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塔の中 塔の外  作者: ちとせ
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初投稿です

R15は念のため

気が付いたら塔で生活していた。


塔といっても僕の移動できる部屋は最上階の1部屋だけ。扉には鍵がかかっている。鍵穴すらない。後はトイレのみ。意外なことに水洗トイレだ。

けれどお風呂はない。

なので時々体をタオルで拭くくらい。ああ、お風呂に入りたい。頭を思いっきり洗いたい!


食事は朝と夕方の2回、扉の下の方に小さい窓がついていて、その窓から出てくる。食べ終わったらその窓に戻す。窓の外には小さい箱状の空間があり、その奥にも扉があって外は見えないようになっている。もちろん鍵がかかっているようで開かない。

飲み物は水が食事についてくるだけ。

時々体を拭く時に使う小さい桶と多めの水が出てくる。

温暖な気候でよかった。四季があったら絶対風邪とか引いてた!


部屋の中にはベッドとテーブルセットにクローゼット。クローゼットといっても3枚のタオルと、ワンピースタイプの服が2枚入っているだけで、あとは何もない。パンツすらない。

ちなみに服とタオルは自分で洗っています。

1日何もすることがなく、ただ日々が過ぎていく。



そんな生活が長い間続いていた。たぶん今10歳くらい?カレンダーがないからよくわからない。うん、よく気がふれなかったものだ。

洋服に話しかける日々、何度挫けたことか。


こんな時前世の記憶があってよかったと思う。でないとこんな風に考えることもできなかっただろう。

日本で生まれて日本で育った。平和な国だったと思う。いつ、なんで死んだのか記憶にないけれど、それなりに楽しい人生だったような気がする。

記憶があることに気づいたのはたぶん3歳くらいの時。この塔に閉じ込められた時くらいだと思う。普通の3歳児だったら多分死んでた。

親はいったい何を考えているんだ。こんな小さい子を閉じ込めるだなんて、日本では信じられない。完全に虐待だ。



今日も部屋が明るくなり、朝が来た。

見上げると天井と少し下のほうに窓がある。窓までの高さは5メートルはあるだろう、ご丁寧に鉄格子がついている。

鉄格子の後ろのガラス越しに空と雲が見える。太陽は見えない。割と雲が近く見えるので、結構な高さの塔だと思われる。

椅子はあるけど、どう考えても逃げ出すことは不可能だ。だから鉄格子は必要ないだろうに。


今が何時なのか全くわからないけれど、ちょっと前に朝ご飯が出たから今は昼前くらい?

ここ数年は適当な時間に朝ご飯が出てくる事もあるから、時間の感覚が益々わからなくなってきた。

朝ご飯が出てからすぐに夕ご飯が出てきたこともある。夕ご飯が出てこないことも増えてきた。

部屋で何をするでもなく過ごしているから、そんなにエネルギーは使わないからいいのだけれど。


考えてみたらなぜ僕は生かされているのだろう?

こんなところに閉じ込めるくらいなら、殺してしまえば手間はなくなるだろうに。

ふと、その事に気づいてしまった。殺されるのは嫌だけど、生きている意味が分からない。

部屋が暗くなってきた。どうやら今日は夕ご飯は出ないみたいだ。

気分も暗くなる前に、もう寝てしまおう。

明日にはこんな気持ちなくなっているといいな。

そう思いながら僕は目を閉じた。



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