第007話 クリスタルと女医
■クリスタニア大陸 クリスタニア 冒険者ギルド アルフォード・ウィンザー
冒険者ギルドの受付嬢に、クリスタルの状況を確認したいと話したところ、冒険者ギルドにある検査室に案内された。そこに居たのは白衣をきた女性であった。
「どのような御用で…」
『インテリジェンスカードを見ると、休んでもMPが回復しないのです。クリスタルの状況を確認したいと説明をした。』
「そうですか…たしかにクリスタルの調子が悪いようね…検査しましょう。」
『分かりました』
「それでは、ベットの上に仰向けになって下さい。」
そういって、白衣をきた女性はカウンターを装着した…
『ちょっと待って下さい。それは能力を計るものですよね…』
「そうね…クリスタルの魔力量も確認できるの…そこからある程度は状態を把握できるから…」
『能力値も出るのでは…』
「ああ…それを心配しているのね。これは能力値の測定機能がないタイプのカウンターなの…インスペクションカウンターと言って、検査するためだけの物よ…戦闘で使用するのはバトルカウンターと言って、戦いに特化したものなの…要は相手の状況を検査しているのよ…」
『そのバトルカウンターというのは、敵の動きを予測すると書いてありましたよ。』
「ある程度の予測はしてくれると思うけど…多分だけど、筋肉の動きて予測していると思うけど正確ではないわ…経験を積んだ冒険者は、経験則と見た目からその魔物の状況を確認するの…バトルカウンターは、補助的な役割しかしないのよ…」
『そうですか…いろいろ調べているので助かります。そうすると戦闘能力を把握する事くらいしか役に立たないのでしょうか?』
「それも過信できるものではないわね。」
『そうなんですか?』
「戦闘能力には基本的な数値があるのはステータスを見れば解るでしょう。」
『はい。』
「戦闘状況によって技を使うでしょう。その技には個々の戦闘力があるのよ…常に全力で戦う訳ではないのよ。躱されて良い技、つまり、牽制に使う技を全力を出す必要がないでしょう。それと闘気というものがあって、それを使える人は基本能力値を解放する事が出来るのよ…そうすれば、短期決戦では基本能力値の何倍もの力を発揮できるし、魔人・人は基本能力値を抑える事が出来る人もいて、バトルカウンターでは測れないタイプもいるのよ…だから機械に頼る事がないように経験と実績を積むの…努力に勝るもの無しといったところね。魔物には知能が備わっているものが少ないから能力の把握は可能なものが多いわね。」
『能力値を抑えたりするタイプや解放するタイプもいるのか…』
僕の特殊能力にも闘気解放というのがあった…つまり、僕は闘気を操れるという事になるのか…そう思うと白衣を着た女性が話しかけてきた。
「今の話は上級の冒険者にしか当てはまらないから気にしなくても大丈夫よ。これから努力すればある程度になるけど、今の話はCクラスの冒険者以上の話、ここまでこれる冒険者はなかなかいないのよ…全体の1割以下ね…Cクラスで敬意をもって接してくれるし、Bクラスになれば国賓級の扱いになるの…」
『そうですか…』
国賓級の待遇で迎えられる冒険者か…僕はどこかの国に使えていたのか。それとも単なる冒険者だったのか…
「あなた、若いわね…いろんな事に興味があるようだけど…上を見てはいけないわ。現実を受け止めて、地道に行くべきよ…何歳なの…」
『15歳です。』
「15歳…学生さん」
『今は学生ではありません。』
「学生ではないの…冒険者というのは基本的にどこかの学園とか学校に入るものだけど…」
『インテリジェンスカードには学歴なしと書いてあったので…出ていないと思います。』
「へんな物言いね。」
『すいません。記憶がないのです。9日前にこの近くの森で発見されて…今は教会でお世話になっています。それ以前の事が分からなくて…』
「そうなの…クリスタルの状況が分かったわ…これはひどいわね…」
白衣の女性は驚いている。
「あなた、もしかしたら上級の冒険者なの…」
『どうして、そう思うのです…』
「このクリスタル…砕けているの…私もこんな状況は初めて見るけど、多分、これはクリスタルファングを使った結果…砕けたんだと思う。それと才能も豊かなようね…クリスタルの色が深い青なのよ…かなり濃いわね…黒の手前くらいだわ…」
『そうですか…』
昨日、あの本を見たときに、それとなくクリスタルに異常があると思った。そして、B+ランクという事実を合わせると、僕は超越者と呼ばれる冒険者で、クリスタルファングというクリスタルから武器を創造して、敵と戦った。そういう事か…そうすると僕に仲間がいる事が確定する。なぜなら、クリスタルファングが砕けると意識がない状況になるからだ…意識の無い状況では生き延びる術がない。生きているという事は、僕に仲間がいるとしか考えられないからだ。僕は仲間に助けられた…そうだとすると、その仲間はどうしているのか…同じような境遇なのか…それともやられてしまったのか…そう思うと憂鬱になった。
「興味が尽きないわね!その若さで上級冒険者か…名乗るのが遅れたわね。私は冒険者ギルドとクリスタニア学園で冒険者専門で見ている医師のグレース・リングバルトといいます。よろしくね。」
『僕は、アルフォード・ウィンザーです。こちらこそよろしくお願いします。聞いてもよろしいですか?』
「なに…」
『クリスタルが砕けた状況でも問題ないのですか?』
「ああ…大事な事を言わなかったわね。結果を言えば問題無いわ。自然に治癒するのを待つしかないわね。この状況だと半年位かな…」
『そうですか、他に直す方法は無いのでしょうか』
「敵を倒すことね…倒すと希望石といのが出るから、それをクリスタルで取り込めば強化されるからそうする方法もあるわ。」
『そうですか…敵と戦うのですか…』
「不安…」
『はい。クリスタルが砕けた状況でも魔法は使えるのでしょうか?』
「MPがあれば魔法は使えるわ…でもMPが0になるような使用は控えた方が良いと思うわよ…」
『分かりました。それと…』
「なに?」
『クリスタルは、体の外に出して見る事は無いのでしょうか?』
「殆どないわね!体の外に出す事は詠唱で可能だけど…体の外に出すと消耗するのよ。クリスタルファングと同じようにね。だからここぞという時にしか出さないのよ…」
『この事は秘密にしてほしいのです。お願いします。』
「どうして…」
『僕は、記憶がありません。記憶が戻れば元の生活が送れると思うけど…今は行き場がなくて…学園の理事長さんが学生にならないかと誘われているのです。出来れば、学園の中では普通の生活を送りたいので…そういう訳なので、僕が上級冒険者だとは秘密でお願いします。』
「分かったわ!ただし、条件がある。私は医師であると同時に研究者という一面があるの、あなたの強さに興味があるわ。あなたにとっても、元の力を取り戻すアドバイスが出来ると思うの…どう?」
『生活で拘束される事があるのですか…』
「そうね…月に1日くらいは検査させてほしいわね…」
『分かりました。条件は飲みます。』
「そう。分かったわ…」
『それでは失礼します。』
僕は、そのままギルドを出て、クリスタニア学園への足を向けた…入学する手続きをするために…