楽して飛びたい
創造魔法で作った灯は半永久的に光り続ける。うん。邪魔だ。
「なんかこー、ついたり消したり出来ないの?」
「さあ〜?」
ミカゲはふわふわしている。
とりあえずストップを光り続ける触媒にかけてみる。
「なんか変わった?」
「変化ありません!」
「触媒に魔法を重ねがけできるの?」
「さあ〜?」
仕方がないので試しに触媒にスタートとストップをかけた後に灯の魔法をかけてみる。
「あっ、ついた」
「よし、ストップ!」
「おお、消えた!」
「やったー! 成功だよー!」
続いて同じように少しだけ浮く魔法の触媒を作る。
「ストップ!」
「おお! お丞完璧!」
「スタート」
「……今どっちにかけた?」
「浮く方」
「灯もついてるなー」
ミカゲの言う通り、灯もついているし、浮く方も浮いてる。
「ムムム」
今度は指差しで対象を指定してからストップの魔法を使う。
指をさした灯の方だけを消すことが出来た。
「フッどうだい? ミカゲ君?」
「スゲー! スゲーよお丞!」
「フフン。次は……やっぱり魔法は空を飛びたいよね?」
「あーそれなら風魔法で……」
「いや、楽して飛びたいよね?」
「楽?」
「浮き輪でプカプカ〜な感じでさ、だから雲を作ろうと思うのよ」
「へー」
ミカゲは面倒臭さくなったらしい。
とりあえず雲を作てみた。
∽───────∽魔法陣∽───────∽
火:1
水:3
風:0
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
域:1
時:5
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
コスト:10
動
1:・ 2:・ 3:・ 4:・ 5:・
∽────────∽∽────────∽
霧になった。
「霧と雲って何が違うの?」
「知らん!」
分からないので触媒にスタートとストップをかけてからさっきの魔法をかける。
霧が触媒で濃縮されたみたいでそれっぽい物が出来た!
「乗れるかな?」
恐る恐る座ると、ベチョっと広がる。
「……」
そのまま浮く魔法を掛けてみる。
「おっ?」
雲は私を乗せたまま数ミリ浮いたので風の魔法で少し高度を上げてみる。
∽───────∽魔法陣∽───────∽
火:0
水:0
風:1
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
域:1
時:5
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
コスト:7
動
1:↑ 2:・ 3:・ 4:・ 5:・
∽────────∽∽────────∽
「おおおお〜〜」
雲はふわふわと腰ぐらいまで浮かびあがる。調子に乗って移動してみた。
∽───────∽魔法陣∽───────∽
火:0
水:0
風:1
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
域:1
時:5
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
コスト:7
動
1:← 2:・ 3:・ 4:・ 5:・
∽────────∽∽────────∽
「おっそいな〜」
ピロロロ〜と追いついて雲に乗っかったミカゲがいう。
「ちょっと待って、これ方向変える度に魔法いるの?」
「普通の飛ぶ魔法は、身体に風の魔法かけて、自分で動くんだよ」
「…………」
「お丞、大人しく自分で飛ぼうぜ?」
ミカゲを無視した私は一旦雲を降りて考える。
「エンジンを作るか、コントローラーを作るか、いや、雲なら風で……」
そこら辺に落ちていた木の枝で凧の骨みたいなのを作ってとりあえず着ていたマントを縛り付ける。
「よし、出発!!」
雲の高度を上げ、ふわふわと建物よりも上にあがり、風が吹くのを待っていると、結構強い風が吹いて雲が流されていく。
「おお、動いた!」
「お丞助けて〜!」
「え?」
振り向いたらミカゲが飛ばされていた。
「そうか、これだと荷物が飛んでいっちゃうな。う〜ん」
「おい!! 助けろよ!!」
風がおさまってから戻ってきたミカゲがなんか言っている。
「分かった! 同じ物を2個作って挟もう。後はズレないようにして……」
「ね〜お丞聞いてる? 俺の話聞いてる?」
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雪之丞: L8 H80 M50/100
所持金:25
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