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08 氷山の上で分析

 

 ■システィーナの視点


 

 氷柱から出てきたもの………それは巨大なアンモナイト(又はオウムガイ)の『 ヒゲ 』だった! ということは、この氷山の中身は、その巨大な海の魔物の本体が入っている可能性が高い。さすがに死んでいるとは思うけれど……氷が融けて本体が出てきたら処分はどうするんだろう。肉は腐って、超臭くなるだろうし、殻は腐らないから……ただただ、邪魔よね。



 コックリはアゴ髭を触りながら、考えること数秒………。



「現状分かっている情報を整理してみよう。」



 ■現状のデータ

 季 節 : 初夏(6月)

 場 所 : アラルフィ(温暖なテラメディウス海)

 現 象 : 氷山が流れ着く

 大きさ : 高さ十メートル、幅三十メートル

 形 状 : ホールケーキのような円柱形?

 その他 : 氷柱の中に、巨大アンモナイトor巨大オウムガイのヒゲ?

       もしかしたらこの氷山の中身が本体の可能性も。



「とまあ、こんな感じだ。さて、氷山の中身が巨大な海の魔物だとして……この巨大な海の魔物だが ①自然の摂理で氷山と化した、② ①以外の理由で氷山と化した、だとどっちだと思う?」

「もちろん、②よね。」

「ああ。①はほぼ間違いなく、ない。理由としては、①-1:温暖な海であり、①-2:初夏であることがあげられるな。」

「そうね。」

「では②として………どんな原因があるか、だが………。」

「やはり、第三者が関わっているんじゃないかしら? たとえば『 魔霊の使い 』とか。」



 魔霊の使いは、神殿騎士と対局を成す存在と言える。神殿騎士が聖霊の聖魔法を行使する存在ならば、魔霊の使いは魔霊の闇魔法を行使できる。闇魔法で凍らせたのでは?



「うぅ~ん。……でも規模がな。」

「規模?」

「ああ。過去の神殿騎士……氷帝リガルドでも、この規模を凍らす魔法が使えるかどうか。」

「ああ~。」



 確かに、この規模を凍らせる魔法は……。聖霊・魔霊の奇跡……とはいえ、ひとの霊力を源として魔法が使われるので、これほど極大な魔法は作り出せないだろう。



「さらに、今回は聖霊の啓示がないのが気になる………。」

「ああ!」



 神殿騎士は聖霊の啓示により、怪異が発生している場所へといざなわれる。しかし、今回は聖霊の啓示がなかった!



「コックリ……。聖霊の啓示がない、ということは邪悪な存在が関わっているわけではない……ということなの?」

「ああ、そうなる………。」



 邪悪な存在が関わらず、自然以外の理由で怪異が発生している?

 そんなこと、あるの? いや、実際発生しているのだから、あるのか……!



「うう~ん、まあ情報が少ないからな。分かることからやっていくか。」

「そうね。」

「さてこの氷山……というか中にいると思われる海の魔物。どこから来たのかな?」

「そうね、どこかしら。これだけ大きいと、かなり深い海で、潤沢なエサが必要よね。」

「いい着眼点だね。実はその条件を二つとも満たす海域がある。深い海、豊富なエサ………。ああ、さらに潮流もその海域を通るか。そこに棲息していたモノが凍り、潮の流れによって流されてきた………という可能性がでてくるんだが………ただ………まだ決定力に欠けるだろうか………。」

「それはどこ?」



 コックリは南の方を見た。



「『 光る海 』だ。」



 ■現状のデータ

 季 節 : 初夏(6月)

 場 所 : アラルフィ(温暖なテラメディウス海)

 現 象 : 氷山が流れ着く

 大きさ : 高さ十メートル、幅三十メートル

 形 状 : ホールケーキのような円柱形?

 その他 : 氷柱の中に、巨大アンモナイトor巨大オウムガイのヒゲ?

       もしかしたらこの氷山の中身が本体の可能性も。

 魔物の生息域 : 深い海、豊富なエサ場の『 光る海 』

          (光る海で何かが起こり、そこから流れてきた?)

 潮 流 : 光る海を通る

 特 記 : 邪悪な存在が関わらない怪異! (聖霊の啓示なし)






脳内のストーリーの具現化が追い付いておらず、明日は更新を休むかもしれません。

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