僕の長期休暇
ごく普通の、36歳の会社員だった僕は、ある日突然…会社を辞めることになった。
理由はいくつかあったけれど、一番大きかったのは…自分の気持ちがもう追いつかなくなっていたことだ。辞表を提出した帰り道、冬の空はやけに広く見えた。
翌朝自然に目を覚ました僕は、目覚まし時計が鳴らない静けさに驚いた。
布団の中で…しばらく天井を見つめる。
……今日からしばらく、僕は自由だ。
そう思うと、胸の奥がふわりと軽くなったような、逆にどこか不安なような、不思議な感覚が入り混じった。
午前中、散歩に出てみた。
平日の街はゆっくり流れていて、働いていた頃には気づかなかった景色がたくさんあった。
公園のベンチに座り、缶コーヒーを飲みながら、僕は「これからどうしよう」とつぶやいた。
焦る必要はないと…分かっている。
しかし、未来の形が見えないのは…やっぱり、少し、怖い。
とぼとぼと歩いて家に戻ると、机の上の「ゆめノート」が目に入った。
子どもの頃の字で書かれた「おとなになっても、わらっていたい」の文字。
その一行を見て、僕は小さく息を吐いた。
そうだ、今はまず…、笑おう。
立ち止まったって、いいじゃないか。
長い休暇を手に入れたのだから…、ゆっくり、考えよう。
これから何をしようかと、静かに思いを…巡らせる。
急がなくていい。
少しずつ、自分の歩幅で決めていけばいい。
そうだ、まずは…気負わずに働ける場所でも、探してみようかな?
近場で、すぐにでも働けそうなところは……。




