エピソード3 僕と君の形 ③
10月5日、午後11:55分。
俺達は珍しくラブホテルに居た。
その理由としては、10月6日は真理の誕生日だったからである。
付き合ってから初めての真理の誕生日祝いだったから、盛大に祝ってあげたくて、金もないのに奮発してラブホテルに泊まる事にしたんだ。
「もう、数分で真理の誕生日だね。」
「うん。」
俺達はベットの中でイチャつきながらそう言い合った。
そして、いよいよ時計の針が0時を回った瞬間、俺はバックの中から真理への誕生日プレゼントのネックレスを渡した。
当時流行っていた、Diorのネックレスである。
それを見たマリは、
「わぁー!!Diorだぁ!!ありがとう!本当にありがとう!ケンケン大好き!!」
みたいな事を言いながら凄い喜んでくれていたのを、俺は今もずっと覚えてる。
俺も素直に真理が喜んでくれたことが嬉しかった。
「私、彼氏から誕生日プレゼント貰うの初めてなんだ!」
「えっ?そうなの?誕生日の時期にたまたま彼氏が居なかったとか、そんな感じ?」
「そうそう!元カレの時に祝ってあげた事はあるんだけど、祝われた事は今までなくて。」
真理はまだ凄い嬉しそうな顔でそう言った。
その時、俺も真理を祝ってあげられて本当に良かったと思えた。
「じゃー、こうなったら俺の誕生日が来るまで意地でも別れられねぇな。ちゃんとお返しもらわなきゃ。元カレだけ真理に祝って貰ってズルいじゃん。」
「あっ!?ヤキモチ焼いてくれたの?」
「なっ、な訳ねぇじゃん!自惚れんなよ。」
真理は笑って言った。
「絶対に別れないからね。ケンケン大好き。」
真理の誕生日祝いは大成功に終わった。
それから約半年経って、4月に入り、4月21日の俺の誕生日をちゃんと迎える事も出来た。
最低かもしれないけど、初めて真理から貰った誕生日プレゼントは何だったか正直もう覚えていない。
それよりも俺の誕生日に、まだ17歳の小娘だった真理が、地元の結構お高いフランス料理のお店を予約して、ランチを食べさせてくれた事が本当に嬉しかったんだ。
サプライズが大好きだった真理は、俺がそのお店に着いたときにビックリしてた事を誇らしげに喜んでいた。
「サプライズ大成功だ!」
そう言って、真理は嬉しそうに笑った。
可愛かった。




