ねこ
意味は特にないです。
ましずかな真夜の
むこうには
水のような朝がある
一夜が明け
雨が止んだので
水たまりに
水をのみにきていたねこが
ちいさなねこが
ふいに顔をあげた
そう
不安げに松のほうを見あげた
しずくのこえか
小鳥のあくびか
草のけはいか
木の葉なのか
それらが朝風にふるえたのが
あんまりにわかだったので
不意をつかれたのか
きょっと
おどろいたようにまんまろな眼をして
ときおり後ろを振り向いたり
また松のほうを見あげたりして
すごすごと
逃げるように
行ってしまったよ
ぷくぷくと
とおくに鳩のひとり言が
いつまでもきこえていたよ