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ダレカ・ダレカ・ダレダレカ  作者: たかさば


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3/20

わたしと歌

 22歳の大学生であるわたし。

 最近は、お弁当作りと猫との挨拶が日課になっている。


 そんな穏やかな日常を過ごしていた、とある日の、午後。

 ふと耳に入ってきたのは…、隣の部屋から漏れる歌声だった。


 澄んでいて、どこか切ない。

 思わず足を止めて聞き入ってしまった。


 翌日も、その次の日も…、同じ時間に歌声が聞こえた。

 歌詞は聞き取れないのに、胸の奥がじんわり温かくなる。

 心が自然と求めてしまうような、魅力のある歌声……。


 気づけば、歌が始まる頃を狙って帰宅するようになっていた。

 歌が聞こえる場所を探して…ベランダの前が一番よく聞こえることを発見し、常駐しているミニテーブルとクッションの位置を変えた。


 わたしに不思議な習慣がまたひとつ増えたと、一人微笑んでいたある日。

 歌が…突然、止んだ。


 落ち着かない気持ちのまま、定位置に腰を下ろして…ノートパソコンを開く。

 あたりには静けさが広がっており、どこか無機質で…味気なく、温度も少し下がったように感じた。


 知らない誰かの歌なのに、聞けないだけでこんなにも寂しいなんて、自分でも驚いた。


 翌日、廊下で買い物袋を抱えた女性を見かけた。

 …お隣さんだった。


 わたしが挨拶をすると、彼女は少し照れたように笑い、「いつも聞こえてましたよね、歌」と言った。


 思わず、大げさに頷き、「好きでした、すごくファンだったのに…また聞きたいです!!」と伝えた。


「苦情が出てしまったので…ここではもう歌えないけれど」と言って、お隣さんはCDをくれた。

 LIVEやイベントの情報をもらい、生歌を聞くために出かけるようになった。


 歌声が、また日常に戻ってきた。


 お弁当、猫、そして歌。

 どれも小さな出来事だけれど、わたしの世界をそっと広げてくれる。


 このままもっと、もっと…自分の世界が広がっていくといいな。


 わたしは自然に、微笑んでしまうのだった。


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