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僕のクセ
僕には、昔から…癖がある。
考えごとをすると、無意識に…指先で机をとんとんと叩いてしまうのだ。
同僚から「またやってるw」と笑われて、初めて自覚したのは…ずいぶん前の話だ。
癖なんて今さら直す必要はないと思っていたが、最近、気になる事があった。
ある夜、仕事で行き詰まり、机に向かっていたときのことだ。
気づいた時にはもう、指がいつものリズムを刻んでいた。
とん、とん、とん…。
まるで何かを呼び起こすような、何かの…儀式のような。
ふいに…その音に合わせるように、頭の中に昔の記憶が浮かんだ。
子どもの頃、宿題を見てもらっていたとき、同じように机を叩いていた…父の姿。
「焦らなくていいぞ」という父の声がよみがえり、胸の奥がじんわり温かくなった。
……僕の癖は、父の真似だったのかもしれない。
そう思うと、今まで気にしていたことが急に愛おしく感じられた。
翌日、会議中にまた指が動いた。
同僚に笑われても、僕は気にしなかった。
これは僕のリズムであり、僕の歩幅だ。
父から受け継いだ、小さな応援歌みたいなものだと…思えたから。
僕は、今日も…。
机をとんとん叩きながら、少しだけ前向きに…、仕事と向き合うのだった。




