ギルドってやつ
「ミカゲ君、お金はどうやって稼ぐんだい?」
「じゃあ、仕事斡旋してくれるとこ行こう」
「ギルドってやつ?」
「うん。よく知ってんな」
町外れの大きめな建物がギルドらしい。
ギルドの中は多くの人でごった返している。カウンターは混んでいるので掲示板を見てみる。
「一番簡単なのはどれかな?」
「あれじゃないか? 薬草の収集」
掲示板の一番上木の板に薬草収集の依頼がある。
「紙のと木のやつは何が違うの?」
「常時と臨時だな〜。薬草はいつでも買ってもらえんの」
「どうやって依頼受けんの?」
「あのおっさんに聞いてみよう」
ミカゲはピロロロ〜っと職員らしきおっさんの元に飛んでいく。
掲示板の横に立っている男の人は俯いて微動だにしない。
「おっさん、おいおっさん! ……寝てんのか?」
「寝てるみたいだね」
ミカゲがいくら呼んでも起きないので私は少し揺すってみる。するとおっさんはバチっと目を開けた。
「こんにちはお嬢さん。どういった御用でしょうか?」
おっさんはさっきまで寝ていたとは思えない様子で仕事を開始している。
「薬草の採集依頼を受けたいのですが、初めてでよく分からないんです。教えてください」
「もちろんです。ご案内しますので少しお待ちください」
おっさんはそう言って何処かから袋を持って戻ってきた。
「依頼には請け負ってから始めていただくものと、完了報告と合わせて処理するものがあります。採集系の依頼はほとんど完了報告だけです。たまに限定何個など制限がある場合には早い者勝ちになったりしますが。
薬草の場合は十束単位で買い取らせていただきます。袋の中に紐がありますのでそれでまとめたのが一束です」
おっさんはそう言って袋から一束の草を取り出す。ヨモギみたいな草だ。
「これが薬草です。紛らわしいので新人さんはそのまま持って来て下さい。こちらで仕訳しますから。袋には必要な道具が色々入っています。こちらはプレゼントです」
「ありがとうございます。薬草はどこに行けば生えてますか?」
「南の湖のあたりがお勧めです」
「はーい。行ってみます」
そして受け取った袋を抱えてギルドを出た。
「南ってどっち?」
「こっちだぞ~」
ミカゲの後を追いながら思った。最初の買い物は地図とコンパスで決まりだ。