サラリーマンの宝探し
キングオブク○ゲー。
『たけ○の挑戦状』
ク○ゲー界ではきっと殿堂入りしているであろう怪作、あるいは問題作です。
テレビでおなじみのビ○トたけしが監修というこのゲーム。我が家にやってきたのは従兄弟のお兄ちゃん達に譲ってもらってからなので発売から何年も経過していたのですが、時代が経過しようともゲーム性は変わるわけではなく。やっぱり「何だこれは」となりました。
天才の頭は凡人には理解できへんのや……。
主人公は奥さんに頭の上がらないしがないサラリーマン、という時点で既に一線を隔しておりますが、操作面ですらかなり独特です。
昔のファミコンには2コンにマイクが付いていたのですが、そのマイクを使って「もしもし」と人に話しかけ、情報を集めるのです。ちなみに新ファミコンとか互換機にマイクはないので、話しかけることはできません。代わりに話しかける操作もあったみたいですが、説明書がなかったので不明です。
言葉を認識しているわけではないので、マイクに息をふーっと吹きかけるだけでも大丈夫なんですけどね。テレビに向かって声を出すのが恥ずかしかったので、いつも息だけでやっておりました。
この『ゲームのキャラに向かって話しかける』という発想は、当時凄く斬新だったのではないでしょうか。後に『シー○ン』というキモ魚さんとコミュニケーションを取るゲームが出てきますが、それよりずっと前のファミコン時代ですからね。やはりそこは天才の発想だと思います。
スタート画面にはスタートとコンテニューがあります。コンテニューはあれです。パスワードを入力して続きから遊ぶ方式です。
この「こんてにゅうや」さん内、主人公をウロウロと動かすことができます。そして親父を殴ることができてしまうのです。が、この親父が超っょぃ。一発で主人公がやられ、葬式の祭壇が映ってゲームオーバーになってしまいます。
コンティニュー画面で死亡しちゃうゲームなんて、きっとこれ以外ないですよ……。
気を取り直してスタートです。
何か会社の社長室にいました。
『ぼーなすくれ』とか『きゅうかをくれ』とか『ゆうきゅう』とか『じひょう』とか、小学生の頭では「?」な質問が並んでいます。
とりあえず容易に理解できる『しゃちょうをなぐる』一択でした(退職金がもらえなくなるから真似しちゃダメだぞ!)
社長を殴ると、いかにもカタギではない方達が登場します。逆らってはダメな人がいるという事を学んだ小学生。
前述の通り説明書がなかったので、実は人と話せることがわかっていませんでした。
道でピョンピョンジャンプする人々や(なぜ皆跳ねるのか)ヤ○ザを片っ端からボコるだけのゲームと化しておりました。ちなみに警察官にもなぜか攻撃されちゃうので殴り返しておりました。で、人を殴って獲得したお金でパチンコです。なかなかに酷い。
このやりたい放題できちゃう仕様。今の時代だと全年齢では無理ですな(バーチャルコンソールではCERO:B(12才以上対象)扱いです)
昔は色々とゆるゆるだったんですね。
お酒を飲みすぎると家で目覚めます。昭和臭漂う木造の家には奥さんと子供らしき人がいます。無駄にぴょんぴょんジャンプしてます。とりあえず鬱陶しいのでボコります(……)
でも奥さんも強いのです。奥さんというより肝っ玉母ちゃんな雰囲気です。箒持ってるし。
説明書はなかったけれど、攻略本はありました。ビー○たけしの実写が表紙です。めっちゃ若い。
攻略本を見て初めて、人に話しかけられる事を知った私達。でも、進めていこうという気にはなれませんでした。攻略本を読んで「あ、これは無理……」と悟ったからです。
やった事がある方は感付いているかもしれません。
……そう、宝の地図です。
この宝の地図、解読するために日光に1時間当てなければならない、と攻略本に書いてあったわけです。
日光に、1時間。
つまり、地図を出した状態で1時間放置しないとダメなのです(水につけて叫ぶと5分で良いと知ったのは、ネットをやり始めてからの話……)
これが私らには難易度が高すぎました。子供にとって1時間は長すぎたのです。
文字通り放置しとけばいいじゃん、と思いでしょうが、それは我が家では無理な話だったのです。
ファミコン本体が割と繊細なので、誤って本体を揺らしちゃう→画面が停止→泣く泣く電源を切る……なんてことが頻繁に起こっていました。1時間も放置したら、絶対に自分らの遊ぶ振動で画面が停止するに決まっています。
ちなみにお母さんが掃除機でファミコンの線をビンってやっちゃって子供が「あー!」となる事案が、日本全国で多発していたはずです。知らないけれど。
まぁ最大の理由は母親ですけどね。使ってないテレビはすぐに消す! 電気代もったいない! と言われることが明白だったので。
そんなわけで攻略本を読んだ後も、バーに入ってお酒を飲んだり、色んな人を殴ったり、カラオケで歌ったり、色んな人を殴ったりすることに終始していたわけです。
攻略本を見ても、話の筋が理解できなかったというのもあります。辞表を提出するとか、離婚届けを出すとか、鼻垂れ子供には意味がわからんかったのですよ……。
やたらとヤ○ザが出てきたり、暴力的だったり、今思えば北○武がこれまでに製作してきた映画を彷彿とさせます。街の看板とか張り紙も、いちいちた○し節が効いていて面白いので、そういう面で楽しめるゲームだと思います。
ただ、音楽。あの洗脳されてしまいまそうな高音の音楽だけは、どうも苦手です……。




