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塔の中 塔の外  作者: ちとせ
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身を固くしていると、緑の頭を人がしゃがんで僕を立たせてくれた。

そして震えている僕の手を取った。僕の手首を握ったところで一瞬動きが止まった。どうしたんだろう?

首を傾げて男の人を見ると、何でもないというように軽く首を横に振って傷口をみた。

手に僕の血が付くのも気にしていないようだ。


「************」


何かしゃべると緑の頭の人の手が光った。光ったところが温かい。気持ちがよくなってきて、体の震えも収まった。

すぐに光は消えていった。でも光が当たっていたところはまだポカポカとしている。部分的に日向ぼっこしたみたいだ。


「*****」


また緑の頭の人が何か言った。すると僕の腕から垂れていた血がスゥと消えていった。驚いて緑の頭の人を見上げると、なぜか頭を撫でられた。

この世界、もしかして魔法があるのかな?だとしたら僕も使うことが出来る?もしかして魔法チートがあるかも!

なんてことを考えていたら緑の頭の人が僕の背中を軽く押して、王子様(仮)のところに行くようにと促された。

王子様(仮)のところに行くということは、僕を殴った人のところにも近づくということだ。

僕は首を振って緑の頭の人の洋服を掴む。あっちには行きたくない!


緑の頭の人は困ったように僕を見た。でも僕も痛いのは嫌なので、さっきより強く首を振って行きたくないアピールをする。


「*********。******、*********!」


赤い頭の人が王子様(仮)に何かを言った。この声は、さっき怒鳴られた声と同じ。

ということは、この赤い頭の人が僕を殴ったのか。


「***。**********」

「****!****」



王子様(仮)が赤い頭の人に何かを言う。それに対して赤い頭の人が返事をした感じだ。そして王子様(仮)が僕に近づいてきた。

慌てて緑の頭の人の後ろに回り込んで服を掴む。別に盾にしようとしている訳では無いです。

王子様(仮)は僕の目線に合うように屈んでくれた。

そして先ほどと同じように自分の方を指さし、単語を言った。


「****」


多分、名前だ。赤い頭の人は離れている。けれど魔法のある世界だ。今度は魔法が飛んでくるかもしれない。

僕は首を振って言うのを拒んだ。


「****」


王子様(仮)は続ける。けれど僕は首を振って拒む。暫くそんなことをしていると、王子様(仮)はフゥとため息をついて立ち上がった。王子様(仮)すみません、痛いのは嫌なんです。


「********!!」


赤い頭の人が離れたところで怒鳴った。ビクッとして手に力が籠る。体が勝手に震えだす。


「*****。********」


緑の頭の人が僕の頭を撫でながら赤い頭の人に何か言った。

すると赤い頭の人は悔しそうな顔をして僕をにらみつけたが、何も言わなくなった。緑の頭の人凄い。


王子様(仮)が僕の方を見てにっこりと笑った後、赤い頭の人と、空気となっていた青い頭の人に何か言った。

赤い頭の人と青い髪の人はどこかに行くみたい。扉の方に向かって行く、という事は僕の横を通るということだ。

僕は赤い頭の人と視線が合わないように下を向いた。横を通った瞬間、ぞっと寒気がした。多分睨まれたんだと思う。頭上げてなくてよかった。目が合っていたら多分気絶してた。

赤い頭の人が居なくなって、ようやく体の力が抜けた。ほぉ、口から息を吐きだし、服を掴んでいた手を離した。

そして慌てた。握っていたところがとんでもなくシワになっている!急いで伸ばしてみたけれど、全然伸びない。どうしよう、恩を仇で返してしまった!泣きそうになりながら僕は緑の頭の人を見上げた。

そしてシワを確認した後、気にしなくてもいいよといった感じで優しく笑いかけてくれた。

よかった!許してくれた!お礼を言ってないと気付いて声を出そうとした。


「      」


あれ?声が出ない。


「           」


喉を抑えて声を出そうとしたけど出ない。なんで!?

王子様(仮)と緑の頭の人も顔を合わせた。


「******」

「*****。*******」

「*******」

「**」


なんで急に出なくなっちゃったんだろう?さっき殴られたから?だとしたらもう一回殴られたら出るようになるだろうか?でももう痛い思いはしたくない。けれど声が出ないと、出ないと・・・。

あれ?声が出なくても困らない?

考えてみたら言葉は通じない。だったら身振り手振りで何とかならないだろうか?

うん、なりそう!一安心だ。緑の頭の人の服を軽く引っ張り注意をこちらに向ける。

王子様(仮)と話していたが、なに?とこちらを向いてくれた。

両手を動かして問題ないですよとアピールしてみる。

暫くポカンとしてこちらを見ていたが、2人顔を見合わせた後笑い出した。

2人が僕の頭を撫でてくれた。どうやらわかってくれたようだ。よかった!


ぐぅぅぅぅぅぅ


気が抜けたらお腹が鳴った。慌ててお腹を押さえながら2人の方を見ると、きょとんとした顔をした後、

笑って食事の準備をしてくれた。

本当、申し訳ないです。


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