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レトロゲームと、私  作者: 福山陽士
FC編
6/60

光の4戦士

 おじいちゃんの家のファミコンを使っていたのは、私と弟だけではありませんでした。

 母親の妹――叔母さんも時々やって来ては遊んでいたようなのです。しかし叔母さんがやっていたのは、私らが遊んでいたゲームとはちょっと違うものでした。



『ファイ○ルファンタジーⅢ』



 それまで遊んでいたゲームとは、全く雰囲気が違うこのゲーム。珍しいゲームにはまず食いつく私らだったので、当然差し込んでスイッチオンです。


 武器や防具を装備し、コマンド入力をして敵と戦い、レベルを上げて行けば良いということは何とか理解しました。文字がひらがな表記だったおかげかもしれません。

 敵を倒しながら全ての宝箱を回収し、いざボスの部屋です。しかしボスの亀は強く、全滅してしまいました。

 このボス、道中で手に入れたアイテムを使えば楽なのですが、『アイテムを使って攻撃する』という発想ができなかった私達。無限に回復できる水の前で、ひたすらレベル上げに徹しました。

 そんなこんなで、レベル9か10くらいまで上げました。最初はまだ魔法が使えないので、まさに脳筋パーティー状態です。

 いざ行かんと鼻息荒くリベンジしたところ、亀はあっけなく沈んでいきました。亀の方も、たまねぎ剣士がこんなにムキムキになるとは思っていなかったことでしょう。


 そして始まるプロローグ。


 このプロローグの音楽が、私の人生においてかなり衝撃的なものでした。

 少し哀愁を感じる旋律。ファミコンの音源は3和音ですが、今まで聴いてきたどんな音楽よりも感動したのです。そしてフィールドに出ると、今度は『悠久の風』。フィールドで動かずに音楽を聴くだけ、なんて事もしばしばでした。


 おじいちゃんの家に滞在できる時間は限られていたので、最初の町の宝箱を回収したところで、大抵時間切れとなっていました。

 大抵。

 そう、1度だけでなく、おじいちゃんの家に遊びに行く毎に、最初から繰り返していたのです。

 それはオープニングの音楽を聴きたかったから――という理由ではなく、幼い私達には「セーブ」の機能が理解できていなかったのです。

 アクションゲームでは、電源を切ると当然のように最初からやり直しです。続きからやるには、パスワードを入力するのが当たり前だと思っていました。だから何も入力せず『続きから遊ぶ』なんてことができるなんて、想像できなかったのです。

 意味がわからないままも、一通りのコマンドは試してみる私達。何度も叔母さんのデータを上書きセーブしていました。今思うと、超迷惑な子供です。すまんかった叔母さん……。


 ちなみに操作はほとんどが弟で、私は横で見ていることの方が多かったです。レベル上げ作業は結構手伝いましたが。



 私が最初から自分で操作したのは、我が家にファミコンがやってきてからでした。

 その時にはセーブ機能も理解していたので、やっと最初の町以降にも進むことができました。

 セーブ場所は、1番下。父親が1番上で、真ん中が弟というポジションでした。このセーブポジションは、他のゲームにも引き継がれていきます。


 サブキャラのデ○シュが好きで、色んな場所に連れ回していました。何度もサリ○ナに会わせてあげたりもしました。この頃から既にカプ厨の片鱗が……。


 初めて浮遊大陸から脱出した時は、本当に鳥肌が立ちました。まさに果てしなき大海原。地図の見方がよくわからず、かなりさまよいましたが。

 沼を歩いて渡ろうとしていきなりゲームオーバーになったり、ガルーダに超苦戦したり、ノーチラスの速さにびっくりしたり(あの速さ、バグを利用したものだったらしいですね)、シリーズ初登場となるモ○グリに「ニャー」と威嚇されたり、分裂する敵に発狂しそうになったり。

 全滅を繰り返しながらも、着実に物語は進んでいきます。


 そういえば、しゅりけんを売っている場所を見つけたのは父親でした。得意そうに私と弟に教えてくれたのをよく覚えています。

 エウレカ全ての場所を調べながら歩いたそうです。A型とはいえ、いくら何でもマメすぎます。

 父親は他にも、用途が不明だった『キル』という黒魔法の効果も見せてくれました。レベル差がないと成功しない魔法だったようです。

 キュルキュルキュル、という音と丸い輪っかが現れた後、一斉に消えていく敵達。そして表示される「ザコはぜんめつした!」のメッセージ。もっと他の表現方法はなかったんかい、と皆で笑い合ったものです。

 この魔法、1番のお気に入りとなりました。使えませんけど。


 そんなこんなでRPG史上最長と名高い(セーブができないから)ラストダンジョンまでやってきました。ク○クムがトラウマです。

 時間の関係で私は1度しかラストまで行ったことがないのですが、父親が何度もトライしていたので、くらやみのくもは数回見ることができました。



 後のシリーズでも定番となる『ジョブチェンジ』が初登場したのは、このゲームです。

 学者の通常攻撃『本で殴る』は衝撃でした。白魔導師や導師は、女の子だと信じてました。シーフは髭があることに全く気付いておらず「ゆ○姉に似てるなぁ(兵○ゆき。当時色んなテレビに出てた)」とか思っていたり。


 シリーズ定番の『しょうかん』も、このゲームが最初でした。初めて尽くしの3なのです。

 白、黒、合体と、召喚獣の種類も3つに分かれていました。イフリート(白)がお気に入りでした。回復役だったんですよ……。

 バハムートもリヴァイアサンも格好良いなぁと、この召喚をきっかけに厨二病への階段を着実に上っていくのでした。


 そしてゲームをやっていた私ら以外にも、影響が出ました。

 私らがゲームをやっている隣の部屋で、当時母親は内職をしていました。

 父親と弟と私。3人分の音楽を聴かされていた母親。すっかり音楽が気に入ってしまったようです。ある日突然サントラを買ってきて、誰もゲームをしていない時でも楽しんで聴いていました。

 ゲームのサントラを買って聴く、という行為もこのゲームが初めてでした。



 何度も何度も、繰り返し遊んだゲームです。今でも隠し通路と隠しアイテムの場所を覚えているくらいです。

 だからWS版の発売が中止になった時の絶望ったらなかったですよ。これの為にWS買ったというのに……。

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