三話
三回目です。キャラが揃ってきましたね。
パーティーが終わった翌日
結局あの後会場に戻るも、特に誰かに話しかけることができる訳でもなく、綺麗なご子息たちのダンスを眺めて寮の自室へと帰った。
友人作りの第一歩としては大滑りかもしれないが、それでも落ち込み切っていないのには理由がある。
なんせあの五大貴族のリシュア様とカイル様とお話しできたなんて言うとびきり特別な体験ができたからだ!!!!
寮住まいになるため両親には心配をかけないよう定期的に手紙を送ろうと思っていたが、その一通目があえなく無残な内容になるところだった。
だが、五大貴族の方とお話しする機会があったと聞けば両親も一先ず私の学園生活で不安になることはなく、むしろ順風満帆だと喜んでくれるに違いない。
それに今日はクラス分けの発表される日だ。
新しいクラスで地方令嬢の友人を見つけるぞ~!!
*
*
*
「え」
プライムクラス[A1]
ー…
ー…
ミレイユ・サンベルジュ
…これは見間違いだろうか。いや、同姓同名の誰かがいらっしゃる?
み・れ・い・ゆ・さ・ん・べ・る・じゅ
他のどのクラスを探しても私の名はない。
ちょっと待って…
まさか私がプライムクラスでも特に優秀な[A1]クラスに!?
嘘…!?
実際に見ると嬉しさよりも衝撃と恐怖が勝っているわ~~~!!
「邪魔。どいて」
「あっ、ごめんなさい。」
「ずっと[A1]クラスの掲示表の前陣取るのやめてくれないかな
他の人も迷惑してると思うよ」
えっ!?私そんなにずっと表の前にいた!?他にも誰かにご迷惑を!?
…辺りに待っていそうな人は他に見つからないけど……。
「君どこのクラス?」
「あ…えっと……」
よく見たらこの人、すごくかっこいい…
天使の羽のような柔らかな銀髪は肩まで伸びており、すごく綺麗に手入れされている。
長い前髪でお顔がよく見えないけど、目は氷のように透き通っていてやんごとなき雰囲気が隠しきれていない。
きっと名貴族のすごいご子息だ…その方を相手にこんな地方出身の小娘が[A1]クラスですなんて自己紹介恥ずかしすぎる…!!
「早く。待つの嫌いなんだ。確認まだなら見てきて。」
だめだ、もう不機嫌になってる!
…っ、
どうにでもなれ~~~~~…!!
「えっ、…[A1]クラスです!プライムクラスの…!」
「あっそ。僕と同じ教室。案内して。」
「へ、へぇっ!?」
こんなに当たり前に流されるものなの!?プライムクラスの[A1]って!
「って、ぇ!?同じ[A1]クラスなんですか…?」
「僕、待つの"嫌・い"なんだよね」
て、天使のようなお顔に、凶悪な雲がさしている…!!
「はぃっ!すぐご案内します!」
ひぇ~~~~!!せっかくお知り合いになれると思ったのに、怖いよぉ~~っ!
*
*
*
「えぇ~っと、魔法のお勉強は、お得意なんですか?」
「僕から聞くまで話しかけなくていいよ。」
「はぃ……」
気まずいと思って話しかけても返事はしてくれるのに応えてくれないなんて…~~!
……きっと、私と仲良くする価値なんてないって思っていらっしゃるんだろうな…
どこからどう見ても地方出身の田舎娘。
対して360度どこから見ても美しい、貴族の中の貴族といった青年。
私のこと召使いかなにかだと思っていらっしゃるのね…
…このままクラスに入ってもみんなこんな感じで、誰も相手にしてくれなかったらどうしよう。
地方貴族の田舎者がはしゃいで一人で浮かれて、馬鹿にされて…
この先六年間も一人ぼっちで生きていくなんて……
あ、泣きそう……
「ねぇ、この道どっ、ち!?」
「あっ……」
見、見られた…!
「…、……。」
「あぁ、あの、忘れてください…。」
なんて惨めなんだ。
初対面の男性にまだ分からない未来を想像して泣いているところを見られるなんて
「えっ……と。僕に、責任あるやつ?それ」
「いえ…!全く…!」
…彼の態度のせいで不安になったわけだから、全くというわけでもないんだけど。
ちゃんと弁明しなければ、彼に不名誉を与えてしまう。
「お、お友達がまだ一人も出来ていなくて…っこのまま六年間一人なんじゃないかって…っふあ、不安が…っ」
「…なにそれ」
「な、なにってっし、しんけんに」
「僕入学してから初めて喋ったのが君だけど」
「…へ?」
「理解ができないな…」
そう言って彼は気まずいのか、顔を逸らしてしまう。
……もしかして、慰めようとしてくれたのかな…
今からでも間に合う、仲良くなれるっ、て。
それにしては一言余計だし、お美しい姿からは想像できない呆気にとられた顔だったけど…
(あ、去られてしまう…)
それに、自分に責任があるなら、謝ろうと思ってくれたってことよね…
そうよね、身分の高いお方たちは、わざわざ身分の低い私を貶めようとしないはずだわ!
私、卑屈になりすぎてた……私に元気がなくてどうするのよ!
(結果的に、元気を貰っちゃった…)
それなら私も彼に言わないといけないことがある。
「あ、あの…!!」
「…何。用、あるの?」
「あの…!!」
「道、そっちじゃないです。」
それを聞いた彼は、先ほどとは比べ物にならないほど呆気にとられた顔をしていた。




