反応する体につられ小さな口が恥声を漏らした。

むず痒い感覚が残る右耳を両手で抑えながら、強気を装う涙目を後ろへ向ける。



「クルル様が仰った通り、何かそそるものがありますね……」


「はわわ…私、いけないことをしている気分になってきたよ!」



そこには、先程自己紹介をした次の瞬間に立ち上がった女の子と目が深緑の前髪で覆われている背の高い女の子がいた。耳元で囁いたのは目前で屈んでいる朱色の髪の子だろう。

…やはり、この子どこかで見たような。



「…お、お前らも俺に質問攻めするのか?」


(ん?『俺』?……まぁ、いいや)

「そうだね、私から1つ。」



レルに『1』と指を立てる。



「前に私と会ったことある?例えば…赤い魔法陣の上で、とか。」


「…あ!あの時の!」



思い出した。グライアに呼び出された時、巻き込まれた子だ。

初めて会った時は確か、足がふらついてて前に倒れ込んでそして胸を……



「…ごめんなひゃい。」



今度は紅に染まる顔を両手で覆い隠す。右耳の感覚を忘れるぐらい恥ずかしさが込上げてきた。



「私はクルル、そっちはミーちゃん。よろしくねレルちゃん!」


「私はミーリーです、クルル様。」


「さ、行こ!授業が始まっちゃう!」



クルルから差し出された手を握り、その場から立ち上がる。

ほぼ初対面にも関わらず握られた手はレルにとって少し心強く思えた。





1時間目の授業の鐘が響き渡る。クルル達はなんとか授業に間に合った。



「レルちゃん、教科書ないでしょ?一緒に見よ!」


「う、うん。」



鐘が鳴ってから少し遅れて先生が教室に入って来る。眼鏡をかけた若い男の先生だ。

クルルに見せてもらった教科書に書いてある通り今からの授業は歴史に関することらしい。


今回の授業の内容は『災害』についてだった。台風や洪水はもちろんのこと、魔力の災害まで含まれているものだ。

その種類はかなり多く被害件数も1番多い。例を挙げると『魔力暴走』などがある。


やや頭の悪いレルは当然のごとく内容が途中から頭に入って来ず、少々放心状態にあった。

隣のクルルはノートを壁代わりに熟睡している。その間、ミーリーは3人分のノートを書き上げていた。

授業の終わりを告げる鐘が鳴ると、2人は今まで勉強していたふうを装い、平然としている。

この様子が本日最後の授業まで続き、時間は放課後に入る。

フォン先生は第2魔術研究室に置いて爆発事故を起こし、医療室へ運ばれたためSHRは代わりの先生が行うことになった。


クラスの皆からの質問はこの放課後に終わらせる。クルルとミーリーがマネージャーのように立ち回り、一人一人とスムーズに質問会が進んだ。



「あ、ありがと。クルルさん、ミーリーさん。」


「『さん』は要らないよレルちゃん、クルルでいいよ!ミーリーも『ミーちゃん』で!」


「ですからクルル様、私は……もう、いいです。」



自分の名前の訂正は諦め、教室の壁に飾られた時計を確認する。



「クルル様、研究活動の時間です。第2魔術研究室に急ぎましょう。」


「分かってるって…あ!そうだ。レルちゃんも来てみない?見学みたいなものだから。」



不思議だ。この子の笑顔は今まで見た誰よりも眩しくて、手を差し出されたらどこまでもついて行きたくなる。

何者なのだろう。いや、ただの学生か。



「…わ、分かったよ。私も行く。」



苦しい作り口調で返事をし、スクールバッグを片手に差し出された手を握る。3人は第2魔術研究室へ、教室から駆け出した。




ー 第2魔術研究室 ー


「…明かりがついていますね。」


「フォン先生は医療室だよね?誰だろ。」


「…普通に生徒が使っているんじゃないの?」


「いえ、この時間帯はフォン先生ぐらいしか居ないはずです。」



3人は不自然に明かりのついた第2魔術研究室の前に立ち尽くす。耳を澄ましてみると何やら色々な音が聞こえた。



「クルル様、ここはわたs…」


「どーん!!」


「あっ!クルル!」



ミーリーが先に中の様子を確認しようとするとクルルがドア諸共押し倒す。ドア、ミーリー、クルルの順で鏡餅のような状態になった。

中にはボロボロのフォン先生が懸命に魔法陣を作成している姿が見えた。失敗を繰り返したことがひと目でわかるほどボロボロだ。

と、言うか…



「フォン先生…医療室で寝ているはずでは…」


「ん?あぁ、クルルさんですか。魔法陣開発のためならたとえ身体が灰になろうとやってやるのですよ!」


「人間は普通、灰になると死にますよね?!」



クルルとミーリーは立ち直し、レルを研究室へ改めて招き入れる。



「あら?レルさんじゃないですか。どうしました?」


「見学ってことで連れてきたんだよ、先生!」



メガネについた焦げを黒い布で拭き、綺麗になったレンズで改めてクルル達を視認する。

レルはとりあえず先生に一礼をした。魔法はレルにとってかなり興味をそそられるもので正直ワクワクしている。



「ところで先生、これはなんですか?」


「ふっふっふっ…気になるでしょう……私も分からないのでとりあえず発動してみましょう!」


「え!?先生!」



衝撃発言だ。しかも止めるまもなく魔法陣は通された魔力で魔法を起動する。いつだったか魔法陣関係でこんなことがあったような……

そうそう、こんなふうに光で包まれて。



「…え?やばくない?またグライアみたいなやつと会うの?」


『酷くないでござるか?』



レル達は光の空間を落ちていく。



「やっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉいぃ!」

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

「クルル様、お守り致します!」

「あぁぁぁぁぁなんで、楽しそうなのぉぉぉぉ!」



作者が言うのもなんですがレルをいじるのが楽しすぎてそればっかりを書いてしまい、ストーリーが全然進まないという事故が発生してしまいました。

忙しさが日々増えてきているので不定期はまだ続きそうです…申し訳ありません。頃合いを見て続きを書きますのでどうかこれからも読んでいってください。

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