敵がフルーツになるシューティング
画面がチラチラ眩しい。
『EX○D EXES(エグ○ド エグゼス)』
昆虫みたいな敵を倒していくシューティングゲームです。
敵がたくさん登場すると、めっちゃ画面がチラチラします。かなり目に悪い感じ。
説明書には「敵がフラッシュ攻撃をしてくるぞ!」と書かれておりましたが、今考えたら処理が追いついてないのを「敵の技」という仕様にしていたようにしか思えません……。
(ドラ○エでパーティーが横一列になった時に町の人も並ぶと、キャラが点滅する感じ)
2人で同時にプレイができるので、当然のように弟と一緒にプレイしておりました。
このゲーム、2機のどちらかが生きていれば無限にコンティニューが可能でした。
そんなわけで、私達は思ったのです。
「エンディングを見てみたい」と。
このゲームの仕様を利用して2人で協力していけば、間違いなく可能であると確信しました。
でも、お爺ちゃんの家に滞在できる時間は限られています。そんなわけで、借りて家でやることにしました。
我が家にファミコン本体がやって来て間もない頃でした。
作戦決行は日曜日。事前に母親に「今日は全クリするから!」と宣言して、時間もたっぷり確保。父親は仕事なので「変わって」と言われる心配もなし。
お昼ご飯を食べてすぐに電源ONです。確か、12時15分前後に開始しました。
2人協力プレイのおかげで、順調に進んで行きます。
途中トイレに行きたくなってどちらかが離席する時は、かなりドキドキしました。タイミング悪くどちらもやられてしまったら、そこでおしまいです。コントローラーのボタンを足の指で押して(良い子は真似したらダメだよ)少しでも生き残る確率を上げていました。
さて、私らは何故か「100面まで行ったらクリアだ」と思っていました。まったく根拠はなかったんですけど、そうだと確信すらしていました。
15時の時点で、50面手前。まだまだ道のりは長いと思いながらも、どちらもやめる気はさらさらありません。
全てはエンディングを見るために。
3種類しかないBGMに頭がやられそうになりつつも、それでも耐えてプレイし続けます。
ちなみにボス戦のBGM→ボスを倒す→通常のBGMの切り替えがスムーズでなく、かなり心が不安になる不協和音になります。
子供ながら「この音はないだろう……」と思いました。思っただけで口には出しませんでしたが、きっと弟も同じことを考えていたはず。
晩ご飯の時間になりました。
交替で食事をすませます。もちろん超ダッシュです。この時、90面手前までやってきていました。
そして、ついにその瞬間は訪れます。
100面です。
5面ごとに現れるボスと同じBGMで、今までと大して変わらないボスでしたが、こいつを倒したらエンディングになるはず、とコントローラーを握る手に力がこもります。
そして、ボスを倒しました。
ついに待ちわびた瞬間が訪れました。
……訪れる筈だったのですが。
不協和音と共に現れる新たなステージ。
飛び交う敵。スクロールし続ける画面。
私らは目を疑いました。
いやいや、もうちょっとだけあるんだよきっと、とすぐに気を取り直して進めますが、110面くらいまで進んだところでさすがに思いました。
「これ、ループしてね?」
見たことのあるボスが2回続けて出てきたのです。どう見ても最初の方のボス。
ここでやっと、ある仮説にたどり着きます。
このゲーム、エンディングがない、と。
よくよく考えると、7時間半プレイし続けてもエンディングに辿りつけないなんて、おかしいです。でもこれまでの苦労が水の泡になるようで、認めたくはありませんでした。
認めたくはなかったけど、見たことのあるボスが周回していることを告げています。
失意のまま、私達は風呂に入るため、電源を切りました。
風呂では、やけにテンションが低かったです。
いや、もしかしたら200面まであるのかも……という考えも過ぎりますが、さすがに子供が12時間以上ぶっ続けでやらないとクリアできない鬼畜なゲームがあるとは思いたくありません。
これ以降、このゲームをやることはありませんでしたが、あの単純なBGMは今でも私の頭の中で再生されます。
ついでに「7時間半……」と呟きたくもなりますが。