1/4
プロローグ
その紫色の塊は、宇宙の闇を漂っていた。
どこから来たのかも、どこへ向かうのかもわからない。
ただ、気が遠くなるほど長い時間、無限の空間の中を流れ続けていた。
「それ」は、たくさんのことを経験した。
無の中で揺蕩うだけではなく、地球という惑星で生を味わったこともあった。
ある時は青い空の下で笑い、ある時は果てのない銀河のどこかで一生を終えた。
幸せも悲しみも、何も感じない静寂すらも、そのすべてを知っていた。
もう、満ち足りているのかもしれない。
そう思った瞬間だった。
静寂の中で、「それ」はふと揺らぎ、音もなく分かれた。
まるで、自らの意思であるかのように。
まるで、決められていた運命であるかのように。
紫の塊は、赤と青のふたつに分かれた。
生まれたばかりの二つの光は、まっさらな心で宇宙に目を開いた。
過去の記憶も、数えきれない旅の記憶も、もう何も持たない。
ただ、おぼろげに感じるものがある。
いつか、どこかで、また巡り逢うのだろう――。
そう確信するように、二つの塊は、静かに宇宙の波に流されていった。




