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タイムファクトリー・アーム04

「すんげえなあ」


同僚がどこかの位相空間の新聞を片手に言っていた。どこの位相空間なのかわからないのに政治の話なんか見てどうするのだろうか。ここは時間流の中に浮かぶ町工場なので全くと言っていいほど関係ないはずなのだが。


「逆になるかもしれなかったんだって」


……うそこけ。開票というのは統計で出るから全体の何%か見たらもう変わることはまずないと、こないだまで迷惑をかけていた先方の上役が枕で言っていただろう。こんな極端な結果は歴史上でもないのに逆になんかなるはずない。なのに同僚と来たら、あったかもしれないというのだ。


「こっちに入れてください」という言い分に聞くところがないのは、実は両陣営同じ。どちらも立ち上げからほとんど時間が経っておらず、実績と呼べるものはまったくない。それでも、自然に推移したなら今回の結果に近いものになるだろうが……この状態で、片方にものすごい大チョンボがあったとしたら、どうだろう。実績がないのは全く同じなんだから、一つのスキャンダルが致命傷になって結果が反転する。その大チョンボの出どころが、どこかと聞かれたらわからないが……もしかすると、こないだのあの人も本当にまずい相手には噛みつけなかったのではないか。……逆算的に、それほどまでに危険な相手だった、ということになる。今は観測不能などこかの位相空間で、誰かが言っていた。「前は十年で終わった。今回もそうなんじゃないか?」。これからそうなるかもしれないとは、さすがに思わなかったようだが……。彼らは、時の将軍のことを知っていた。ならば、たどりつくかもしれないと踏んだのではないか?あれが国防だなんて、すげえなあとしか思っていなかったのだが……そう語る同僚に、「どこにした?」と聞いてみた。これに限っては、もう終わったしな。嫌なら言わなくていいけど。そういう風に気を使って聞いたのに、「行ってない」。いっちょ前に警戒して投票していないらしい。未だに刺されるかもしれないと、こっちの位相空間では思っているようだ。


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