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ダレカ・ダレカ・ダレダレカ  作者: たかさば


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17/20

誰かの歌

 ぼくは、姿のない“何か”だ。


 風の隙間に溶け、街のざわめきに紛れながら、今日も人々の暮らしを遠くから眺める。

 声を持たないぼくにとって、この世界はいつも誰かの音で満ちていて…とても魅力的だ。


 ある夜、アパートの窓から、美しい歌が流れてきた。

 若い女性がひとり、静かに口ずさんでいる。


 澄んだ声は、ぼくの中に深く染み込み、胸の奥に小さな灯りをともした。

 気づけば、ぼくは、その歌に…願っていた。


「あの声に、もう少しだけ…近づきたい」と。


 翌朝。

 ぼくは初めて“重さ”を感じた。


 手があり、足があり、人の形をしていた。

 鏡に映る…見知らぬ青年の姿。


 ……ぼくは、人の姿を得たのだ。


 驚きよりも、感動があった。

 歌がくれた温もりがまだ胸に残っていることに、心から感謝した。


 街を歩きながら、ぼくは…量販店を目指した。


 かつて風のように漂いながら眺めていた、人が集まる魔所。

 そこには笑い声も、ため息も、ささやきも、溢れていた。


 ぼくの好きな“誰かの音”。

 人の姿になれたのだから…、その中に混ざることができるはず。


 ……今日も店内には、誰かの歌が小さく流れている。


 ぼくはその音に耳を澄ませながら、そっと微笑んだ。


 願えば、世界は少しだけ…形を変える。

 そんな気がしていた。


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