01 プロローグ
少しずつ掲載していきます
その世界は剣と魔法の世界。
神はその世界に三つの奇跡の力を持つ霊威の世界を創造した。
一つは善良なる霊威 天使が存在する『聖霊界』
一つは邪悪なる霊威 悪魔が存在する『魔霊界』
一つはそのどちらでもない自然物の大いなる霊威 精霊が存在する『精霊界』だ。
神はさらに一つの生命の世界『物質界』を創造し、同時にその生命が滅した時に逝く様々な魂の世界を創造した。
物質界には多くの国が興り、人々は慎ましくも穏やかに暮らしていたが、邪悪な存在がひき起こす不可解な事件、<怪異>に悩まされていた。
聖霊信仰の中心 法王庁は、聖霊の奇跡 聖魔法 を駆使し、不可解な怪異を解決する特殊な騎士『神殿騎士』を組織し、怪異解決の任を与えた。
この物語は、一人の若き神殿騎士コークリットのお話。
綴るのは、彼とともに旅をする森の妖精エルフの娘、システィーナ。
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その怪異の発端は、今から二百年ほど前にさかのぼる。
温暖なテラメディウス海は、テラ(大地)の中央 (メディウス)の海を意味し、東・南北を陸地に囲われた大きな海だ。
商人たちは、船によって南の穀物を東に、北の工芸品を南に届け、巨万の富を得る。
あるとき、ある商船がテラメディウス海の中央の海域を渡った。
そして驚くべきことに気が付くこととなる。
満天の星空の中、海の底が淡く光り輝いていたのだ。その海域の光に気が付いた時期が二百年前というだけで、もしかしたらもっと前から光を放っていたのかもしれない。
商人たちは、この海底に宝が眠っていて、それが光り輝くのだと噂した。
多くの商人たちが、この海底を探ろうと潜水の技術を考えた。
潜水の技術を編み出しては挑戦し、失敗を繰り返す。
十数年、繰り返される試み。
それがあるとき、終わりを告げる。
その海域に、大型のクラーケンやサーペントが棲みつき、サルベージ船はおろかその航路を通る商船さえも襲うようになったからだ。
宝の光に導かれ、それを守る大型の魔物が棲みついた…………そう噂された。
商人たちは悔しさをこめて、その海域を見る。
『 光る海 』を。