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ダレカ・ダレカ・ダレダレカ  作者: たかさば


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15/20

あの人の正体

 ……かつて、学生だった頃。

 俺は、人気の量販店でアルバイトをしていた。


 今は建設会社に就職し、現場監督として働いている。


 ある冬の日。

 担当することになった現場の資料を見た俺は、思わず息をのんだ。

 そこには、あの量販店の名前があったのだ。


 老朽化のため解体工事が始まるという店を、久しぶりに訪れた。

 もうずいぶん前に営業をやめたという量販店は、あらゆるシャッターが閉まり、看板も色あせ…とても同じ店だとは思えなかった。


 だがしかし…それでも、俺の胸には、あの頃の喧騒や、従業員たちの声がよみがえった。

 ……棚の影にいつも立っていた“あの人”の後ろ姿も。


 工事初日の朝。

 俺は現場を見回っていた。


 薄暗い店内の奥、まだ什器が残るフロアの中央。

 視線の先に…、見覚えのある背中を見つけた。


 ……あの人が、静かに立っている。


 思わず駆け寄ろうとした、その瞬間。


「そろそろ始めていいっすかねー?」


 作業員の声が、響いた。


 返事をし、指示を出した後振り返ると…その姿は消えていた。


 解体が進む中、俺は何度も同じ場所を見に行った。

 だが、あの人の姿を見ることは、二度と…なかった。


 やがて店は骨組みだけになり、最後に更地になった。


 工事の最終日。

 俺は更地の中央に立ち、静かな風の音を聞いた。


 ……あの人は、まだここにいるのだろうか。


 それとも…、どこか人の集まる店舗を探しに、出てしまったのだろうか。

 もしかして…、ここに新しい店が建つ日まで、静かに待っているのだろうか。


 答えは分からない。


 ただ、あの後ろ姿だけは、今も胸の奥に残っている。


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