僕の失敗
僕は、ごく一般的な会社員、36歳。
人からは、慎重な性格だとよく言われる。
……だからこそ、仕事で大きなミスをするなんて、思ってもみなかった。
昨日、重要な書類の提出期限を勘違いしていたことが発覚し、上司に呼び出された。
どう頑張っても、間に合わない。
どれほど悔やんでも、もう手遅れ。
打つ手立てはなく、今さらどうにもならない。
ずいぶん久しぶりに感じた、胸がぎゅっと縮むような…痛み。
帰り道、冬の風がやけに冷たかった。
自分の不注意が情けなくて、駅のホームでしばらく立ち尽くした。
失敗なんて誰にでもあると、頭では分かっている。
けれど…心はなかなか追いつかない。
家に帰っても気持ちは沈んだままだった。
ふと、机の上に置いた「ゆめノート」が目に入った。
子どもの頃の字で書かれた「おとなになっても、わらっていたい」の、文字。
その一行を見た瞬間、肩の力が少しだけ、抜けた。
……失敗した自分を責め続けても、何も変わらない。
むしろ、ここからどう立て直すかが大事なんだと気づいた。
一念発起した僕は、一晩かけて反省文と改善策をまとめた資料を作製し、翌日、上司に提出した。
正直に謝り、何度も頭を下げた。
叱られはしたが、最後に「次に活かせよ」と言われ、胸の奥がじんわりと温かくなった。
失敗は痛い。
でも、それを抱えたままでも…前には進めるんだ。
僕は、少しだけ強くなった気持ちで、仕事に打ち込んだ。




