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The Stone of Destiny  作者: 櫻井


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51 錬金、それは生産職に与えられた奇蹟 2


「とにかく、今、工房で公開されているレシピを買いあさるだけの金を集めないとな」

「効率でいったら雑貨と武具じゃんね」

「確かにな。だが、鎧も捨てがたいぞ」

「鎧は雑貨上げてからの方がいいよ、板金で大量にインゴ使うし」


 アランを置き去りに彼の育成計画を立て始める二人は、五分ほどの協議の後、にこやかに彼に告げた。


「今から鉄を掘りに行くぞ」

「その後は木ね。一次生産の採掘と伐採、二次生産の雑貨をあがるように選択して」

「ステータスはSTRとINTだ。どっちも重いものを持たないといけないからな」


 言われるまま、アランはパーソナルデータを呼び出すと言われたスキルやステータスの横にある三角を上に向ける。


「LUCは後回しでいい? 」


 その様子を見ていたイチルが顔を馬場に向け問う。


「先にスキルを50くらいにあげてからでいいだろ、まずは持ち帰る量を増やさないとな」


 LUCは品質や産物の増加に繋がるが、総重量という概念がある限り優先すべきはSTRやINTという総重量値を増やす方向だと馬場は考えたようだ。


「鞄は……まだ持ってなさそうだな」

「課金はあとでいいよ。ステータスがある程度仕上がるまで最初の100で十分だし」

「まぁ、そうだな」


 課金による所持枠増加は二種類ある。


 インベントリの枠を10枠増やす鞄と言われる枠買いと移動倉庫と呼ばれるレンタル倉庫。鞄は最大10個持てるため、インベントリの最大拡張は200枠となる。

 枠が増えたからといって持てる重さも増えるわけではなかったが、スタックできないアイテムの存在がインベントリを圧迫することを考えれば枠が多いに越したことはなかった。何より、鞄といいながら結局はインベントリ拡張なので課金鞄の重量はゼロなのだ。


 そして、買い切り。これは価値がある。


 生産職の手仕事や数字選択式宝くじであるブルームミリオンズの景品など、枠の中に枠を作る鞄には重量があった。ナマモノを入れていても腐らない保存袋は有能だが、一長一短といったところか。


 中身をインベントリに含めない本物の鞄も勿論ある。鞄自体はインベントリに1個として枠を使うが、中に入れた物はカウントされない。ただ中身を含めた鞄の重さだけが増える仕組みだ。


 見た目を重視するか、機能性を重視するかは個人の好みだが、インベントリに収納されていない(=システムとしてプレイヤーと紐付けされていない)アイテムはロストしても文句を言えない。


 蘇生が適わず、死に戻りをすればインベントリの中からランダムにアイテムが選ばれ銀箱に収められた状態で死んだ場所に置き去りにされる。だが、これはシステムに守られているから他者は所有者権限が失効してからでないと開けられないし、銀箱自体を持ち去ることも出来ない。


 それに対し外付け鞄の中身は、むき出し状態でその場に投げ出される。高価なものを外付けに入れるプレイヤーはいないに等しいが、逆に買い直しが利くもの、生活感あふれる物が入っていて、通りすがりに銀箱の周りに散乱する弁当や薬草など見てしまうと胸に来るものがあった。


 課金鞄はイチルの言うとおり後でいいな。暫くはステ上げと資金作りだ。


 最初はゲーム内マネーを貸すやり方もあるが、それでは自身で稼いだ。という満足感が足りず、すぐに飽きてしまう。戦闘職が先人たちにお下がりだからと安価で武器や防具を譲ってもらうクセがつくと強く成れないのと同じに、生産職は自身のプレイスタイルに合わせて買取を多用したり、一から自分で集めたりと趣味をこじらせて完成されていく。


 アランには、長くこのゲームを遊んで欲しい。そうなれば、イチルとも事前に話し合ったが資金援助は無しだ。


「現物支給はするけどな」


 よしよし。と一人頷き、馬場は立ち上がった。


「うんじゃ、クエスト斡旋所に行って初心者クエスト受けるぞ」

「私がかい? 」


 生産職にクエストなどのいうものがあるのかと驚いたアランは、鼻息の荒い馬場からイチルへと視線を移す。


「よいしょっと。初心者クエストは、どの生業にも用意されてるわよ」


 立ち上がったイチルは尻についた埃をはたき落とすと、今度は自分の腰を叩くようにして手についた埃を払い落とす。単に埃が移動しただけのような気がするが、それは言わないでおこうとアランも立ち上がった。


「クエスト報酬にエプロンが貰えるんだが、スキルをプラスする効果があるんだ。微々たるものだが後々役に立つからな」

「あと、初心者用っていうお試しのツルハシと木こりのオノも貰えるから経費も実質タダ」

「生産職というのは……」


 言葉の続きを言っていいのか言い淀むアランに向け、馬場とイチルは歯を輝かせたウィンクとともにサムズアップする。


「「守銭奴のこと」」




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