わたしと猫
22歳の大学生であるわたし。
一人暮らしを始めて四年目。
最近、ようやく…早起きの習慣が身についてきた。
毎朝のお弁当作りのおかげだ。
ある朝、いつものようにランチバッグを片手にアパートエントランスを抜けると、花壇の端っこに一匹の猫が座り込んでいることに気が付いた。
白い毛に、しっぽだけが黒い。
目が合ったので、「おはよう」と声をかけた。
翌日も、その次の日も、猫は同じ場所にいた。
しかも、わたしが通りかかると、のんびり立ち上がって…自販機のある曲がり角までついてくる。
まるで「今日もちゃんと行くの?」と確認しているみたいで、胸の奥が少しあたたかくなった。
ある雨の朝。
いつもと同じ時間にエントランスを抜けると、猫の姿がなかった。
たった数日会っただけなのに、ぽっかり穴が空いたようで、わたしは傘を握りしめたまましばらく立ち尽くしてしまった。
自分でも驚くほど、その不在が…寂しかった。
テンションが上がらないまま授業を受け、何となく重い足取りでアパートに向かうと。
エントランスで…、猫が、待っている。
濡れた毛をブルリと震わせて、にゃあと小さく鳴いた。
わたしは思わず駆け寄って、しゃがみ込み、「おかえり!」と言いながらハンドタオルで雫を拭ってあげた。
それ以来、猫との挨拶はわたしの日課の一部になった。
お弁当と同じように、ささやかだけれど…確かな変化。
見守られている気がして、元気が湧いてくる。
だから、今日もわたしは…、前を向いて、頑張れるんだ。




