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ダレカ・ダレカ・ダレダレカ  作者: たかさば


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僕の宝物

 36歳の会社員である、僕。


 昼休み、社食で一緒になった同僚が宝物について熱弁をふるっているのを目にした。

 力強いもの言いに、数人の社員が聞き入っている。

 プレゼンの時もそれぐらい熱意を込めればいいのに…そんな事を思いながら、スルーした。


 仕事に追われる日々の中で、自分の持ち物に特別な意味を見いだすことがほとんどなくなっている、僕。

 財布も時計も、ただの道具。

 使えなくなれば捨てて、不要になれば処分する、ただ…それだけだ。


 そんなある日、僕は押し入れの片隅で古い箱を見つけた。

 引っ越しの時に放り込んだまま…忘れていたものらしい。


 開けてみると、中には小さなノートが入っていた。

 A7サイズのそれは端が少し黄ばんでいて、子どもの字で「ゆめノート」と書かれている。

 思わず、笑ってしまった。

 こんなもの…、まだ持っていたなんて。


 ページをめくると、宇宙に行きたいとか、ロボットを作りたいとか、無邪気な夢が並んでいる。

 その中にひとつだけ、今の僕の胸に刺さる言葉があった。


「おとなになっても、わらっていたい」


 その一行を見た瞬間、胸の奥が…ツンとした。


 僕はノートをそっと閉じ、机の上に置いた。

 宝物なんて大げさだと思っていたけれど、これは確かに…僕の宝物だ。

 忘れていた気持ちを、もう一度思い出させてくれたから。


 翌朝、僕は少しだけ早く家を出た。


 足取りは、昨日よりも…軽い。


 胸ポケットには、あの小さなノートを忍ばせてある。


 ―――大人になった今でも、笑っていたい。


 願いを、もう一度胸に抱きながら…前に、進んだ。


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