仲間になりたそうに見つめてくるRPG
ビア○カしか選べない……。
『ドラゴン○エストⅤ 天空○花嫁』
ファミコン生活を満喫していたある年の12月、いきなりそれは我が家にやってきました。
私、小学生の頃は硬筆を習っておりまして。いくつか賞をもらってトロフィーや盾を棚に飾っていたのですが、そのトロフィーの横にぽんっと置いてあったのです。
ビックリしましたよ。学校から帰ってきたらいきなりあるんですもん。
間違いなく父親がやったのだろうなと尋ねたら、クリスマスを過ぎたら解禁、みたいなことを言われました。
まだ我が家には、SFC本体がありませんでした。
つまり、クリスマスにSFCが我が家にやって来るということです。サンタさんありがとう。
というわけで、終業式までかなりそわそわしながら過ごしました。
一日に何度もチラチラとパッケージを眺めてました。トロフィーの横にあるもんだから、無駄に神々しく見えます。
そしてきましたクリスマス(SFCはどうやって入手したのか、正直なところ覚えていない……)
なぜか家族全員がテレビの前に大集合です。
カセットを挿して、いざ行かんドラ○エの世界。ちなみに最初は父親が操作です。
まず、音に大感動しました。
ファミコンの電子音とは全然違う。オーケストラです。弦楽器です。
みんなで「凄いなあ」と大合唱しつつ、慎重に進めていく父親。
会話に漢字が使われていてびっくりだし(『預かる』という漢字はこれで覚えました)戦闘画面も背景がついて、とてもきれいになっています。
攻撃すると剣の軌跡まででちゃいます。
終始感動しっぱなしでした。
洞窟では音楽もちょっと響いた感じになることに気付いて、さらに感動。
お話もドキドキです。
夜にこっそりと抜け出してお城へ行くわけですが、このお城が子供心にとても怖かった。
お墓を見た時はリアルに「わっ……」と声を出してしまったほどです。怖いの苦手なのです……。
ストーリーは父親や弟がプレイしているのを見るので、必然的に先を知ってしまうのですが、それでも自分でプレイする時の緊張感は格別でした。
奴隷を初めて見た時の衝撃といったらもう。
主人公が奴隷になっちゃうゲームとか、今考えるとかなり攻めたストーリーラインです。
先の展開を知っていたので、無駄にレベルを上げてから進んでました。
現時点での最強武器・防具を全員が装備するまで次に行かない、という自分ルールでした。
お金を貯めるの、かなりきついのですよね……。ようやったな自分。
そしてなんと言ってもアレです。モンスターを仲間にできちゃうシステムです。
初めての仲間は何だったかな……。ブラ○ニーとかそのあたりだった気がします。スラ○ムではなかった。
戦ったあとに起き上がってくれた時の喜び。
ただ「お前じゃない。狙ってたのは隣のやつだ……」となることも割とありました。
お気に入りモンスターはキ○ラでした。
以前「赤と青が隣合った状態が好き」と書きましたが、それは炎と氷も例外ではありません。そんなわけで、『こごえるふぶき』と『もえさかるほのお』でほぼ終盤まで行きました。
さすがに終盤はブリ○ドとグレートなドラゴンさんにチェンジしちゃいましたが。
あとは外せないよね、なスラ○ムナイトさんと回復要因ホイ○ン。
セーブ箇所は3人で1つずつの割り当てなので、最初からやり直したければデータを消さねばなりません。
そのへん、かなりあっさりと消してはやり直していました。今度はどんなモンスターが仲間になってくれるかなー、アレを仲間にしたいなーと、やり直す度にワクワクしておりました。
まあ、狙ったモンスターが全然仲間になってくれず、諦めて話を進めるパターンも多かったわけですが……。
5のもう一つの大きな特徴といえば、花嫁選びです。
1周目はビア○カを選びました。
好みとかそういう問題ではなく、「パッケージにまで登場してんのに選ばなかったら、ストーリーに重大な欠陥が生まれてしまうかもしれない――」と先の展開に不安を抱いたのです。
でも1周目でビ○ンカを選んだら、まぁ当然の事ながら2周目は嫁にフロ○ラを選びたくなりますよね。
結論から言うと、辛かったです……。
いや、扱える魔法が優秀だとか、時々ルド○ンがアイテム送ってくれるとか、キャラとしての性能はフロ○ラが上なのは何となくわかるのですよ。
でも、やっぱり自分はビ○ンカだな……と子供ながらに思いました。
まず、子供たちの髪色がなんかコレジャナイ。フロ○ラのような明るい水色を期待していたのですが、実際には濃い青です。主人公が黒髪なので理屈ではわかるのですが、やっぱり最後まで違和感がありました。
そして決定的だったのが、山奥の村で一人で過ごしているビア○カ……。
彼女の姿を見て、めちゃくちゃ罪悪感が生まれてしまったのです。
フロ○ラにはア○ディがいますが、ビア○カには主人公しかいないのです……。
しかもお父さんは病気だし。ツラすぎるよ。彼女が何したっていうの……。
好奇心からの選択の結果は、小学生の私には重すぎました。
という事で、以降はビアンカです。
フロ○ラもキャラとしては好きなのですよ。おしとやかお嬢様だし、格好も可愛いし、何よりとても良い子じゃないですか。彼女が何も言わなかったら、そもそも花嫁選びイベントが発生しないわけだし(腹黒設定はいた○ト版だけだと思いたい……)
しかし嫁という選択肢を考えると「すまぬ……」となってしまうのです。すまぬ……。
父親も弟も私も、かなりやり込んだゲームです。
クリア後の隠しダンジョンとか、後のRPGにも大きな影響を与えたのではないでしょうか。
そしてこれを書いていたら、またやりたくなってきました。困った。




