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レトロゲームと、私  作者: 福山陽士
FC編
19/60

敵がフルーツになるシューティング

 画面がチラチラ眩しい。



『EX○D EXES(エグ○ド エグゼス)』



 昆虫みたいな敵を倒していくシューティングゲームです。

 

 敵がたくさん登場すると、めっちゃ画面がチラチラします。かなり目に悪い感じ。

 説明書には「敵がフラッシュ攻撃をしてくるぞ!」と書かれておりましたが、今考えたら処理が追いついてないのを「敵の技」という仕様にしていたようにしか思えません……。

(ドラ○エでパーティーが横一列になった時に町の人も並ぶと、キャラが点滅する感じ)


 2人で同時にプレイができるので、当然のように弟と一緒にプレイしておりました。

 このゲーム、2機のどちらかが生きていれば無限にコンティニューが可能でした。

 そんなわけで、私達は思ったのです。


「エンディングを見てみたい」と。


 このゲームの仕様を利用して2人で協力していけば、間違いなく可能であると確信しました。

 でも、お爺ちゃんの家に滞在できる時間は限られています。そんなわけで、借りて家でやることにしました。


 我が家にファミコン本体がやって来て間もない頃でした。

 作戦決行は日曜日。事前に母親に「今日は全クリするから!」と宣言して、時間もたっぷり確保。父親は仕事なので「変わって」と言われる心配もなし。

 お昼ご飯を食べてすぐに電源ONです。確か、12時15分前後に開始しました。


 2人協力プレイのおかげで、順調に進んで行きます。

 途中トイレに行きたくなってどちらかが離席する時は、かなりドキドキしました。タイミング悪くどちらもやられてしまったら、そこでおしまいです。コントローラーのボタンを足の指で押して(良い子は真似したらダメだよ)少しでも生き残る確率を上げていました。


 さて、私らは何故か「100面まで行ったらクリアだ」と思っていました。まったく根拠はなかったんですけど、そうだと確信すらしていました。

 15時の時点で、50面手前。まだまだ道のりは長いと思いながらも、どちらもやめる気はさらさらありません。


 全てはエンディングを見るために。


 3種類しかないBGMに頭がやられそうになりつつも、それでも耐えてプレイし続けます。

 ちなみにボス戦のBGM→ボスを倒す→通常のBGMの切り替えがスムーズでなく、かなり心が不安になる不協和音になります。

 子供ながら「この音はないだろう……」と思いました。思っただけで口には出しませんでしたが、きっと弟も同じことを考えていたはず。


 晩ご飯の時間になりました。

 交替で食事をすませます。もちろん超ダッシュです。この時、90面手前までやってきていました。


 そして、ついにその瞬間は訪れます。


 100面です。


 5面ごとに現れるボスと同じBGMで、今までと大して変わらないボスでしたが、こいつを倒したらエンディングになるはず、とコントローラーを握る手に力がこもります。


 そして、ボスを倒しました。

 ついに待ちわびた瞬間が訪れました。


 ……訪れる筈だったのですが。


 不協和音と共に現れる新たなステージ。

 飛び交う敵。スクロールし続ける画面。


 私らは目を疑いました。

 いやいや、もうちょっとだけあるんだよきっと、とすぐに気を取り直して進めますが、110面くらいまで進んだところでさすがに思いました。


「これ、ループしてね?」


 見たことのあるボスが2回続けて出てきたのです。どう見ても最初の方のボス。

 ここでやっと、ある仮説にたどり着きます。


 このゲーム、エンディングがない、と。


 よくよく考えると、7時間半プレイし続けてもエンディングに辿りつけないなんて、おかしいです。でもこれまでの苦労が水の泡になるようで、認めたくはありませんでした。

 認めたくはなかったけど、見たことのあるボスが周回していることを告げています。

 失意のまま、私達は風呂に入るため、電源を切りました。

 風呂では、やけにテンションが低かったです。

 いや、もしかしたら200面まであるのかも……という考えも過ぎりますが、さすがに子供が12時間以上ぶっ続けでやらないとクリアできない鬼畜なゲームがあるとは思いたくありません。


 これ以降、このゲームをやることはありませんでしたが、あの単純なBGMは今でも私の頭の中で再生されます。

 ついでに「7時間半……」と呟きたくもなりますが。

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