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なんかフワフワとしたものに包まれている。
目を開けると、このフワフワもなくなってしまうんじゃないかと思って、なかなか目を開けることが出来ずにいた。
ぎゅるるるるるぅぅ
目を開けずにいたらお腹が鳴った。そういえば昨日の朝か昼くらいから何も食べていない。
仕方がない、目を開けよう。そう思ってふと気づく。
なぜ僕はフワフワしたものに包まれているんだろうと
パチリと目を開け、上半身を起こして辺りを見回す。夕方が近いようで部屋は少し薄暗い。
そして驚いた。
ベッドの他にはテーブルセットとクローゼットしかなかったはずの僕の部屋が、とてもカラフルで豪華になっていたからだ。
まるで前世で見た、絵本に出てくる偉い人が住む部屋のようだ。床を見てみると、フワフワな絨毯が敷いてある。
ベッドの横にはサイドテーブルがあり、そこには水差しが置いてあった。なんと花瓶にお花も活けてある。
なんで僕はこんな所にいるんだろう?
首を傾げていると、扉が開いて人が入ってきた。ビックリして慌てて布団の中に潜り込む。うつ伏せになって頭とお腹を守る。全身鎧を付けた人の、腰元にあった剣を思い出したから。
ベッドの横に人の立つ気配がして、僕はビクビクとしながらギュッと目を瞑った。
ベッドが沈み、僕の横に誰かが腰かけたのが分かった。
「*****」
何か言われた。
「*******?」
僕の頭の中に?が並ぶ。
「****」
さっきよりも小さい声で何かを言われた後、背中を軽くポンと叩かれた。
突然触られたのでビクッと体が震える。何をされるのかわからず、知らず体が震える。
ブルブルと震えていると、今度は背中を優しく撫でられた。大きな温かい手が、僕の背中を優しく撫でる。
しばらく撫でられていると、体の震えは収まってきた。
震えが収まったら、手は離れていった。
ちょっと寂しくなった僕は、布団から頭だけ出して、恐る恐る撫でてくれた人のほうを見た。
(前世の絵本で見た王子様がいる!!)
驚いた僕は、ポカンと口を開けてその人を見上げた。
キラキラでサラサラな金髪に青い瞳、小さい顔にシミ一つない真っ白な肌。座っているからわからないけれど、それなりに身長もありそうだ。絶対に足が長い。うん、完璧な王子様だ!
しばらく王子様(仮)を眺めいていると、もう我慢できないとばかりに王子様(仮)がフッと噴出した。
上品に口元に手を当てて、クスクスと笑っている。その姿も絵になるなと、ぽやんと眺めていた。
しばらくして落ち着いたのか、王子様(仮)はコホンと軽く咳払いをした後、僕の頭に手を置いた。