攻撃的レーシングゲームの審判
買い物の後、部屋に帰ってきた私は早速作業を開始する。
「テケテッテ、テテテ♪ テケテッテ、テテテ♪」
「…………」
さっき助けずに無視してたせいかミカゲの機嫌が悪い。
「ゴメンよミカゲさん。これで機嫌を治しておくれよ」
オールミールの丸薬を差し出すとミカゲは抱えて舐め始めた。
「まぁ〜ずぃ」
「今度はちみつとか買ってきて甘くするから」
「約束な」
「うん」
「では気を取り直して、テッテー、テッテー♪」
「それ何?」
「作業用BGM」
「へ〜」
「はい、それではまず、触媒をアルコールランプでドロっとするまで煮詰めます」
「はい」
「そして、冷まします」
「うん」
「その間に買ってきた釣竿、20cの針に別の触媒を取り付けます」
「はい。何も釣れなくなりました」
「はい。それでは試してみましょう。ミカゲさん。飛んで下さい」
「何で?」
「いいから」
ピロロ〜と飛んでいるミカゲに向かって釣竿を振り回す。
「おい! 危ないだろ!!」
「針出てないから大丈夫」
なかなか当たらなかったが、何回か試してようやくミカゲに当てることができた。
「どう? 痛い?」
「不快。ドロっとしてるし」
「うむ。良い子の皆さんは真似しないように!」
「誰に言ってんだ?」
「お約束なのだよ。
じゃあ次は煮詰めた触媒を少し取り付けます」
ミカゲを見つめる。何度見しても飛んでくれない。
仕方がないので床に落ちていたタオルを狙ってみた。ベタッとした触媒のおかげで離れたタオルを釣竿で取ることができた。
「成功です!!」
「はーい」
ミカゲが冷たい。
「あとは、電気の魔法はどうすればいいか知ってる?」
「知らん」
「そっかぁ。……雷は雲で静電気が起こるかなんかでできるんだよね〜」
∽───────∽魔法陣∽───────∽
火:1
水:1
風:3
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
域:1
時:1
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
コスト:7
動
1:↑ 2:↓ 3:→ 4:← 5:↑
∽────────∽∽────────∽
魔法を使って見ると何か光った。
「自分で試せよ」
「はい……」
左手にかけてみました。
「はい。痛いです。ビリっとします。静電気完成です」
∽───────∽魔法陣∽───────∽
火:1
水:1
風:5
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
域:1
時:1
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
コスト:9
動
1:↑ 2:↓ 3:→ 4:← 5:↑
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
命名:電気
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少し出力を上げて作ってみた。
さっき釣竿につけたトリモチ触媒にスタート、ストップ、電気とかける。
「はい、釣竿ができました〜〜」
「おめでとう〜」
釣竿と触媒、木の棒数本と布を持って外に出る。
「はい、外に出てきました〜」
「これもお約束?」
「うん。続いてキン斗雲を作ります!」
まず、凧を作りま〜す」
「凧もいろいろあるけど?」
「う〜ん。イメージはヨットで!」
「はい」
「それから、触媒雲を2個作り、トリモチ触媒で貼り付けます。
貫通しないように、真ん中に棒を刺して、凧を棒に括り付けて……。
完成です!!」
「おめでとうございます」
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アイテム
【キン斗雲】を作りました。
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早速キン斗雲に乗り込み釣竿を構える。
「行くよミカゲ!!」
「なんか変な生き物になったな」
「攻撃的レーシングゲームの審判みたいでしょ?」
「何に例えたのかわからん」
「早く! 電撃をお見舞いしても問題ない奴を探しに行くんだから!!」
「お〜お丞がゲームっぽいことしようとしてる!」
「ゲームだからな!!」