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心と146cmの優しさ  作者: 蕩ける国語辞典
忘れた未練偏
2/3

記憶喪失/555

さてさて、足元から地面が消え去り、真っ黒な空間に吸い込まれるような感覚と共に、自由落下を始めた私は、不意に叫ぶ。


「ちょっと待って!!なんなのよこれ!!」


「言ったであろう、今から異世界に行くんだとな」


反論したかった、でも意識が急に遠のいていく、中に浮かぶ幼女を見ながら、なぜアイツは落ちないのだろうと思って、意識は途切れた。




ピピピピピピピピピ・・・・・・・・・・


目覚まし時計のアラームがなる。


時計を止める、時間は朝の7時30分。








・・・・・あれ?


慌ててあたりを見渡す、そこは自分の部屋ではなく、病院だった・


なぜに、病院に目覚まし時計・・・しかも私の部屋にあるのと同じ時計。


屋上にいて・・・異世界に飛ばされた見たいだけど、どうなんだろう、窓の外の景色は私がいた世界とは変わりがないように見える。


建物とか、車も変わったようには見えない・・・ほんとに異世界なのだろうか。


とにかく、今の状況を把握しないと、さっきの幼女を探すか?なんて思っていると、医者だろうか男が入ってくる。


ちょうどいい、この人に今の状況を聞こうか。


「あの、つかぬことを聞きますが、此処はどこで、私は一体どんな状況なんでしょうか?」


「あぁ、やはり一時的な記憶喪失か」


医者であろう男は、どうやら私を記憶喪失だと判断したのだろう。


淡々とこれまでの経緯を語ってくれた・・・。






――30分位経過――





簡単にまとめると、こんな経緯らしい。結果から言うと『自殺未遂』、しかも飛び降りらしい。

らしいと言うのも、自分の中にそんな記憶はない、現に自分の記憶は廃墟から堕ちた記憶しかないのだ。


いやまてよ・・・落ちた、あぁその落ちたが飛び降りの失敗に結びついたのだろうか。


でも、異世界に行くとするなら、未来からのロボットみたいにどこかの机の引き出しとか


激しい稲妻とともに出現するとか、光の玉にぶつかって光の巨人になるとか・・・これは違うか。


車に乗って、異世界に行くとか、神様にチェスで勝つとか、そんな感じの前置きがあってもいいと思うものだ。


勝手に落とされて、結果が自殺未遂ではロマンの欠片もない。あの幼女に文句を言いたいものだ。


さてと、医者からの情報をまとめると、氏名、住所、容姿当の個人情報生い立ちは今まで通りらしい、ここで1つだけ違う点がある


それは、転校する3日前らしいことだ、医者いわく理由はイジメらしい。なるほど虐めを苦に自殺未遂、それで転校なのだろう。


やれやれ、なんて不幸なのだろう、高校2年にして自殺とは諦めるのが早いのではないんだろうか。


と言っても、私にはその記憶がないが、記憶があるとすれば、6年間虐めに耐えて、地元の外の高校に行った知り合いがいたな。


この話はあまり深く話すのはやめておこう、人権侵害とか言われて訴えられたら面倒だ、中学の時にそんな事件があったから、どれだけ面倒か知っているし。


話が脱線してしまったが、転校前に自殺未遂した女子高生、これが今の私の現状らしい、あと記憶喪失・・・。


記憶喪失の裏には、自分を救うために何度も過去に私との出会いをやり直していた最高の友達の覚悟ある行動とかがあれば最高だけど


そんな、どこかの魔法少女でもないし、ないない。


恐らく、ここが異世界だと仮定すると、前にいた世界から、こちらの世界に行くときに、前の世界の記憶をそのまま受け継いで、こちらの世界の記憶は消えてしまったのだろう。


さてと、あの幼女を探さなければ・・・どこにいるのだろうか、取り敢えず屋上にでも行くとしよう。


そして最後に、医者は去り際にこう言った「あの高さから落ちてよく生きてたね、奇跡だよ」と・・・その一言だけが気になった。


医者が奇跡というほどの高さなら相当なのだろう、しかし、体にはすり傷が数箇所ある程度で、飛び降り自殺にしては軽傷だったからだ。






ガチャり





屋上のドアを開ける。


青いそらに、眩い光が、白い洗濯物に反射して揺らめいている。


正直、病院とは言え、結構いい景色だと思った。ある意味、幻想的だった。


「ようやく、きたか」


聞き覚えのある声に振り向くと、可愛い幼女・・・いや、私に自殺未遂者という称号を勝手につけた張本人がいた。


「今の状況は概ね、把握したのだろう?」


「まぁね」


「なんだ?そのテンションの低い返事は」


「いや、だって、ここが異世界とか言われてもね」


「ふむ、そうか、どうしたものか」


「・・・・・・・・あのさ」


「うむ、なんだ?」


「あんたの名前は?私の名前は東雲紗耶。」


「うむ、そうか自己紹介がまだだったな、私は一応時間を司る神、蛍悠喜ほたるゆきだ。」


「うん。よろしく・・・なんて呼べばいい?」


「・・・なんか、リアクションが薄い、まぁ好きに呼べ」


「そんなこと言われても・・・私、宇宙人とか神とか信じてないし」


「そかか、なら、証明してやろう、神の力ってものを」


そう言うと、いつの間にか私の横にいる悠喜、どうやって移動した?瞬間移動とか?


「ほれ、私の手を握れ」


悠喜は、手を自分の方に差し伸べてくる、私は言われるがままに、その小さな手を握る。


視界に映るものが全て灰色になる・・・周りのものは動きをすべて止めていた


「どうだ?これで信じるか?」


「う・・・ん、これは信じざるおえないけど、なんかのトリックなんじゃないの?」


「はぁ、この状況でも信じないのか・・・」


「うむ、信じてもらわないと話が進まんのだが」


「話?話だけなら聞くよ、信じる信じないは別としてね」


「うむ、分かった、話すだけ話すか・・・不確定要素が多過ぎるが、仕方ない」


「信じてもらえる確証が少ないのであれば、完結に言う、救ってもらいたい人間が4人いる。」


「その4人を救うのを手伝って欲しい」


「人命救助的な?それなら救急隊とかに・・・」


「そういった類ではない・・・私が言っているのは、人生を救ってやってくれと言っているんだ」


「人生を?」


「そうだ。」


正直、何を言っているのかわからなかった。


というか、人生を救えと言って、一言目に「了解」とか「はい」とかい言ってしまえる人間はどの位いるのだろうか?


私が知る限り、そんな人間はいな、いたとしたら偽善者か詐欺しか、相当のお人よし位だろうか。


自分を犠牲にしてまで、他人の人生に土足でなんのデリカシーもなく踏み込んでまで、他人を救うなんて事ができる人間なんて、本当の意味では存在しない。


自分が関わったからといって、どんな行動をしようと、どんな言葉を言おうと、最終的に決めうのはその人自身なのだ。


関係を持っているあいだは、前向きな返事をしてくれていても、実行とかはしないのが多い。


実際に自殺の説得とかは、立てこもりに説得とかは、最終的に失敗か強制的に止めるの2つがほとんどなのだろう。


説得しても、結局は飛び降りてしまった人を私は知っている。実際に飛び降りた後を私は見てしまっている。


救う、そんなことは不可能だ、この結果は変わらない、人間は決して他人を救うことは出来ない、決断するのは張本人であって、救おうとする人でないのだから。


関わった誰かが結果的に救われるだけで、自分には誰も救えない。


「わたしは、その4人を救うことはできないけど、手伝いくらいならできる」


嘘は言っていない、手を差し伸べる側はいつだって『手伝い』で終わる『手伝う事しかできない』のだ


「うむ、それでいい」


「ならば、いまから、お前が行くことになる学校とやらに行くとしようか」


こうして私は、詳しい事情とか、救って欲しい理由とかは一切聞かずに、転校予定の高校へと向かった。


道中に、いろいろと聞こうと思ったけど、それはやめておいた、どんな情報を持っていても結果わ変わらないんだろうと思ったからだ。


これだと初めから、諦めているように思えるが、そうじゃないんだと思う、何も知らないところから距離を縮めてこそ、友達とかになれるのかなと


そんな風に個人的に思ってるだけで、だから聞かない、知れば知る程、声が届かなくなったりしたら意味がないから。


「ついたぞ」


病院から移動すること、おおよそ35分程度だろうか?


その学校は見覚えがあった、前の世界で私が通っていた学校だ。


「ここって・・・前の学校だよね?」


「あぁ、しかしこの世界では、お前はここの生徒ではないからな」


「転校生として、ここの生徒になってもらう」


「ほうほう、ここの生徒とかは前の世界と一緒?」


「名前や容姿は一緒でも中身とか性格は違うからな、気お付けてくれよ?」


「あぁ、じゃぁ、前の世界で友達でも私が知ってる通りってワケじゃないのか」


「なんか、面倒だなぁ、やりにくい」


「そう、嘆くな、逆に知らない状態なら違いが分かり訳すていいだろう?」


「まぁ、そうだね。」


遠くから足音が聞こえてくる、と同時に悠喜は口を閉じる。


少々疑問に思っていると、「そんなところで何してるのぁ!!」叫び声とともに足音はじめんに付く音の感覚が短くなる、どうやら走っているらしい。


足音は途中で下の感覚に戻る、音の距離的にそれなりに近づいてきたなろう。


足音の主を確認するために、音のする方向位に首を傾ける。


「・・・・・・・・・・っぇ!!」


ただ驚いた、驚くしかできなかった、それ以外のリアクションをすることは私には許されていなかった。


なんでも願いを叶える器を奪い合う、者たちの印のごとく、驚く以外には許されなかったのだ。


視界に映ったその人は、二度と会うことのできないがずの人間だったからだ。

忘れもしない、中学最後の夏休み、最終日の早朝5時55分、星を見ようと山に行こうと約束した日の当日。


結局見ることのできなかった、果たすことのできなかった約束を交わしたあの日。


私の前で、トラックとともに一瞬で姿を消してしまった、人間だったモノに成り代わった彼女がそこにはいた


前方不注意のドラックに轢かれた親友、月見里奏芽やまなしかなめが、死んだはずの彼女がそこにはいた。



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