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塔の中 塔の外  作者: ちとせ
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目が覚めるとそこは知らない天井でした。あれ?なんか前にも経験したような?

ゆっくりと体を起こした。首の後ろがちょっとチクチクする。もしかして針かなんか刺されて気絶したんだろうか?

気絶で済んでよかった!毒じゃなくて本当に良かった!命大事です。


とりあえずここはどこだろう?なんか懐かしい感じがする。辺りを見回してみると、何もない。テーブルセットとクローゼットがあるだけ。部屋の奥の方に扉があるけれど、きっとそこにはトイレがあるんだと思う。

ああ、僕のいた塔に似ているんだ。


僕のいた塔と違って上を向いても窓はない。灯りがあるので暗くはないけれど、ちょっと息が詰まる。

なんでこんな所に連れて来られたんだろう。

あの男は本当に僕の父親なんだろうか?だとしたら何のためにこんな所に閉じ込められる?


ベッドから降りて廊下に続いていると思われる扉の方に向かう。取っ手が付いていたので回してみたけど、当たり前のように鍵がかかていた。

本当に2年前と同じだ。僕はまたここに閉じ込められたのだ。

ベッドに戻って膝を抱える。


アルデビルド様たち、心配してるかな。急に僕がいなくなったから、探してくれているだろう。

けど庭園には誰もいなかったから、僕が攫われたなんて思いもしてないだろうか。

勝手にいなくなったと思われていないかな?だとしたら誰も探しに来てはくれないだろう。

僕は大きく息を吸ってゆっくりと吐き出した。


でも、ちょうどよかったのかもしれない。

メイドさんたちが言っていたじゃないか。アルデビルド様結婚するって。結婚するには僕がいない方がいいだろう。

僕がいない方がアルデビルド様のためになる。


そう思っていると、扉が急に開いた。アルデビルド様の家に居た時は、みんな必ずノックをしてくれていたのに。扉の方には僕の父親だと名乗った男がお盆を持って立っていた。


「シーネ、目が覚めたようだね。ほら食事だよ」


男が持っていたお盆をテーブルの上に置く。お盆には堅そうなパンが1個と、具のないスープが置いてあった。本当に昔のままだ、懐かしささえ感じる。


男はお盆を置いた後、僕に近づいてきた。男は笑った顔をしているのに、目が笑っていない。

僕は怖くて体が動かない。何をされるんだろうか?


「ふふ、怖がらなくてもいいよ。ご飯を食べたらレウカウス様の所に行くよ」


そう言って僕の頭を軽く撫でた後、扉から出て行った。男が扉から出て行ってからも、しばらく動けなかった。

男が戻ってこないのを確認した後、ようやく僕は体の力を抜いた。

食事の乗ったお盆の方を見る。とても食べる気にはなれない。今食べたら多分吐く。


どれだけの時間がたっただろうか?男が戻ってきた。そして僕が食事をしていないのを見て大きなため息をつく。


「シーネ、ちゃんと食べないと駄目じゃないか。ほらお食べ?」


そう言って男は僕をベッドから無理やり起こし、腕をつかんでテーブルまで引きずっていく。痛みより恐怖の方が強い。そして僕をテーブルの方に投げやり、パンを掴んだかと思うとそれを僕の口に無理やり詰め込んだ。

固いパンが口の中に入れられ息ができない。今度はスープを口の中に流し込まれる。固いパンがスープで膨らみ、のどに詰まった。

グハッと僕は口の中のものを噴出した。そしてゲホゲホとむせ込む。生理的な涙が流れる。


「ああ、むせてしまったね。でもシーネが悪いんだよ、父様の言うことを聞かないから。もうこのご飯は食べれないね。今度のご飯は食べるんだよ?」


笑いながら男は言った。この男は狂っている。宗教のようなものにのめり込んでいるとそう言っていたアルデビルド様の言葉を思い出した。

男は僕の口元を僕の服で乱暴に拭いた後、白い布を投げよこした。


「さあ、この服に着替えなさい。レウカウス様に会いに行くんだから」


広げてみると、布はお城から送られてきたワンピースと似た形の服だった。手触りは比べ物にならないが。なぜ服を着替えないといけないんだろうか?僕が戸惑っていると男が怒鳴る。


「早く着替えなさい、自分で着替えることが出来ないのか!」


男のイライラとした声に僕は慌てて服を脱ぐ。そして投げられたワンピースに着替える。何をされるかわからない。

着替えた僕を見たら男は満足そうに頷いた。


「それでいいんだ。さあ行くよ」


そう言って男は僕の腕をつかみ、部屋から出た。

これからどこに連れていかれるのか、何をされるのかという恐怖に、僕の体は震え続けた。

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