エピソード7 僕と君の形 ⑦
真理はあの後、俺の布団で熟睡していた。
その時、真理の携帯に一通のメールが届いた。
なんか、タイミング的にも嫌な予感がした俺は、携帯のディスプレイを覗いた。
知らない男の名前が表示されてた。
どうしても嫌な予感が拭えなかった俺は、申し訳ない気持ちもあったが、そのメールを開いてしまった。
そのメールは連絡が取れなかった3日間の出来事を見事に綴った内容だった。
その男と群馬婚の草津に行った事。
日帰りで帰るつもりが旅館を取って一泊した事。
その夜セックスした事。
別れ際に、別れを惜しむ真理を抱きしめてキスした事。
などなど。
正直言って、見るに堪えない内容過ぎて吐き気を覚えた。
真理にも裏切られた。
今まで付き合ってきた元カノ達の時も浮気されて別れたパターンがいくつもあった。
またか⋯。
と、思いながらも腸が煮えくり返るほどの怒りを覚えた俺は、真理を蹴り起こし、罵声をあびせながら髪を鷲掴みにして引きずり回した。
「テメェェ!浮気するくらいならその前に別れろって、言っておいたよなぁ!?」
真理は引きつった顔で、声を震わせながら、
「ごめんなさい。」
を、繰り返してた。
女に手を挙げたのはこの時が初めてだった。
俺は今もこの時の事は後悔してる。
怒りに任せて真理に気が収まるまで乱暴な事をした。
少し、落ち着いた後に俺は真理の携帯からその男に電話した。
もう、名前は遠い昔に忘れてしまった。
「もしもし。」
話した内容はこうだった。
真理に彼氏は居ないと聞いていた。
俺に別れてほしい。
真理と付き合いたい。
真理に暴力は止めてあげてくれ。
だいたいこんな感じだった。
少し男と話していて落ち着いて来た俺は
「わかった。真理と話してみて、その結果別れる事になったらお前に真理は任せる。」
と、伝え電話を切った。
真理の方を見ると、真理はまだガタガタ震えていた。
話しかけても、パニックになっててまともな返答は返って来ない。
そのまま、しばらく無言の時間が続いた。
真理を落ち着かせたくて、俺は真理を抱きしめようとしたが、真理は怯えて必死に抵抗した。
それでも、なんとか抱きしめて
「大丈夫⋯大丈夫だから。もう、本当に怒ってないから。」
っと、言ってしばらく無理矢理抱きしめていたら真理は落ち着いてきて、
「うわぁぁぁん!!」
って、でっかい声で泣き出した。
「ごめん、俺マジで最低な事しちゃったな。」
首を横にブルブル振りながら真理は泣いていた。
「ごめんなさい!悪いのは私だから。」
「そんな事ない…そんな事ないから。」
真理はしばらく俺の腕の中で泣いていた。
俺はこれが最後になるかもしれないと思い、ただ泣きながら真理を抱きしめていた。
なんでこんな事になったかなー?
なんて考えてたけど、結局自分が蒔いた種だ。
真理が少し落ち着いたところで、俺は真理を送ってく事にした。
帰りの車の中で俺は
「色々ごめんな。後は真理の好きなようにしなね。アイツもそんなに悪い奴じゃないと思うし、もう俺も酷い事しちゃったし、おあいこだからさ。」
「うん⋯。」
「だけど、ちゃんと答えだけはちょうだいね、どっちに転んでも俺は真理を恨まないし、良い思い出にするからさ。」
「ありがとう。また、明日連絡する。」
「わかった。じゃーまた明日。」
真理を家の近くで降ろして、俺は帰宅した。
次の日、真理からの連絡は来なかった。




