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クリスタルの記憶  作者: 遊人
第1章 始まり
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第001話 記憶の無い冒険者(修正)

 ■クリスタニア大陸 クリスタニア 教会 アルフォード・ウィンザー


 僕は、クリスタニアという町の教会に居る。なぜ、ここに居るのか。それは、僕自身も分からない。


 分かることと言えば、僕が多分冒険者であるという事くらいだ。そして、傷ついた状態で、この町の近くにある森で発見され救助されたということだけ。


 教会に運ばれた部屋の隅には僕の荷物が置かれている。その荷物には冒険者としての装備や必需品が一式揃っていた。その中に、恐らく僕が書いたであろう日記もあった。


 その日記には名前が書いてあった”アルフォード・ウィンザー”と…。これが僕の名前らしい。


 過去の事を考えても何も思い出せない。そうこうしていると扉を”トントン”とノックする音が聞こえた。そして”入って良いかな”と問われる。僕はそれに”どうぞ”と返した。そうすると神父さんが心配した面持ちで中に入ってきた。


「目が覚めたようだね。」


『はい。』


 昨日、僕は一時的に目覚めたようだ。ほんの数分だけ意識があるように感じるが、覚えていない。神父さんの話だと此処に運び込まれてから5日程意識が無かったようだ。


 運びこまれてから治療魔法を受けた様で、すっかり傷は癒えているようだ。それにしても体に痛がまるで無い。本当に怪我をしたのだろうかと思う。だけど、肝心な記憶が無い事を知った。


「記憶はどうかね。目覚めたばかりだったから昨日は詮索しなかったが…」


 神父が心配した様子でこちらを窺っている。僕の素性が分からない為だろう。


 善人なら問題ないけど、悪人の可能性も否定できない。

 

 なぜ、傷ついていたのだろうか。何者かに襲われた。それとも襲って反撃を喰らった可能性もあるな。


 それは人なのか。それとも魔物や獣の類いなのか。思い出そうとしても分からなかった。これ以上、考えてもしょうが無いと思った。


『有りません。』


「そうか。」


 神父は少し考えてから話だした。


「医者の話だと何と戦えばこのようなタメージを受けるのかと心配していたよ。この辺にそんな魔物がいれば大騒ぎになると言っていたよ。」


『そうですか。』


「冒険者ギルドに、この事は報告させて貰ったよ。後でギルドの調査員から取り調べが有ると思うから協力してほしい。」


 取調べか。だけど、肝心な記憶が無いんだ。僕から何を聞こうとしているのだろう。とても、答えられるとは思えないけど…


『分かりました。あの…』


「何か他に用事があるかね。」


『私を助けてくれた人を教えて貰えませんか?』


「ああ。その事か。助けてくれたのは、ここの町にあるクリスタニア学園の生徒だ。たしか、ナディアと言っていたな。」


『学園の生徒ですか。』


 学園とは何をする所なのだろう。


『学園?』


「学園というのは国と冒険者ギルドが共同で設立している戦闘知識を教えるところだ。各大陸にも同じようなものがある。いきなり実践だと苦労するからね。色々と教えるんじゃ。」


 なる程、いきなり実践じゃ僕みたいな目に合う可能性が高い。命を守るすべを教える処が必要という事か。


『その学園というのは、この町の何処に在るのですか?』


「この町の北側に行けば在るよ。大きい建物だから直に分かるはずだ。一度、その生徒を訪ねに行ってみると良い。命の恩人だからね。」   


 命の恩人か。それはそうだろうな。お礼を言うべきだろう。


『そうですね。分かりました。それから…』


「何か心配事かな。」

 

 心配か。それは全ての事が心配だけど…。とりあえず、何時までここに居て良いか確認した方が良いだろう。


『あの…言いにくいのですが、何時までここに居て良いのでしょうか。』


「その心配か。それは心配しないで良いよ。ここは教会だからね。君が望めば保護しよう。だが、お前さんの素性が分からない。一度、冒険者ギルドがお主の事を調べる。そこで問題が無ければ、ここに居ると良い。それ以降はお前さん次第だ。ここには生活が安定するまでは居ても良いよ。ただし、生活する以上、教会の仕事はして貰う。何、心配には及ばんよ。難しい事はさせないからの…。」


『ありがとうございます。』


 難しく考えても仕方がない。生活に必要な記憶以外は無いのだから、現状でやれる事をこなしていくしかない。


 今日はもう寝よう……

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